ゲーム業界の新たなマネタイズ「インタラクティブ・ストリーミング」プレイヤーと視聴者以外の層も巻き込める新たなエンターテインメント | GameBusiness.jp

ゲーム業界の新たなマネタイズ「インタラクティブ・ストリーミング」プレイヤーと視聴者以外の層も巻き込める新たなエンターテインメント

Genvidを活用することで「インタラクティブ・ストリーミング」にどんな未来が広がっていくのか、ユーザーの事例から紹介をします。

ゲーム開発 ミドルウェア
ゲーム業界の新たなマネタイズ「インタラクティブ・ストリーミング」プレイヤーと視聴者以外の層も巻き込める新たなエンターテインメント
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6月5日に開催されたゲーム業界関係者に向けたオンラインイベント「Game Business Expo」にて、「Genvidで構築するインタラクティブ・ストリーミングで何ができる?ユーザー事例・パネルディスカッション」のセッションが開催されました。

近年はゲームとメディアが融合した新しいジャンルとして、プレイヤーと視聴者の中間に位置する「インタラクティブ・ストリーミング」が誕生。ゲーム配信をするプレイヤーのプレイに、視聴者が何らかの形で影響「インタラクション」を与えられる仕組みが構築され、ゲームを遊ぶだけ、ゲームを観るだけ以外の層にも関わりが広がりました。

同日は、ゲーム実況などのライブストリーミングに対し視聴者がインタラクションすることを可能にするSDKを開発した「Genvid Technologies」のビジネス・ディレクターであるジョンソン裕子氏が参加。Genvidを活用することでどんな未来が広がっていくのか、ユーザーの事例から紹介しました。

現在、eスポーツやゲーム実況のように、視聴者を巻き込むことに重きを置いている企業が増えています。ジョンソン裕子氏は、「マネタイズの面でプレイヤーだけでなく、視聴者からも収益が入ってくるインタラクションは新たなチャンス」と説きました。特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、実際に人が集まれない現在では、Genvidのようなツールを使うことでゲーム市場のさらなる成長を後押しできるのではと考えているそうです。

Genvidを採用したゲームサーバーを用意することで、ゲームデータを動画上のUIにリアルタイムで同期することが可能。視聴者側だけに用意されたインタラクションUIをオーバーレイ(表面に重ねがけ)で表示させ、視聴者は情報を引き出したり、コンテンツに介入したりできるようになります。

『Retroit』の開発者、Black BlockのCEO Robin Squire氏によるデモ、プロジェクト紹介


ここで、実際にGenvidを活用した海外アプリゲーム『Retroit』を紹介。ゲーム内の都市の住人は全てプレイヤーが実際に動いており、プレイヤーはジョブごとの車を操作してお金を稼いでいきます。例えば、ギャングであれば街を壊して現金を強奪し、修理屋さんであれば街を修理してお金を得られるわけです。

他にもストリートレーサーなどジョブがある。街を舞台にタイムラップを縮めるストリートレーサーや、ストリートレーサー取締りに目を光らせている警察などもあり、全ての車は実際にプレイヤーが操作していることが肝です。

Genvidを使った「インタラクティブ・ストリーミング」バージョンでは、視聴者が同じ区画内でプレイヤーがどのように動いているかを観ることができます。

街に設置されたカメラを好きに選ぶことでアングルが変わり、さらには上空カメラから俯瞰した視点でも観られます。また、サッカーボール、ぶつかると爆発するPINATA、他の車にぶつかるとお金を落としてもらえる現金輸送車(ここではAIがコントロール)など、視聴者が介入して落とせるのです。

日本でも「インタラクティブ・ストリーミング」をデザインに組み込んだゲームが始まっている


さらに、海外だけでなく、現在開発中のGenvidを使った日本のゲームを2作品紹介しました


「株式会社ヘッドハイ」のクリエイター・一條貴彰氏が紹介する『Demolition Robots K.K.』は、ロボットが街を破壊していくローカルマルチプレイのゲームです。4人対戦、または2対2のチーム戦形式で、様々なタイプのロボットがビルを破壊します。ビルを破壊するごとにポイントとして「賃金」が貯まっていき、最も稼いだプレイヤーが勝利します。

プレイヤーが動画プラットフォーム「Twitch」でゲーム配信している時にGenvidの機能を使っている状態だと、視聴者がゲーム世界に参加できます。視聴者は好きなプレイヤーを応援し、応援されたプレイヤーはエネルギーが溜まり、連続パンチなど特殊な攻撃が可能になります。また、視聴者にはランダムでビルが割り当てられており、そのビルが破壊されるとトラップ投下ボタンがアンロック。画面上のボタンを押すことでロボットの頭上にトラップを出現させて妨害もできます。

フリーランスで活躍するディレクター・池村匡哉氏が紹介する『ドンさわぎ』は、シンプルなアクションゲームです。1対1や2対2で相手と対戦する形式で、フィールドにたくさん落下してくるどんぐりが弾ける前に、手に持ったラケットなどのアイテムで敵陣に打ち込んでいきます。

こちらもGenvidの機能を使うことで視聴者がゲームに介入できるようになります。視聴者にしか見えない「どんポイント」を集めて消費することで、様々なインタラクションが可能に。プレイヤーを選んでエールを送ったり、勝敗に影響を与えるスペシャルアイテムを送ったりできます。また、プレイヤーの背後からの臨場感味わえるカメラ、上から俯瞰するカメラにも切り替えられます。

「Genvidで構築するインタラクティブ・ストリーミングの未来


最後に、一條氏と池村氏が視聴者の質問も踏まえたディスカッションを行いました。


──Genvidを導入して何をしていきたいのか?

池村イベントを開催してハイランカーになったプレイヤーが、Genvidを使った配信ができる予定です。ゲーム本編を遊ぶのが怖かったり、相手がいるので負けたらどうしようとガチで楽しむのは躊躇ったりする人も、楽しめるお祭りのような会場にしたいです。

一條スペシャルモードとしてGenvidの体験を楽しめるようにする予定です。トーナメント開催して、エンゲージメントが取れそうなインフルエンサーやYouTuberに参加してもらい、その人たちのファンにも能動的に参加していただけるようにしたいです。

あとは、トラップの投下などを部分的な課金制にしようと思っています。TwitchのBits(仮想通貨)を使って、視聴者のインタラクションがより早くできるようにしたいですね。ゲームを動画で楽しむ層を、しっかりマネタイズしながら引き寄せるのがいちばんの思惑です。

──現在悩んでいることは?

池村ゲームデザインの完成度で悩んでいて、Genvidの機能を含めて100%にするか、無しの状態で100%にして、Genvidの機能を含めて120%の状態にするかですね。

一條Genvidのシステムは、クリエイター側でどのぐらいインタラクションを許すか決められるので、非常に柔軟だと考えています。それもあって、僕自身もどのくらいまで視聴者に介入させるべきか悩んでいますね。

──Genvidでインタラクティブ・ストリーミングのシステムを構築するのにかかった期間は?

池村ゲームに組み込むだけなら数日で終わりましたが、その後オーバーレイを作るのに1ヶ月くらいですね。

一條動画と連動したゲームの企画を練る方が大変ですね。Genvidサーバー・ローカルのゲーム・視聴者のブラウザの3点で成り立つので難しい。本作にはネットワークマルチプレイがないので、ネットワーク・サーバー・オーバーレイの実装には少し手間取りました。

けれど、Genvidは各機能が試せるサンプルがあるのが助かりましたね。小チームでやる場合は、ゲーム企画に時間を多く使ってしまうかなと思います。それを含めると僕は2ヶ月強ですね。インディーゲームでも実装できそうな感触です。他の人がまだ思いついていない視聴者連動のギミックが試せるチャンスはたくさんあると思います。

池村特にGenvid特有のデザインやアイテム制作に時間がかかりますよね。回復アイテムのような即時性のあるアイテムは現在避けています。

一條動画配信なのでどうしても遅延が発生しますからね。それも、実際にどのくらいのタイムラグがあるのかは、Genvidのシステムを使ってゲーム側で取得できるので安心です。トラップが何秒後に落ちるかも動画とオーバーレイのタイミングを連携できますので、視聴者のボタン操作が成功したのかどうか、分からないといったことにはなりません。

池村視聴者がインタラクションをして、プレイヤーが「ありがとう」と受け止めるまでが、インタラクションとして大事ですよね。

──今後のインタラクティブに期待することは?

池村プレイヤーと視聴者の一体感を実現できると思っていて、そのためにプレイヤー側にも魅せプレイみたいなスキルが必要になってきますよね。

一條そこには「芸術点」を視聴者がつけられるようにしたいね。視聴者を介入させすぎちゃいけないけど、面白いでしょう。あと、視聴者側がステージを作って、それを配信者に遊んでもらうやり方は相性が良いのではないかと思っています。新しいコンテンツのスタイルなので、応援したり、トラップ仕掛けたり、課金があったり、色んな切り口がある。ゲーム開発者には、我々がまだやっていないことを、インタラクティブ・ストリーミングを使って実現してもらいたいです。日本的なとんちの効いた発想をしてくれる方が現れたらいいな。



また、ディスカッションの最後に、現在注目されている「ハイパーカジュアルゲーム」とも相性が良いのではないかという話もなされました。ジョンソン裕子氏も、「1プレイが短すぎると視聴者が介入する余地がないですが、さじ加減でやりようはある」と同意。Genvidはあくまでもゲーム開発において、ミドルウェアのポジションなので、Genvidでも思いつかなかった使い方をして欲しいと期待を寄せました。
《GameBusiness.jp》

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