今年はNintendo Switchの一年。来年はeスポーツ?【オールゲームニッポン】 | GameBusiness.jp

今年はNintendo Switchの一年。来年はeスポーツ?【オールゲームニッポン】

テレビゲームの世界は、新しいデバイスや技術の普及によって、その形は大きく進化している一方、楽しさを追い求める姿は変わりません。変わるものと、変わらないもの。過去と未来。そして我々が宿命的に背負う日本という存在。なかなか考える余裕のない現代ですが、少しだ…

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テレビゲームの世界は、新しいデバイスや技術の普及によって、その形は大きく進化している一方、楽しさを追い求める姿は変わりません。変わるものと、変わらないもの。過去と未来。そして我々が宿命的に背負う日本という存在。なかなか考える余裕のない現代ですが、少しだけ立ち止まって一緒に見つめてみませんか? 毎月1回、「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」ゆるーくお届けします。

山﨑:2017年ももうすぐ終わります。12月、今年最後のオールゲームニッポンです。よろしくお願いします。まず、平林さん。日本ゲーム文化振興財団が設立されて理事に就任されました。こちらの財団ではどんなことをされるのか教えてください。

平林:発起人で理事長になられた岡本吉起さんから声をかけていただきました。じつは岡本さんは、私が雑誌編集者になって最初に取材に行ったゲーム業界人でもあるんです。

安田:そうなんですか?

平林:はい。1986年発行の『ファミコン必勝本』創刊号にも登場してもらっています。以来、30年以上の長いおつきあいが続いています。財団の構想は今年の秋に聞きました。岡本さんの動機はシンプルで「若手のゲームクリエイターを育てたい」の一語に尽きます。営利目的の企業ではなく財団法人にしたことからわかるように、慈善事業に近いことをやることになるでしょう。有望なクリエイターやプロジェクトを発見して助成金を支給することが、当面の最も大きな活動です。

山﨑:すごくピュアな動機と活動方針の団体なんですね。

平林:財団法人といとかえって胡散臭いイメージを持たれる方もいますが、当事者たちはいたってピュアです。日本ゲーム文化振興財団はいかがわしい団体ではないので応援してください。まずは今月、公式ホームページがオープンしただけで、本格稼働は来年の4月からなので詳細は追ってお知らせさせてもらいます。


山﨑:では、年末らしく今年の総括をしたいのですが、2017年で気になるニュースといえば何でしょうか?

安田:やはり、Nintendo Switch発売が今年のビッグニュースでしょうか。コンソールゲームの話題が盛り上がって個人的にうれしかったという思いもあります。

山﨑:インサイドの記事を振り返ってもNintendo Switch関連はアクセス数が多かったです。それだけ注目されていたということでしょうね。

安田:年末商戦も好調のようですね。相変わらず品切れ状態が続きながらも週販(1週間あたりの販売台数)が20万台を超えていると聞きました。この勢いは来年も続くでしょう。

山﨑:2017年はNintendo Switchの1年ということでまとめてもいいでしょうか?


平林:はい。同感です。年末になると10大ニュースをまとめる習慣がありますが、今年のゲーム業界は総じて踊り場の1年だったと思います。激しい変化はなく、数年間続いているスマホゲーム好調の余波がまだ続いている。新しい変化の準備段階。そんな一年だったと思います。

山﨑:市場動向としてはやはりスマホゲームが優勢でしたよね。

平林:山﨑さん、他社のメディアで申し訳ありませんが、今日は最新版の『ファミ通モバイルゲーム白書2018』を持ってきました。私が非常勤役員をつとめているゲームエイジ総研が編集協力しました。そこでは2017年、スマホゲームの国内市場規模の予測が出ていますが1兆4196億円で昨年よりも21%伸びています。すごい数字ですよね。

山﨑:コンソールのソフト市場はどれくらいの規模でしたっけ?

平林:2016年のデータですが1880億円です。スマホゲーム市場の1兆4196億円は約7.5倍に相当します。

安田:市場規模で考えるとスマホゲームが圧倒的ですね。今年、僕の自宅の周辺のレンタルビデオ&ゲーム店が何店舗か閉店しました。パッケージソフトの市場が縮小していることが、街の景色を見てもわかります。にもかかわらず、僕の場合はどうしても今年のゲームというと『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』や『ドラゴンクエストXI』を思い出します。それはもう時代遅れということなんでしょうかね。

平林:いや、そんなことはないと思います。今、起きている不思議な現象ですが、市場規模は相対的に小さくなったコンソールゲームですが、話題性は落ちていないんです。Googleの検索件数やTwitterの件数などの調査。いわゆるソーシャルリスニングをしてみると、コンソールゲームはスマホゲームの件数と比べても遜色ない。そんな結果が出ます。まさに、Nintendo Switchやゼルダやドラクエの話題は、いつもどこかで語られているようです。

山﨑:それだけ傑作ソフトがコンスタントに出ていて、世間の注目を集めているということなんですかね。

平林:あと、このモバイルゲーム白書には興味深いことが書いてありまして、ユーザー数ですね。月に1回以上ゲームをする人をアクティブユーザーと呼ぶとすると、スマホゲームユーザーが2844万人。これに対してコンソールゲームのユーザーは2048万人。市場規模ほどの開きがありません。もちろん両方を遊ぶ重複ユーザーもいて、それが782万人。ちなみにスマホゲームしか遊ばない人が1396万人、コンソールゲームしか遊ばない人が739万人と推定しています。

安田:コンソールゲームの市場規模は相対的に小さいけれども、話題にはなっていてユーザー数も多いわけですね。それは貴重な情報ですね。


山﨑:来年の話に移ってもいいでしょうか。2018年の展望をうかがいたいです。

平林:そういえば去年から今年にかけて「VR元年」と言われましたが、まだVRのコンテンツ市場は盛り上がっていませんね。日本電子書籍出版社協会という業界団体ができて「電子書籍元年」と言われたのが2010年でした。あれから徐々に立ち上がって現在の2000億円規模になりました。技術革新はすぐに起こせても、新しい生活スタイルが定着して、新市場ができるには相当な時間がかかるんだと思います。

山﨑:ということは、eスポーツはまだ期待できないですか。プロゲーマーが題材の映画『リビング ザ ゲーム』が来年3月に公開され、eスポーツの新団体が結成される動きもありますが……。

平林:私はeスポーツという呼び名には昔から抵抗感があるんです。なぜ、素直に「ゲーム大会」と呼ばないのか? あえてスポーツと呼ぶというのはゲームに対するコンプレックスの現れではないか? そんな、感覚を持つ人は私だけではないと思うんですね。市場が大きくなるためには、世の中に得も言われぬ抵抗感をぬぐうのに時間がかかると思います。


山﨑:そういえば、プロゲーマーの「ももち」こと百地祐輔さんが「日本国内におけるプロゲーマーのライセンス制度について」と題した声明文を公開しました。

平林:Game*Sparkの記事(※)にもなっていましたね。読みました。ももちさんは言葉を選んで、慎重な物言いをなさっていました。ですが、乱暴に解釈させてもらうと「ぽっと出の団体がライセンスを発行するってどういうこと?」……そんな解せない気持ちが伝わってきました。また、そのお気持ちがよくわかります。このライセンス制度は高額賞金を出すために必要とのことですが、どんな説明になるのか。まずは注目したいですね。

※参考:プロゲーマー「ももち」、日本のe-Sportsプロライセンス発行について声明 https://www.gamespark.jp/article/2017/12/21/77541.html

山﨑:その他、来年に向けて気になる動向は?

平林:スマホゲーム市場が成長する中、アンチアップルの動きが見られるようになりました。アップルというか、AppStoreへの不満が高まっているように思えます。販売手数料が高く、承認に時間がかかる、審査基準が不透明など。理由はいろいろあります。1990年代の初頭、任天堂一強時代に各社が不満を漏らしていた頃を思い出しますね。

安田:ストアを介さないアプリの配信やインストール不要のhtml5のゲーム配信などは今後増えるんでしょうね。僕もあるアンケートの「今年印象に残ったタイトル」という項目でFacebookが提供する『EverWing』と答えました。Messengerと連動したよくできたゲームですね。

山﨑:では、今年最後の一言をどうぞ。

平林:ただいま、秘密裡に進んでいるプロジェクトがあります。来年発表します!

安田:今年はおかげさまで『GOD WARS ~時をこえて~』をリリースできました。それとは別に一昨年にリリースした『ルートレター』が予期せぬ現象になったのが印象深いです。

山﨑:島根県に住んだことがある我が家では、夫婦で楽しませてもらっています。

安田:『ルートレター』は、発売直後は耳をふさぎたくなるような評判でしたが、時間がたつにつれて主人公のマックス君がネットで評判になってくれました。けっして絶賛されているわけではありません。むしろ、相変わらず厳しいご意見をいただいています。ですが、「皆さんにはおすすめしませんが、自分にとってはおもしろかった」というような本音レビューが多かったんですね。それがかえって評判になり、実写化プロジェクトがスタートするまでになりました。コンテンツビジネスの難しさ、また逆におもしろさを実感しています。

山﨑:今年一年間、ありがとうございました。来年、私の抱負ですがオールゲームニッポンのイベントをやりたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
《平林久和@インサイド》

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