「アバターエージェントサービス」仕掛け人に訊く"沢村碧”の誕生秘話 | GameBusiness.jp

「アバターエージェントサービス」仕掛け人に訊く"沢村碧”の誕生秘話

都内の秋葉原UDXで開催されたLive2Dカンファレンス「alive 2017」。「アバターエージェントサービス」セッションの登壇者である倉田宜典氏に、本サービス開発の裏話やコンテンツへ掛ける想いを語っていただきました。

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選ばれたのはメガネっ娘でした―「アバターエージェントサービス」仕掛け人に訊く
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都内の秋葉原UDXで開催されたLive2Dカンファレンス「alive 2017」。「アバターエージェントサービス」セッションの登壇者である倉田宜典氏に、本サービス開発の裏話やコンテンツへ掛ける想いを語っていただきました。

――改めまして自己紹介をお願いします。

倉田氏:
ソニーモバイルコミュニケーションズ(ソニーモバイル)とソニーを兼務している倉田宜典と申します。ソニーモバイルにおいてはアプリケーションそのものを作るというより、その要素技術である対話システムや音声認識/音声合成システムの開発企画のヘッドとして活動しています。"沢村碧”の活動はソニーでやっているものです。またソニー・ミュージックコミュニケーションズでやっている「めざましマネージャー」シリーズにも初期段階から関わらせていただいております。少し前までは設計のリーダーなどをしていたのですが、ここ1年ほどは開発企画に専心させていただいております。

――ありがとうございます。それでは、「アバターエージェントサービス」について改めて教えてください。

倉田氏:
「アバターエージェントサービス」ですが、音声合成でニュースを読むバーチャルアナウンサーというのは「きっと需要があるだろう」という考えで作ったサービスです。放送局にはアナウンサーさんがいらっしゃいますが、放送局ではない会社などで情報を発信したい場合や、人手不足の場合、緊急時などにおいては少なからず人間が読まなくてもいいところもあると思います。

またインターネットの世界で何かを情報発信したい場合、今は自らが出演者になるか、字をテロップ化して読ませたり、止め絵をスライドショーの様に見せるのが一般的で、一部すでに音声合成を使っていらっしゃる方もいらっしゃいますが、まだまだ一般的ではないという認識です。

もう少し、プロの人やセミプロの人の方々でも使える音声合成+CGを使った「情報発信用ツールがあってもいいのではないか?」という思いがありまして、何回かの実証実験を経て、今年の夏より正式にご提供させていただくことになりました。現段階では、共同通信デジタル社を通じて放送局やWebメディア、地方自治体、一般企業などにご提供させていただいております。


――ありがとうございます。どういった経緯で「沢村碧」というキャラクターが出来ることになったのでしょうか?

倉田氏:
A1-Picturesを通じてキャラクターデザイナーの足立慎吾さん(※)にデザインをお願いしたのですが、お願いをしたイメージそのままのキャラクターだけでなく、より大人びたキャラクターと、より可愛らしさに振ったキャラクターをわざわざ提案してくれたのです。

※編集部注釈:「ソードアートオンライン」や「WORKING!!」などのキャラクターデザインを務めているアニメーター。

いずれのキャラクターもCGで動いたら面白いだろうな…という話になり、関係者で検討した結果、夏の実験では"森下真帆”というより大人びたデザインのキャラクターとメガネっ娘の"沢村碧”を開発して評判を聞いてみることになったんです。


結果として“沢村碧”の方が人気だったため、その後の商用化向けのデザインではメガネっ娘の"沢村碧”を押すことになったんです。声に関しては、実験段階では"森下真帆”の声は寿美菜子さん、"沢村碧”の声は雨宮天さんがベースとなった音声合成を使用していたのですが、こちらはデザインとは逆に、"森下真帆”の声(寿さん)の方が雑踏の中では聞き取りやすいというアンケート結果が出たため、最終的に寿さんの声をベースにしたものをメガネっ娘の"沢村碧”に採用することになりました。


――"沢村碧”はLive2Dを使って制作されていますが、導入のきっかけはなんだったのでしょうか?

倉田氏:
Live2Dさんとは「めざましマネージャー」シリーズからのお付き合いで、開発の初期段階からLive2Dの石川さんとご一緒させていただいておりました。「アバターエージェントサービス」では、ニューススタジオをイメージした演出をしたかったので、カメラワークを取り入れたいということや、深めの3D処理をしたいということもあって、実験段階では A-1 PicturesのCGチームと開発を進めさせていただきました。

動画としては非常に良いものが出来上がったのですが、様々な動きを読み上げる内容に応じて自動で動かしたり、リップシンクをさせるのはLive2Dの方が我々としては扱いやすかったため石川さんに相談したところ「Live2Dでもがんばれば出来ますよ」と申し出てくださったんです。

――Live2Dで制作する強みというのはどの部分にあらわれているのでしょう?

倉田氏:
モデリングの容易さ、モーションの開発時間は、他の仕組みでは代替しにくかったですね…。我々は以前から知っているということもあるので、やっぱりその辺の感覚でみていくと使いやすいツールであることは間違いないです。

――先程、初期に3案ほどキャラクターを作ったとのことですが、他のキャラクター展開も考えているのでしょうか?

倉田氏:
先のことなのでお答えできないのですが、個人的なイメージはヤマハさんのボーカロイドに近いものですね。ボーカロイドさんは「初音ミク」というキャラクターを得て、圧倒的な一般化、プロデューサー/ボカロPの発生という歴史があるように、人に知ってもらうような状態になるまではキャラクター展開のさせ方は本当に重要だと認識しています。

用途は異なるのですが「沢村碧」も多くの方に知ってもらい、発信力を高められれば、さまざまな可能性が広がる。ツールを使って動画化したニュースや情報提供番組、場合によっては通信販売番組をたくさんの人に楽しんで観てもらうこともできるのでは?と期待している部分もあります。


また、今回のセッションでの倉田の自己紹介(※)を「沢村碧」が行ったのですけど、あれを活かすといわゆるパワーポイントを使ったプレゼンをCGキャラクターを使って行うみたいな使い方が簡単にできるんですよ。効果的に何かを発信したいという人たちにとって、すごく魅力があるのではないかと考えています。

※:参考記事:ニュース風の映像が簡単に作れる「アバターエージェントサービス×Live2D」―メガネっ娘アナウンサー"沢村碧”が生まれた背景とは?

ですので、まずは”沢村碧”通じて「アバターエージェントサービス」の可能性を丁寧に説明しながら進めさせていただきたいと個人的には考えています。

――ゆくゆくは一般向けにも出したいお気持ちはあるのでしょうか?

倉田氏:
これも先のことなのでお答えできないのですが、期待しているお声があることは知っています。このツールを使うことで新しい表現が可能になるのと同時に、表現をする人、観る人同士のコミュニティが出来ることも期待されているんでしょうね。そういった意味ではより多くの人が簡単に高品質な表現を行えるように音声合成技術やCGの技術を扱いやすくすることはとても大事だと思っています。

――最後に、 これから"沢村碧”を見聞きする一般ユーザーや企業に向けて一言お願いします。

倉田氏:
バーチャルアナウンサー“沢村碧”に限った話ではないのですが、もっと色々な技術や用途が出ていて、様々な分野の方々と一緒になって切磋琢磨していきたいと思ってはいますのでよろしくお願いいたします。

――ありがとうございました

選ばれたのはメガネっ娘でした―「アバターエージェントサービス」仕掛け人に訊く"沢村碧”の誕生秘話

《G.Suzuki@インサイド》

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