元スクウェア社長とオルトプラスCEOが対談!課題先進地の高知にゲーム・IT企業が集積する魅力 | GameBusiness.jp

元スクウェア社長とオルトプラスCEOが対談!課題先進地の高知にゲーム・IT企業が集積する魅力

総務省統計局が発表する国勢調査によると、全国人口ランキング下から3番目の高知県(平成27年度)。その一因として、高齢化、若者の多くが仕事を求めて県外に流出する背景がありました。

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総務省統計局が発表する国勢調査によると、全国人口ランキング下から3番目の高知県(平成27年度)。その一因として、高齢化、若者の多くが仕事を求めて県外に流出する背景がありました。しかし、近年は県全体で企業誘致やU・Iターンに力を入れており、現在はゲームなどのIT企業18社以上が高知に立地し、240人以上の地域雇用が生まれています。

対談会はお酒と料理を飲みながらリラックスした雰囲気で進められました

そんな高知県において、「高知県IT・コンテンツ産業振興アドバイザー」を務める武市智行氏。元・株式会社スクウェア(現スクウェア・エニックス・ホールディングス)の社長であり、多くのベンチャー企業の成長を支えてきた実業家として、高知県内の若者のアイデアや夢や才能を東京のビジネスと繋ぐため、積極的に企業誘致を今日まで進めてきました。


武市智行氏。1955年生まれ。高知県出身の実業家。慶應義塾大学卒業後、四国銀行に入行。退社後はスクウェア(現 スクウェア・エニックス・ホールディングス)、ドリーミュージック、AQインタラクティブ(現マーベラス)等で社長を歴任。現在は武市コミュニケーションズ代表取締役のほか、Aiming、SHIFT PLUS、GameWith、ジモフル、アルファコード、プレースホルダの取締役等を務める。また高知県IT・コンテンツ産業振興アドバイザーにも就任し、2010年以降はベンチャー支援と地元の活性化をライフワークとしている。
高知県出身の武市氏と、高知県に可能性を感じ、高知県内にゲーム会社を設立した「株式会社オルトプラス」代表である石井武氏が12月11日、東京都渋谷で特別対談「IT・コンテンツ産業×高知の未来」を実施。これまで地方のゲーム企業の取材に注力してきたゲームメディア「インサイド」編集長の山崎浩司氏がファシリテーターを務めたメディア限定参加型の対談内容をお届けします。

2人の出会いは、武市氏が2008年にAQインタラクティブ(現マーベラス)の社長に就任して立ち上げたネットーワークゲーム開発企画の事業部。武市氏は後に同事業部を執行役員であった石井氏に引き継ぎ、石井氏が独立して「オルトプラス」を立ち上げた際には、上場したら高知県に会社を設置してくれと呼びかけていたそうです。石井氏は他の地域も検討しましたが、最終的には高知の「明るい県民性」に惹かれて高知での会社設立を決めました。

ITネットワークの役割とは?




石井武氏。1969年生まれ。証券系ベンチャーキャピタルにて9年間投資活動を行う。2000年よりコンシューマーゲーム業界へ。
2010年5月株式会社オルトプラスを設立し代表取締役CEOに就任。
高知県には2015年4月 株式会社SHIFT PLUS、2018年3月 株式会社オルトプラス高知を設立し事業展開中。

高知県では2017年に、首都圏在住の高知出身者・高知県に興味のあるITエンジニア・コンテンツクリエイターのためのコミュニティ「高知家IT・コンテンツネットワーク」が作られました。立ち上げの経緯と役割を問われた武市氏は、「そもそも高知で今の役割を担うようになったのは、現在の尾崎正直知事が2010年に多くの漫画家を輩出している高知だからこそ、マンガコンテンツで地域を盛り上げようと「まんがコンテンツ課」を設立したので手伝って欲しいとお声かけ頂いたから」と語りました。

武市氏は「長続きするにはビジネスとして成功しないと誰も幸せにならない。クリエイターを支援するだけで利益が得られなければ、クリエイターが高知を離れてしまい、高知の活性化に繋がらない」と考え、まんがを描くことと親和性があるソーシャルゲーム開発を推進したそうです。


しかし、高知県の人だけではヒット作を出すことが叶わなかったので、2014年頃からコンテンツ系の企業誘致を行い、「株式会社SHIFT PLUS」や「株式会社オルトプラス高知」などの企業が設立されました。

「せっかくやり甲斐のある企業が高知に来てくれても、そこで働く優秀な人が確保できないとどうしても成功しない。なので、現在は首都圏に住んでいる高知出身の方、あるいは高知に住んでいる方が就職できるようにとネットワークが作られたんです」(武市氏)。

「高知の良いところや悪いところを皆で共有するのが目的です。東京の人からは高知の良いところがたくさん見えます。しかし、高知にいる人たちにとってはそれが当たり前なので、東京にはなかなか伝わらない。東京から行った人が発信しないと、なかなか情報が回らないのを感じますね」(石井氏)

どうして高知県に18社も集積できたのか?




山崎浩司氏。2009年に株式会社IRIコマース&テクノロジー(現株式会社イード)に入社。株式会社イードが運営する様々なメディアの広告営業を担当し、2015年に同社の開発拠点設立のため「Rubyの聖地」である島根県松江市に移住。松江市ではエンジニアの採用活動や、産官学を巻き込んだIT企業と学生の交流会の開催など地域活動に積極的に参加。2017年4月からゲームメディア「インサイド」の編集長に就任。
ここで山崎氏が「一年に何社も誘致に成功している決め手」を訊ねたところ、高知県の行政が本気で取り組んでいることに加え、集積した企業が誘致を呼びかけていることが大きいとのことでした。

「他の地方だと企業誘致をしてもなかなか上手くいかないという話も耳に入ってきます。本当の意味で旗振り役が必要なんだと思いますね。そういう意味では、高知県に誘致された民間企業である我々が本気で旗を振れば、企業同士同じ視点で話ができるので、皆さん話を聞いてくれる。きっかけとしては、地域自治体が動くよりはビジネスマンが動いた方が話早いのかな」(武市氏)。

また、現在の「株式会社SHIFT PLUS」と「株式会社オルトプラス高知」の社長が設立当時は26歳という若さもあげました。

「若手で高知に行ってやりたいという人材がいたのは大きいですね。2人とも20代ですから東京にいたらまだ一般社員だと思うんです。それがある日突然、社長になる機会を得られた。彼らにとっても挑戦でしたし、我々ベテラン側も託した。そうやって彼らが成果を出すという強い気持ちで取り組んだ結果、上手くいき、彼らが目を輝かせて高知で働く喜びを発信してくれるので皆が話を聞きに来てくれる。そうやって次に続いている気がしますし、実際に誘致された企業は若い経営者が多いです」(武市氏)。

高知県だと東京よりもチームビルディングがスムーズ




石井氏は実際に高知県に「株式会社SHIFT PLUS」を設立した際、社員間のコミュニケーションのスムーズさに驚いたと言います。「東京で社員数を50名、150名と増やしていく中、ほぼ中途採用になってしまうので様々な職種を経験してきた人を束ね、会社として一体感を出していくのは大変です。飲み会など社員間のコミュニケーションを図るために色々施策を打っていますが、社員間の距離を埋める決め手がないため、花見を開くにしても一苦労」。

逆にSHIFT PLUSは2015年に立ち上げた際に、新しいことに期待してくれた26人が集まったので、最初から一つになれたそうです。「最初に皆で『ひろめ市場』に飲みに行った時、社員全員が何らかの知り合いだったんです。『○○高校の何年卒です』と言うと、『お兄ちゃんが誰々でしょ?』と返しますし、『実家そこなら向かいのコンビニの上が私の実家だよ』とか、顔合わせの時から東京ではあり得ないことが起きる。次の日から皆で一緒に頑張っていく一体感がすぐに生まれるんです。あそこまで一つになれるなら、ベテラン社長が上に立ちのではなく、同世代の若い社長が社員と同じ目線で頑張っていくのがベストだと感じました」(石井氏)。

また、もう一つ大きな違いを感じた点として、東京の「株式会社オルトプラス」が上場した際、高学歴など優秀な経歴を持った人材が応募してくるようになったものの、教育制度や福利厚生など、会社の安定性を求める人材が多かったと言えます。高知県だとオープニングということもあって、「自分で会社を良くしていこう」という気概を持つ人が集まってきたそうです。

高知県から流出している若者を呼び戻したい




現在の高知県は、若者の約3分の2が仕事を求めて県外に流出していると言われています。ここで山崎氏は「高知県の人口は全国で下から3番目ですけど、この人口密度でゲーム会社があるのはすごくめずらしい。SHIFT PLUSのある女性社員は『ゲーム会社ができたことで救われた』と言っていました」と語りました。

石井氏は「東京だと映画館やゲームセンターなど娯楽施設がたくさんありますが、地方は少ないので、長時間ゲームを遊ぶ人がとても多い。例えば、東京では課金アイテムを使って攻略の時短をするんですけど、地方だと無料で20時間くらい頑張ってクリアしましたという人が多くいる」と驚いたそうで、そこも地方にゲーム会社を設立する時のメリットで「株式会社SHIFT PLUS」を作った際は一生懸命デバッグとサポートをしてくれる人材が集まったそうです。

武市氏が「これまでは若者にとって、夢とやり甲斐のある仕事が少なかったと思います。ゲームも若い人から見たらすごく新鮮ですよね」と語ると、石井氏も「大坂や新宿でIターン・Uターン向けの就職説明会をやっていますが、地方で働く理由として『自然があります』よりも、『東京と同じ仕事があります』のほうが訴求力は高い」と頷きました。

「Uターンの人たちは、子供が小学校に行くタイミングなど将来的な視点で探していますし、Iターンの人は仕事があるなら1~2割時給が下がっても行きますと、それぞれ違いはあれ、仕事があることがそこに行く一番の理由です」(石井氏)。

「だから地理的ハンデを感じません。東京のエンジニアが高知のような地方で、それまで無かった仕事を生み出すことに意義があるんです」(武市氏)。

また、石井氏は「東京だと入社する人が多い分、離職する人も多い」のに比べ、地方は「入社する人が少ないけれど離職する人も少ない」と感じているようで、「SHIFT PLUSも3年やって来て離職率がすごく少ない。仮に採用に時間がかかっても、採用できればその人達を増やしていけるんです」をメリットにあげました。

高知県が目指す未来は?




最後に今後の目標をそれぞれ訊かれ、武市氏は「やはり高齢化が進み、経済基盤がどんどん落ちていっているわけです。もっと昔は活性化していたし、明治維新の時は活躍していた。なんとか高知の経済生産性を高めていきたいというのが大きな目的。そして、人口減少と高齢化が進んでいますから、若者が夢とやり甲斐のある職種を集積させた県にすることで流出を止めることが一番の目標です」と述べました。

石井氏はコストを下げられるから地方で会社を作るという考えに警鐘を鳴らしました。「安さで仕事を取り始めたら最終的に地方を幸せにできない。ただ、新しいことに挑戦しようとした時にコストが安いとトライアンドエラーがしやすい。拠点全体のコストも下がった結果、失敗しても東京ほど痛手を被らないので若い人に挑戦させられるのは重要です。東京と遜色ない給料が得られるので高知でも働きませんか?は不十分で、高知に行ったら新しいチャレンジができますは魅力的なオファーになると思います」(石井氏)。


主催:高知県
運営:シビレ株式会社、エイチタス株式会社
メディア共催:株式会社イード


《乃木章@インサイド》

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