『ダンクロ』不調で3期連続赤字のKLab、EAとの協業で逆転狙う【ゲーム企業の決算を読む】 | GameBusiness.jp

『ダンクロ』不調で3期連続赤字のKLab、EAとの協業で逆転狙う【ゲーム企業の決算を読む】

『ポケットペア』とのタッグによるハイカジ開発の方が確実にもみえます。

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『ダンクロ』不調で3期連続赤字のKLab、EAとの協業で逆転狙う【ゲーム企業の決算を読む】
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KLabが2023年12月期(2023年1月1日~2023年12月31日)に17億2,800万円の純損失を計上し、3期連続の最終赤字となりました。

2023年に3タイトルを終了したことで大幅な減収となった上、『キャプテン翼~たたかえドリームチーム~』の衰えが顕在化。更に2023年8月24日にリリースした『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか バトル・クロニクル(ダンクロ)』が計画していた収益性を得られず減損損失を計上したなどの影響で、特別損失8億4,100万円を出しました。

KLabは2024年に米エレクトロニック・アーツ(以下、EA)と共同で『EA SPORTS FC TACTICAL』をリリースする予定ですが、一発逆転ホームラン狙いのように見え、当たらなかった場合の更なる収益性の悪化を懸念する声も聞こえてきます。

社長交代後の業績不振が鮮明に

KLabは急速に業績が悪化しています。2021年12月期、2022年12月期はそれぞれ約3割の減収。2023年12月期は4割もの減収でした。3期連続で営業赤字を出しており、本業において全く利益が出ていません。

決算説明資料より

KLabは2024年2月8日の取締役会において、代表取締役社長を30%、取締役を10%~20%の役員報酬減額を決定しています。これは、決算内容の経営責任をとるというもの。森田英克氏がKLabの代表取締役社長に就任したのが2019年3月で、就任翌期からの業績の低迷は鮮明になりました。

取締役会長として創業者の真田哲弥氏が残っており、同氏は現在も10%近いKLab株を保有する筆頭株主ですが、森田氏の持株は1%にも達していません。役員構成上、森田氏がリーダーシップを発揮しづらいという可能性もあります。今期も代表交代前に掲げていた経営方針を大枠で踏襲しています。つまり、社長交代した効果が見えづらいのです。

万が一、EAとの協業タイトルが失敗することになれば、経営体制を刷新するということがあるかもしれません。

KLabは2023年2月に『幽☆遊☆白書 100%本気(マジ)バトル』、3月に『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』、12月に『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』のサービスを終了しています。特に『ラブライブ!』や『うたプリ』は根強い人気を獲得していたタイトルで、KLabは運営体制を見直して収益改善を図ってきました。結局、不採算状態から抜け出すことができずに撤退を決断しています。

しかし、KLabは各タイトルから撤退した後も不調が続いており、2023年12月期において四半期で一度も黒字化できません。

決算説明資料より

『ダンクロ』の座組変更は奏功

KLabは『ダンクロ』の減損損失を計上しました。このタイトルはもともとAimingが開発、KLabがパブリッシャーという建付けでした。しかし、KLabが財務状況を鑑みて座組を変更。Aimingとの共同開発タイトルとし、パブリッシャーをAimingに変更していました。

Aimingは『ダンクロ』について、コンテンツ評価損失として5億3700万円を計上。22億2,700万円の純損失(前年同期は6億100万円の純利益)を出しました。

このゲームは2023年10月10日に全世界で300万ダウンロードを突破するなど、滑り出しは好調でしたが、それが長続きすることはありませんでした。Aimingは4Q(2023年10月1日~2023年12月31日)の広告費を、前四半期の半分ほどにまで絞り込んでいます。

『ダンクロ』が当初の建付けで進んでいれば、KLabは更なる赤字に苦しんでいたでしょう。座組の変更は賢明な判断だったと言えます。

逆転ホームラン狙いの危うさ

KLabの一番のポイントは、3タイトルからの撤退、『ダンクロ』の開発体制の変更と、収益性の改善策を打ち出しているにも関わらず、四半期単体の黒字化ができていないこと。2023年12月末時点のゲーム部門の従業員数は455名で、2022年同月末比で1割(51名)削減しています。黒字化できるほどの人員削減ができていません。

決算説明資料より

更に決算説明会において、「(2024年12月期)第1四半期は営業損失になる可能性が高いか?」と問われ、「収益推移のトレンドはおおよそ変わらないと考えております」と回答しています。この発言から固定費の削減は十分できておらず、既存タイトルの大きな変動がない限りは赤字である可能性が高いと言えるでしょう。


《不破聡》

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