ゲームに特化した世界最大級のベンチャーファンドであるGriffin Gaming Partners（グリフィン・ゲーミング・パートナーズ）は、ゲーム開発の実情をつまびらかにする47ページのレポートを公開しました。本稿ではそのハイライトを紹介します。レポート全文は、同社のコーポレートサイトでダウンロードできます。
ゲームを成功に導く要因は多岐にわたる
同社はレポートを作成するにあたり、立てた仮説を検証するために、専門家たちへ60以上のインタビューを実施し、そのコメントの一部もレポートに引用されています。
また、調査は全世界537のゲームスタジオを対象に行い、回答における不正や過失のリスクも徹底的に検証しているものの、ゲームの成功を左右する要素はゲームプレイの良し悪し、コミュニティの盛り上がり、（原作となる）IPの存在、ゲームのジャンル、展開するプラットフォームなど多岐にわたるため、一概に言えるものではないことが明記されています。
ゲームスタジオはユーザーの高まる期待に応えるべく苦慮し続けている
ビデオゲーム市場は常に激しい競争にさらされており、大手ゲームスタジオは常に「AAAタイトル」の名にふさわしいゲームを作るための開発費の確保／膨らみ続ける開発費の抑制に苦慮しています。
また昨今、マルチプレイを採用したゲームはプラットフォームの垣根を越えて遊べるクロスプラットフォームに対応していることが求められるようになっており、これが小規模なゲームスタジオにとって困難な課題になっています。
各スタジオへのアンケートでは「マルチプレイを採用したゲームにはクロスプラットフォームのサポートが必要である」という設問に78％が「そう思う」と回答。「ゲームの開発コストが増大しているか」と「ユーザーたちはAA、AAAといえるタイトルを望んでいるか」にもそれぞれ77％が賛同しました。
「ゲームの長期的な成功にはライブサービスゲームが必要である」にも66％が「そう思う」と回答しています。
95％のスタジオがライブサービスゲームに意欲を燃やしている
主にモバイルゲーム会社が多く身を置いている世界でもあるライブサービスゲームは、コンテンツの継続的なリリース、機能やインターフェースの更新、ゲームプレイの改善・強化などを通じてプレイヤーのゲーム体験を高め続けるアプローチです。
レポートでは、従来の買い切りモデルはユーザーとの関係性の維持がゲームソフトの売上や（いくつかの）ダウンロードコンテンツに依存するものであり、ライブサービスゲームはそれとは対照的である、としています。
アンケートでは65％が「今、ライブサービスタイトルの制作に取り組んでいる」と回答。さらに30％が「ライブサービスタイトルのリリース、またはライブサービスモデルへの移行を予定している」と答えており、全世界537のスタジオのうち95％がライブサービスを指向していることが分かりました。
テストプレイの複雑化、制作スケジュールの加速化など課題点も
レポートではライブサービスタイトルの課題も指摘されています。その一つとして挙げられているのが、テストプレイの煩雑化です。ゲームのライフサイクルが長期化する―すなわちアップデートによるコンテンツの追加などが継続されると、テストプレイの複雑さも増す一方となります。
こうなるとバグや不具合をしらみ潰しにしようとするのは現実的ではなくなるため、テスターはユーザーがプレイしやすく楽しい体験をできるよう、優先順位を付けてテストを行うようにする必要があるとしました。
また、ライブサービスの制作スケジュールは近年猛烈に加速化されています。多くの開発者は、ライブサービスゲームでユーザーの興味と感心を引き続けるには、毎週～隔週程度のペースでバグ修正やバランス調整などを実施し、隔週～毎月程度のペースでゲームコンテンツをアップデートするスケジュールが理想的であると回答しています。
