『ヘブバン』『モンスト』に学ぶ”ニッチを研ぎ澄ます”生存戦略―「『GAME IGNITE』アプリゲームビジネスの『未来』のために」セッションレポート | GameBusiness.jp

『ヘブバン』『モンスト』に学ぶ”ニッチを研ぎ澄ます”生存戦略―「『GAME IGNITE』アプリゲームビジネスの『未来』のために」セッションレポート

「『GAME IGNTIE』アプリゲームビジネスの『未来』のために~未来予測と課題認識。そして今から取り組むこと~」では、WFS マーケティング部部長 小泉義英氏と、MIXI デジタルエンターテインメント事業本部 本部長 異儀田諭氏がスピーカーを務めました。

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アプリ計測・分析ツールのadjustは7月26日、アプリマーケティングカンファレンス「Adjust Ignite Tokyo 2023」をWITH HARAJUKU HALLにて開催しました。

本稿では、当日開催されたパネルセッションより、「『GAME IGNTIE』アプリゲームビジネスの『未来』のために~未来予測と課題認識。そして今から取り組むこと~」のようすをレポートします。

アプリゲームビジネスをテーマとした本セッションにスピーカーとして登壇したのは、WFS マーケティング部部長 小泉義英氏と、MIXI デジタルエンターテインメント事業本部 本部長 異儀田諭氏。モデレーターは、MOTTO 代表の佐藤基氏が務めました。

画像左からMOTTO 佐藤基氏、WFS 小泉義英氏、MIXI 異儀田諭氏

はじめに、本セッションが開催された背景について佐藤氏から説明がありました。日本のモバイルアプリ産業は過去十数年の間に非常に大きな産業分野へと成長。アプリゲーム分野はその成長を牽引してきた存在である一方で、現在は頭打ちになり始めているとも指摘されています。

本セッションでは、「アプリゲームの現在」「アプリゲームの未来」「未来に向けて今から取り組んでいること」の3つをテーマに、アプリゲームビジネスが今後、更なる成長を遂げるためにどのようなことに取り組んでいけばよいのかが語られました。

増し続けるユーザーの期待と、サプライズの不足

MIXI デジタルエンターテインメント事業本部 本部長 異儀田諭氏

MIXIが配信する『モンスターストライク(以下、モンスト)』は、今年で配信開始から10周年を迎え、6月には世界累計利用者数が6,000万人を突破。日本を代表するアプリゲームとなっています。そんなMIXIの異儀田氏は、1つ目のテーマ「アプリゲームの現在」に対して、「低いサプライズ」というキーワードを挙げました。

異儀田氏は「アプリゲームのトップセールスランキングが代わり映えがしなくなってきており、驚きのあるようなコンテンツが出てきていない現状がある」と指摘。常にランキング上位にいる『モンスト』については、MIXIの企業理念にも掲げられている「ユーザーサプライズファースト」に基づき、様々なサプライズ施策を仕掛けているとしながらも「遊んでいるユーザーはそれを享受してくれているかもしれないが、外から見たときには代わり映えのしないマーケットという印象を持つだろう」と述べました。

続いて、『ヘブンバーンズレッド(以下、ヘブバン)』を提供するWFSの小泉氏が挙げたキーワードは「スーパーリッチ化」。近年は、日本へ進出する中国、韓国企業を筆頭に、多額の開発費用とプロモーション費用をかけたハイクオリティのアプリゲームが現れており、ユーザーがそれらに当たり前に触れられる市場になっています。小泉氏は「ユーザーの感動するハードルが上がっていると感じており、特にRPGを手掛ける我々のような企業はみな大変に感じていると思う」と述べ、ユーザーを満足させることの難しさを語りました。

その後、異儀田氏は2つ目のキーワードとして挙げたのは「高いスイッチングコスト」です。1つのお気に入りのゲームをプレイする時間が長くなり、そのゲームを辞めたり、他のゲームへ移行したりするハードルが高くなっているといいます。新規のゲームがユーザーを獲得する難しさについて、小泉氏はこれに補足する形で、「『ヘブバン』というRPGを提供する上で、まずはIPを構成するイラストや音楽などのコアなファンを獲得し、そこからファンを広げていくことを意識している」と述べました。

ニッチに正しくアプローチして、巨大市場を勝ち抜く

WFS マーケティング部部長 小泉義英氏

続いてのテーマは「アプリゲームの未来」。先に小泉氏が指摘した通り、リッチ化が進むアプリゲームをPCやコンソール機でも遊びたいというニーズが増えており、たとえばmiHoYoが提供する人気作『原神』『崩壊:スターレイル』は、スマートフォン/PC/コンソールとプラットフォームを跨いだサービス展開を進めています。小泉氏は、このような「ボーダーレス化」が、アプリゲームの未来を考えるキーワードだといいます。WFSでは、既に自社のゲームを「アプリゲーム」ではなく「ライブサービスゲーム」として扱い、事業としてもプラットフォームでは分けていないとのこと。

異儀田氏はこれを受けて、「アプリゲーム単体のビジネスが難しくなる中で、マルチプラットフォームでタッチポイントを増やすことは正しいと思う」としながらも、グラフィックなどをPCやコンソールのクオリティに合わせていかなければならず、開発コスト等の問題が生じることも課題として指摘しました。

異儀田氏が挙げたキーワードは「マスとニッチの一層の二極化」「ファンダムの重要性」です。

アプリゲーム市場が大きくなるにつれて、トレンドを追い、「マス」向けのヒット作を提供できる事業者は、潤沢なリソースを持つ一部の企業に限られています。その一方で、「ニッチ」向けの作品でもビジネスとして成立するようになりました。異儀田氏は、そのような市場において活路を見出すためには「コア層のニーズを満たすこと」が求められていると分析。大ヒットはしなくともビジネスを成り立たせることはできるとしました。

またこれに関連して、「ファンダムの重要性」が一層増すのでは、と指摘。ニッチで勝負するためには「コミュニティから勃興するようなコンテンツ、コミュニティファーストなコンテンツ」が必要であり、ファンの熱量を具現化することがニッチ市場を勝ち抜くための条件になっているといいます。

小泉氏はこれを受け、『ヘブバン』では公式生放送をハイペースで行い、ユーザーとの距離感を近く保つ工夫をしている、と紹介しました。また、グループインタビューではオフラインイベントを望む声も多く、ゲーム外での接触は重要視されているようです。ユーザーの声を拾い上げようとする取り組みは、ライブサービスゲームの運営においては必須条件と言えるでしょう。

固定観念にとらわれないマーケティングを

最後のテーマは、未来に向けて今から取り組んでいること。


《GameBusiness.jp》

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