Web上での接客手法としてのゲーミフィケーション・・・「世界を面白くするGamification」第70回 | GameBusiness.jp

Web上での接客手法としてのゲーミフィケーション・・・「世界を面白くするGamification」第70回

ゲーミフィケーションは人間の動機付ける手法ですから、様々な用途・場面に用いることができます。ただそれがわかりにくさを生んでいることも確かです。仕事がらゲーミフィケーションに関心をお持ちの方に出会う機会は多いのですが、一般ユーザ向けのサービスに取り入れ

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ゲーミフィケーションは人間の動機付ける手法ですから、様々な用途・場面に用いることができます。ただそれがわかりにくさを生んでいることも確かです。仕事がらゲーミフィケーションに関心をお持ちの方に出会う機会は多いのですが、一般ユーザ向けのサービスに取り入れ
  • ゲーミフィケーションは人間の動機付ける手法ですから、様々な用途・場面に用いることができます。ただそれがわかりにくさを生んでいることも確かです。仕事がらゲーミフィケーションに関心をお持ちの方に出会う機会は多いのですが、一般ユーザ向けのサービスに取り入れ
ゲーミフィケーションは人間の動機付ける手法ですから、様々な用途・場面に用いることができます。ただそれがわかりにくさを生んでいることも確かです。仕事がらゲーミフィケーションに関心をお持ちの方に出会う機会は多いのですが、一般ユーザ向けのサービスに取り入れたいという意図をお持ちの方とお会いすることが最も頻度が高いです。

そういう方にゲーミフィケーションをどのようなものとして捉えるべきかと話すときに、最近は「接客」という言葉を使うようにしています。こうなるとだいぶゲーミフィケーションという言葉のニュアンスとは離れるところもあるのですが、元々僕自身「おもてなし」という言葉でゲーミフィケーションを表現していたのでここに近い考え方です。

店員さんのいるリアルのお店だと接客というのは良くも悪くもつきもの、自然に発生する行為です。お店にお客さんが来れば声をかける、困っていそうであれば話しかけてサポートする、質問されれば受け答えする。接客に優れたお店もあればそうでないお店もあります。

接客に優れたお店には自然とまた行きたくなります。何度かお店に足を運んでいるうちに、店員さんが自分と認識してくれるようになればなんとなく嬉しいものです。以前買ったものを覚えてくれていればすこし驚きます。個人的なオススメや限定的なオファーをしてくれればより、金銭的な価値の有無にかかわらず特別感を感じることができます。

接客の優れたお店では、顧客の利用体験が向上します。より的確な買い物をすることにつながるでしょうし、結果として来店頻度を高めることにもつながるでしょう。そのお店が顧客に提供できる価値や利用体験をより高めることが接客の役割です。

ただ通常接客というとフェイス・トゥ・フェイスの対人コミュニケーションを想定します。ですのでWebサイト上で接客というのはすこし考えにくく、発想としてほとんどなかったというのが実体ではないでしょうか。

楽天が自社の楽天市場加盟店舗向けに「接客」という言葉を使っているというのは聞いたことがありますが、主にページの作りや情報提供の仕方という観点でのことかと思います。楽天のサイトのトップページをキャプチャーしてみましたが、基本的に情報量が多いこと、またポイントに関連するオファーが多いことが見て取れます。楽天でさえ接客的要素はほとんどないといっていいと思います。「おはようございます、深田浩嗣さん」と右下に表示されていますがサイト上でこう言われても率直に言って接客性は薄い。リアルの店舗であれば名前や顔を覚えてくれているというのは一般的ではないので驚きがありますが、Webであれば裏側でコンピュータが動いていることは誰でもわかっているので名前が出ても驚きはありません。

ただこれは楽天が悪いということではなく、Webサイトを代表する存在として取り上げただけであって、基本的にいま存在しているWebサイトの作りというのは大体このようになっており、むしろそれが当たり前な状況だということです。

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中国のECサイトでは、基本的にオンラインチャットが用意されていてユーザと店舗がダイレクトにコミュニケーションを取れるようになっていることがむしろ一般的であると聞きます。専ら価格交渉に使われているそうなので接客性を意図したものではないのかもしれませんが、1つにはこういうやり方があり得ます。ただ日本国内で考えるとコスト的にも文化的にもすこし難しそうな気がします。

そこでゲーミフィケーションの考え方が登場します。接客を「仕組み化」することでフェイス・トゥ・フェイスの対人コミュニケーションでなくても接客性を提供することが出来ないか?という発想です。

接客という行為を分解して考えてみると、
1)顧客の観察
2)気付き
3)ソリューションの検討
4)アクション
5)顧客からのフィードバック
6)1)に戻る

というサイクルで成立していると言えます(なおここでいう接客行為の中には笑顔、はきはきした言葉遣い、きびきびした態度、といった要素は省いています)。店員さんが来店したお客さんを観察します。その中で「初めてなのかな」「捜し物をしているな」「ちょっと困っていそうだな」ということをお客さんの行動や表情などから読み取ります。店員さんが何かしらアクションを取るためにはどんな状況かを把握し、どんなソリューションが的確かを判断できる必要があります。その後、適切なタイミングでアクションを取ることで接客行為が実践される。それがお客さんの求めていたことかどうかはその場の反応を見たりコミュニケーションを取ることでわかりますのでそれを受けてより適切な接客をすることができます。

このサイクルをよく考えてみると、接客に限らないことが見えてきます。一般にコンピュータゲームというものは、その内容・ルールにかかわらず、プレイヤーのしたこと(しなかったこと)に対し何かしらのフィードバックを返すというという仕組みが備わっています。そのフィードバックが適切であればいいゲームとなります。ゲーミフィケーションの実践においても同様のことを行います。つまりWeb上でのユーザの行動に対し何かしらの条件を満たした場合に特定のフィードバックを返す仕組みを導入します。

対人性はそこにはありませんが、やっていることは接客と実質的に同じ事です。ユーザのサイト来訪体験がより豊かになり、「また来たいな」と思ってもらえれば成功です。このように考えると、接客性をWeb上で仕組みとして提供することは、その発想が今までなかっただけで実は実現可能ではないでしょうか。

むしろ、ゲーミフィケーションの発想を活かすことでリアル店舗ではやりようがなかった接客行為を提供することも出来るようになるかもしれません。今年のテーマである「ゲーミフィケーションで何が出来るか」ですが、まずはこういうテーマで色々考えていってみたいと思います。
《深田浩嗣》

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