コロナ禍がeスポーツ参入のきっかけになった企業たち【東京eスポーツフェスタ2024 企業ブースインタビュー】 | GameBusiness.jp

コロナ禍がeスポーツ参入のきっかけになった企業たち【東京eスポーツフェスタ2024 企業ブースインタビュー】

「東京eスポーツフェスタ2024」の関連産業展示エリアには、多くの「非eスポーツ関連企業」がブースを出展しました。

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コロナ禍がeスポーツ参入のきっかけになった企業たち【東京eスポーツフェスタ2024 企業ブースインタビュー】
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eスポーツの普及と関連産業の振興を目的としたイベント「東京eスポーツフェスタ2024」が今年も東京ビッグサイトで開催されました。

会場ではeスポーツ関連産業の展示会や体験エリアが展開されており、多くのeスポーツファンで賑わいました。

近年、多くの企業がeスポーツ業界に参入していますが、そのきっかけや経緯はどういったものなのでしょうか。

関連産業展示エリアに出展していた企業の担当者にインタビューを敢行しました。

東京eスポーツフェスタとは

「東京eスポーツフェスタ」は第一回が2020年1月に初開催され、今年で5回目の開催となる展示会兼体験会イベントです。

eスポーツ競技大会、関連産業展示会、セミナー学習企画など、老若男女が楽しめる企画やブースが用意され、会場の様子はYouTubeやニコニコ動画などでも生配信されました。

会場は、競技大会に白熱する若い世代や、「eスポーツ × ビジネス」に関するセミナーを熱心に聞く企業担当者など、多くの人々で賑わいました。

展示ブースの企業担当者にインタビュー

eスポーツ関連産業の展示エリアには、30を超えるブースが展開されていました。

今回は、その中でも特に気になった4社に、事業内容やスポーツ業界に参入した背景を聞いてみました。

川上産業

──事業内容を教えてください。

弊社はもともと緩衝材のプチプチを作っていて、その技術を応用して防音ブース「ONE-Z」を販売するようになりました。すでに多くのYouTuberさんに(提供ではなく)個人でご購入いただいています。

既製品の販売だけでなく、フルオーダーで受注を受けることもあります。一般のものは20万円前後、フルオーダーだと100万円前後で販売しています。

──eスポーツ業界に参入した背景を教えてください。

eスポーツ業界に参入したのは1年半ほど前ですが、防音ブースに関しては10年ほどの歴史があります。元々は国際会議で通訳の方が入る同時通訳ブースを製作していて、コロナ禍に簡易個室の需要が高まったので、楽器演奏用のブースや、配信者の方向けの防音室を作るようになったという流れです。個人利用を想定した製品の場合、コスト感を特に意識しています。はじめは30万円を超える金額で販売していたのですが、ヒアリングを通して20万円くらいのものが求められているということが分かりました。

そこで、部屋のサイズを小さくして、部品の使用量を少なくするなどしてコストを抑えるようにしましたね。法人のお客様だと、Web商談用でまとめて複数個導入していただいたこともあります。

現在、東京、横浜、名古屋、大阪にショールームがあり、漫画喫茶と提携して千葉の方にも置いていただいているんですが、やはり高額な買い物ということもあって、実際に体験してみたいという声が多いです。

より多くの方に体験してもらえるように、今年の2、3月を目処に大手家電量販店などで設置していただくことを現在計画しています。

ローランド

──事業内容を教えてください。

弊社は電子楽器のメーカーではありますが、業務用の映像音響機器も販売しています。コンサートやビジネスカンファレンスのステージ演出に使用するような機器、例えばPowerPointなどの発表スライドを組み合わせた映像を投影するような機材などを販売しています。

eスポーツでは、大会運営でゲーム画面と選手のカメラ映像などを重ねて演出することも多いので、本イベントではそういったアイテムをご紹介しています。

ハイエンドのプロフェッショナルな大会運営のものから、チームで配信される方向けのコンパクトなものまで幅広いラインナップがあります。必要なカメラの台数や、ゲーム機の台数に応じてラインナップが選べるようになっています。

──eスポーツ業界に参入した背景を教えてください。

元々コンサートやステージ演出に使われていた商品を、「​​eスポーツでも活用できる」と打ち出し方を変えてみました。

パーソナル用、個人配信用のゲーミングミキサーを「eスポーツ用」と銘打って販売し始めたのが2023年からでして、展示会の出展も今回が初です。

楽器を演奏する際、マニュアルを読んで触るのではなくて、触りながら習得される方が多いと思うのですが、業務用音響機器でも同じように「これを押せば映像を重ねられるんだな」と感覚的に覚えていただけるような使い勝手は意識して作っています。

プロの方はもちろん、映像や音声に明るくない方でも操作いただけるようにというのは、楽器を製作してきた長年の蓄積がありますね。

昨年、ローランドは創立50周年を迎えました。そういった蓄積を武器に研究改良を続けていきたいですね。

めがねmonoや(ゲーム用メガネ「eSAS(イーサス)」)

──事業内容を教えてください。

「その人の目にとって一番良いメガネ」を作っています。弊社ではメガネを注文いただいた際、必ず1時間ほど検査を受けてもらっています。メガネで1番大事なのは距離です。

どの距離のものを見るかというのが1番大事で、例えば、スマホ、PC、テレビでゲームをするとき、適切なメガネはそれぞれ異なります。

使用環境や見え方など、さまざまな角度から検査してから、最も適したメガネを作るようにしています。

──eスポーツ業界に参入した背景を教えてください。

コロナ禍に入り、これからの時代オンラインで人と会うことが増えるとなったときに、画面を見る機会が増えることで目が悪くなる、というところから派生してeスポーツについて調べてみました。

そこで、メガネ屋が考える「一番良いeスポーツグラス」を作ってみたんです。最初は度なしで作ったり、オンラインで販売したりしていたのですが、あまり効果がなくて…。理由を考えながら、検査をたくさんしてみたところ、自分が想像していたよりも目が悪い人が多かったんです。

そこから、徹底的に検査することが大事だと分かり、今の方針になりました。

今回のようなイベントでは、簡易的な検査を行い、自分の目の状態を知ってもらうという点にフォーカスしています。

まだ知名度は低いですが、プロゲーマーの方にも購入していただく機会が増え、そこから口コミで徐々に広がっています。プロゲーマーの方が試合に出て対戦をする際、後半に近づくにつれ、目の疲れが出てきて集中力が落ちていってしまうんですよね。

ちゃんと自分に合ったメガネをつければ、最後まで目の疲れを感じずにプレイできるので、大会で活躍していただくためにも、ぜひうちのメガネを使ってほしいです。

ピーコック魔法瓶工業

──事業内容を教えてください。

弊社は70年以上、魔法瓶作りを行ってきました。新しく商品開発をしていく際に、今伸びている市場や元々あるマスの市場を狙っていくという考え方があるんです。

eスポーツプレイヤーの方々に話を聞いてみると、飲み物を倒したりこぼしてしまったりすることで、高い機材を壊してしまう懸念ゆえに、ゲーム中の水分補給がままならないという声があることが分かりました。

そこで、ゲーム環境をより快適に過ごしていただくために作ったのがPEACOCK GAMINGのタンブラーやボトルのシリーズです。

──eスポーツ業界に参入した背景を教えてください。

2020年の春からマーケティング部隊を立ち上げるなど、コロナ禍をきっかけにさまざまな取り組みを行っていて、そのうちの一つがeスポーツでした。PEACOCK GAMINGは、2020年の秋から調査を開始して、2021年から販売を始めました。

社内にeスポーツが好きな者がいて、アンケートを取ったところ、飲み物に関するニーズがあるということが分かって、参入した次第です。また、70年やっている会社ではあるものの若い世代には知名度が低いので、接点の一つにもなるかなという理由もあります。

歴史ある企業でありながらも、柔軟性高く自由にやらせてもらえる風土があるので、社員の意見は積極的に反映されています。

例えば、タンブラー・ボトルの色は、eスポーツと親和性の高い蛍光カラーを取り入れているんですが、これも社内のゲーム好きの社員や若い人材の意見が基になっていますね。

倒れてもこぼれにくいというのは、ゲームをする方だけでなく、PCを使うオフィスワーカーにとってもニーズがあると分かったので、その方面にも活用できたらと思っています。

まとめ「コロナがなかったらeスポーツと出会えなかったかもしれない」

どの企業も、以前からeスポーツやゲーム業界に関わりが深かったわけではありませんが、コロナ禍をきっかけに、eスポーツに目をつけて参入したとのこと。「コロナがなかったらeスポーツと出会わなかったかもしれない」という言葉が企業担当者から飛びだしたのが印象的でした。

歴史ある企業だからこそ自社独自の強みがあり、その強みを活かした方法でeスポーツに関わっている姿勢も多く見られます。eスポーツ市場に参入したことにより、既存の市場やまた新たな市場に関するインサイトが得られたという企業もあるようです。

eスポーツ市場はまだまだ発展途上ではあるため、今後さらに多くの企業が革新的なアイデアを持ち込んでくることは想像に難くありません。企業同士のコラボレーションにより、eスポーツ内外の発展に繋がっていくことも期待されます。



《Ogawa Shota / Matsunaga Haruka》

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