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イラストがそのまま動く「Live2D」―その誕生のきっかけや話題の「FaceRig」に迫る

2Dのイラストが自由自在に動く。それは、まさに魔法のような言葉です。イラストや漫画を描いた経験がある方ならば、自分のキャラクターがイキイキと動く様を見てみたいと思ったことがあっても何ら不思議ではありません。

ゲーム開発 ビジュアル

◆「Live2D」が目指すもの、実現させたいカタチ



──現段階ではお話しづらいかもしれませんが、「Live2D」はもちろんこと、開発が発表されている「Live2D Euclid」の現状などもよければお聞かせください。

中城氏:技術の内容に関して紹介できる段階ではないんですが、最近発見した技術的な手法というかアルゴリズムで、「Live2D」がものすごく進化しそうなんですよ。ツールが便利になるとかそんなレベルではなく、「なんでこれが今まで出来てなかったんだろう」と思うような、次のステップに進むくらいの進化を迎えつつあります。

今までの「Live2D」に対しては、30点や40点くらいの、結構きつめの評価を下していたんです。でも今回の進化が実現すれば、これまでのものはむしろ20点くらいで、進化した「Live2D」は60点くらいになると思います。あまりハッキリとしたことが言えなくて申し訳ないんですが(笑)。

──それは本当に大きな進化となりそうですね!

中城氏:今はまだ出来かけなので、アラがないか調べたりもしてますが、期待していただいて大丈夫だと思います。

阿曽直貴氏

──詳しい発表を、楽しみにしています。では、「Euclid」に関してはいかがでしょうか。

阿曽直貴氏(チーフプログラマ / Euclid 開発リーダー):誰もまだ作っていないものに挑戦しているため、当初の予定よりは遅れていますが、開発そのものはいい方向に向かっています。

──今、どのような状態で開発が進んでいるんですか?

阿曽氏:1年ほど前はまだ人数も少なく、「あれもやりたい」「これもやりたい」という想いが先行しており、何をどう作るのか固まっていない状況もありました。ですが今は順調にスタッフも揃い、半年後の「alive」に向けて何らかの発表ができるような見通しが立ちつつあります。

──リリースに向けた目途も立ちつつある、と考えてもいいのでしょうか。

阿曽氏:1年後くらいには、ユーザーさんの期待に応えられるようなソフトが出来ているんじゃないかなと思っています。開発している自分も、どのようなものになるか今から楽しみですね。

ちなみに「Cubism」とも協力しながら作っている面がありまして、モデル制作を「Cubism」で作り、その後に「Euclid」に反映させる、といったことも行っています。その関係で、なぜか「Cubism」が発展してしまうこともありましたが(笑)。

中城氏:「Cubism」と「Euclid」は、社内で競い合うライバルみたいな面もありまして。



──ああ、なるほど。切磋琢磨し合っているわけですね。

中城氏:自分は、社長で最高技術責任者なんですが、彼(阿曽氏)はチーフプログラマでして、「Euclid」の開発は彼のメンバーに任せているんです。途中までは自分も「Euclid」に関わっていたんですが、任せた方がやりやすそうだったので(笑)。

自分の方は、現行で売れている「Cubism」をやっており、住み分けができている状態ですね。もちろん協力や情報交換もするし、共に発展している関係なんですが、ライバルでもあるといった感じです。社内でイノベーションできるのは、理想的ですから。

ちなみに、一枚の原画からできる至高の表現を目指すのが「Cubism」の方向性とするならば、「Euclid」は2Dによる立体表現の理想形を目指すといった感じです。

──2Dという大きな旗のもとで、それぞれ異なる方向性を目指す「Cubism」と「Euclid」。その両者が社内で競い合えるというのは、確かに理想的な環境ですね。

中城氏:日本発の技術で世界に向けて勝負したいので、海外で同じような技術に負けるわけにはいきません。「Live2D」は、世界を狙える技術だと思うので、「Cubism」と「Euclid」で競い合って、トップランナーとしてやっていきたいですね。



──ちなみに「Euclid」も、使いやすさなどは考慮されているんでしょうか?

阿曽氏:まず今の「Cubism」は、今後も「Cubism」として正統進化していくと思います。そして「Euclid」は、今の「Cubism」に縛られず新しい発想を模索しているところです。

──「Cubism」とは違うアプローチも考慮されているんですね。

阿曽氏:「Live2D」を一番使っているのは、ある意味社内の制作メンバーなんですよ。だから、常日頃使っている人間からの不満はいつもリアルに届いていて(笑)。そういった声の解決もしっかり目指しています。

──使ってる人間からの声というは、確かに重みがありそうですね。

阿曽氏:近すぎて逆に見えない問題もあるので、そういう時はユーザーさんからの意見で気付いたりする時もあります。

──「Live2D」が更なる発展を遂げていくと、最初に伺った優勝された韓国のユーザーさんのように「Live2D」で人生が変わったという人が、今後どんどんと増えていきそうですね。

中城氏:専門学校で作画やキャラデザなどを教えている先生が学生に「イラストだけで食っていけると思うなよ」といいつつLive2Dを教えているとか。今は3Dもかなり進化しているので、イラストのような2D寄りの学生さんたちは、不利な一面もあるんですよ。でも「Live2D」を活用してもらうことで、2D専門の方にとっても表現の幅が広がるというか、ひとつ武器が増えてるのかなと。そうなってくれたら、本当に嬉しいですね。

東舘氏:「Live2D」が使えたから就職できました、と言われたこともありまして。



──就職にも役立つんですね、「Live2D」は(笑)。作る側の「Live2D」への関心が高まっている証とも言えます。

白土大氏(マーケティング担当):その作り手の関心や情熱に答えたかったので、個人の方にも使いやすいようにと有料のPRO版の割引キャンペーンを行っているんですが、近い価格で今後も提供していこうと決定しました。PRO版は機能もさらに充実しているので、これまでフリー版しか使っていなかった方も、これを機に本格的な作品を作っていただければ嬉しいですね。
※キャンペーンは1月末日で終了し、2月1日よりインディー版価格(\29,800)での正式提供を開始しました。

──「Live2D」のこれまでと今、そしてこれからを教えていただき、ありがとうございます。それでは最後となりますが、「Live2D」に注目しているクリエイターさんや、そこから生み出される新たな娯楽を楽しみにしているユーザーの方々に向け、メッセージをお願いします。

中城氏:「Live2D」の進化の度合いは、今は40点くらいかなと思っているんですが、それが70点や80点までいけるようなものが進行しています。僕らも驚くような進化が始まっているので、期待していただきたいのがひとつ。そして、僕らが「Live2D」を作っただけでなく、使いこなして発表してくれる人、それを見てくれる方がいてこそ、進化のサイクルが完了するのだと思います。

「Live2D」が理想の100点に到達するには、生きているうちにできるかどうか位の難しさがあると考えていますが、「2Dがここまでいけるんだ」という世界を、ぜひ一緒に育ててください。

──「Live2D」が切り開く未来、ぜひ目の当たりにさせてください。本日はありがとうございました!


copyright (C) 2014 Live2D Inc. all rights reserved.
《臥待 弦(ふしまち ゆずる)》

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