クラウドファンディングって何だ?・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第22回 | GameBusiness.jp

クラウドファンディングって何だ?・・・黒川文雄「エンタメ創世記」第22回

2013年4月30日、私自身が開催する黒川塾八が開催されました。

その他 その他
2013年4月30日、私自身が開催する黒川塾八が開催されました。

今回のテーマは「モノ創りをあきらめないために・・・クラウドファンディングってなんだ!?」というもので、現在、アメリカを中心にネット上で協賛者(有志)からの出資を募るファンドのことを言います。ちょっと前まで、クラウドと言えば、サーバーのクラウドサービスとかゲームのクラウドサービス(Gaikai)などが取りざたされていましたが、今はクラウドと言えば、クラウドファンディングのことと言っても過言ではないよう思います。

さて、そんなクラウドファンディングサービスですが、日本でも徐々に開花しつつあります。今回は4社のクラウドサービスを供する会社に登壇をいただきました。

MotionGallery(モーションギャラリー)は劇場用映画の「ハーブアンドドロシー2」の宣伝配給費用、約1400万円をファンディングしたことは記憶に新しいと思います。現状の日本のクラウドファンディングサービスとしては最高額の記録をマークしています。前作(1)の認知度もあったとはいえ、ファンド(出資)してくれる層にマッチした案内を送りつづけない限りリーチしなかったであろう金額だと思いますので、まさに快挙ではないでしょうか。

家入一真氏が共同代表を務めるCAMPFIRE(キャンプファイアー)は、バラエティにとんだファンドアイテムが揃います。現在は「鼻型コンセント」から「お笑い系」、津田大介氏が提案する「福島をチェルノブイリにする」というリゾート化計画など多岐に渡ります。一見するとあれ?と思ってしまうような楽しいプロジェクトがたくさんあります。

READYFOR?(レディフォー)は、主に文化的社会的な貢献やテーマを先にありきで企画も検討するというスタンスで、人々が支え合いチャレンジできるような環境を形成していくことが理想とのことです。

もう1社は、まだサービス未導入ですが、アニメ関係に特化したクラウドファンディングサイトAnipipo(アニピポ)です。アニメ業界全体に漂う沈滞ムードや低賃金制を打破したいという意志のもと、制作者を支援したいというサービスです。

各社各様ですが、基本的なサービス内容は同じです。あとは自分がどのサイトのコンテンツとして展開したいと思うか、サイト自体のファンがどれくらいいるのかというがポイントかもしれません。

しかし、各サイトの代表者とのパネルディスカッションを経て思ったことは、要はプロジェクト推進者のやる気・情熱ではないかということに突きました。最後まで諦めず、絶対に実現するという強い意志が必要なのです。
先日のGDCでのセッションでICOパートナーズ社のトーマス代表が言っていたポイントが当てはまると思います。それが以下です。

・プロジェクトに合った。正しいゴールを設定する
・出資してくれる人、してくれない人も、支持者を大事にする
・出資してくれる人のリクエストなどを聞いて、応える
・プロモーション展開を行う
・どこのカテゴリーやターゲットを目指すのかを決める

そして最後に、本当にこの企画をクラウドファンディングで出資を募集するかどうかを考えるというが重要なポイントではないかというプレゼンでした。
 
実は今回、私自身が「モンケン」というゲームプロジェクトを立ち上げました。それはなぜか?というと・・・実はこの企画をたちあげたときに、スマートフォンのゲーム開発をする会社を何社か回って説明をしました。すると判を押したように「売れますか?」「KPIは?」「どうやって集客しますか?」という点でした。確かに正論です。しかし、コンテンツが面白いか面白くないかの前に、売れるか売れないかという部分を問われました。中には面白いけど売れそうにない・・・というオカシな対応もありました。そのような中で気持ちとしてはやや疲弊してしまったことは事実です。

そのなかで、どうやったら自分たちの創りたいものを実現するにはどうしたらいいのだろうか?と考えた末に実現したものが、今回、CAMPFIREで実行中の「モンケン」プロジェクトです。

WEB上にはさまざまなサービスがあります。クラウドファンディングも現在の成長中の新しいサービスです。しかし、大事なことは、これをどう使うか、どう作るかであって、クラウドファンディングも実行すれば成功するという短絡的なものではありません。事実、アメリカのKickstarter(キックスターター)での成功率は30%です。つまり大きな成功事例に目が行きがちですが、実態としては失敗事例のほうが多いということです。おそらく、このサービスが生まれ、このサービスから生まれた新しいクリエイションやコンテンツが新しい連鎖を生んでくれることを期待します。


■「モンケン」クラウドファンディング CAMPFIREにて
http://camp-fire.jp/backers/index/605

■モンケン ホームページ
http://monken.jp/

次回の“黒川塾(九)”は、2013年5月20日に開催が決定。「Unityによるゲームの民主化は共産化か・・・?!」 大前広樹+やまもといちろう+清水亮+黒川文雄
ネットからの前売りお申込みはこちらから

■著者紹介
くろかわ・ふみお 1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、映画・映像ビジネス、ゲームソフトビジネス、オンラインコンテンツ、そしてカードゲームビジネスなどエンターテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。コラム執筆家。黒川メディアコンテンツ研究所・所長。黒川塾主宰。
《黒川文雄》

この記事の感想は?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら