「日本と海外におけるゲーマーにとってのリージョン制限」・・・イバイ・アメストイ「ゲームウォーズ 海外VS日本」第22回 | GameBusiness.jp

「日本と海外におけるゲーマーにとってのリージョン制限」・・・イバイ・アメストイ「ゲームウォーズ 海外VS日本」第22回

リージョン制限(いわゆる「お前の国には売ってやんねーよ」略して「おま国」)は、現在、世界中のゲームプレイヤーにとって決して目新しい物ではない。しかし、世界中のユーザー同士が3DSやPlayStation Vita等の新世代ゲームコンソールが提供するダウンロードコンテン

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リージョン制限(いわゆる「お前の国には売ってやんねーよ」略して「おま国」)は、現在、世界中のゲームプレイヤーにとって決して目新しい物ではない。しかし、世界中のユーザー同士が3DSやPlayStation Vita等の新世代ゲームコンソールが提供するダウンロードコンテン
  • リージョン制限(いわゆる「お前の国には売ってやんねーよ」略して「おま国」)は、現在、世界中のゲームプレイヤーにとって決して目新しい物ではない。しかし、世界中のユーザー同士が3DSやPlayStation Vita等の新世代ゲームコンソールが提供するダウンロードコンテン
リージョン制限(いわゆる「お前の国には売ってやんねーよ」略して「おま国」)は、現在、世界中のゲームプレイヤーにとって決して目新しい物ではない。しかし、世界中のユーザー同士が3DSやPlayStation Vita等の新世代ゲームコンソールが提供するダウンロードコンテンツやインターネットショップを通してつながる今、果たしてそれが時代にふさわしいものだろうか。

日本国内、そして海外のゲームユーザーはどのようにリージョン制限に対応しているのか?そして何故ゲームメーカーは時代遅れとも言える規定を未だに設けているのか?
その二点を含めゲームユーザーとメーカー、両方の視点に立ち、この問題を考えてみたい。

1.どのような種類のリージョン制限が存在し、どのようなユーザーに適用されているのか?

■リージョンロック

リージョンロックは大体の場合、コンピューターチップやプログラムとして組み込まれている事が多い。任天堂、ソニー、そしてマイクロソフト社は自社の最新コンソールに対し、それぞれ違う対応をしている。

任天堂は常にリージョンロックについて今も、昔も変わらず厳格な姿勢を貫いてきた。昔のコンソールは世界各国のTV規格(PAL/NTSC)に対応しなければならず、それが自然とリージョンロック機能としての役割を果たしていた。加えて、当時はカートリッジシステムに侵入する事自体が困難であったし、また海外送料の関係でゲームの輸入は非常に高価だったのである。結果としてコンソールにロックを掛ける必要はなかったのだ。  

しかしダウンロード販売が普及し、上記のような障壁がなくなった現在ではリージョンロックをハードウェア、ソフトウェア問わず実装するようになった。以前に発売された任天堂の商品であるニンテンドーDS、DS Liteは最新機の3DSやWiiとは違い、リージョンフリーであった。それらが発売された当時、アメリカやヨーロッパのユーザーは母国では発売されないソフト、もしくは海外版が母国で発売される数か月前に日本語版を手に入れたりしていた。一日でも早くゲームをプレイしたい熱烈なユーザーにとって、言語の壁などはまったく問題無かったのだ。しかし、そんな海外のユーザー達は今、悲鳴を上げている。任天堂が3DSのリージョンを3つに分けると決定したからだ。

DSiとそのダウンロードゲームにはリージョンロックが施されていた。任天堂が3DSのリージョンを分けると決定したのはその延長線上にあるのだろう。任天堂のeShopをブラウズし、ゲームやコンテンツを購入するためにはコンソールとeShopのリージョンが一致していなければならなくなり、結果として日本人ユーザーもアメリカやヨーロッパのコンテンツにアクセス出来ないようになった。同じ様にWiiも一定のリージョン用だけに限定されている。その一例としてアメリカで購入したWiiでは日本語を表示する事が出来ず、他のリージョン地域で購入したゲームもプレイ出来ない。

マイクロソフト社のXbox360はリージョンフリーコンソールとして一般的に認識されているが、それにもいくつかのリージョン制限がある。そういった問題の多くは異なるTV基準や、特定のゲームソフトウェアそのものに施されているリージョンロックによって引き起こされている事が多い。しばしば起こるケースとして、PAL地域のメーカーのゲームの多くはNTSCシステムでは起動しない。任天堂のケースとは違いこれらの決定はメーカーによるものではなく、パブリッシャーによるものだ。これらパブリッシャー独自の規定により、多くのユーザーに混乱をもたらし、海外製のゲームを購入する事自体が一種のギャンブルになっている。そんな中、多くのユーザーは自身の経験を他のユーザーとシェアし、どのゲームが「リージョンフリー」で、どのようなルートでゲームを購入すればいいのかが分かるリストを作成したりしている。

ソニー製のコンソールも似たようなトレンドにあると言っていいだろう。PS2は未だにリージョンロックが掛けられているが、PS3(PS Vitaや以前のモデルのPSPも同様)はムービーディスクを除き、完全にリージョンフリーだ。北アメリカのゲームユーザーにとって日本からゲームを手に入れ、プレイするのは容易になってはいるが、ゲームやコンテンツをダウンロードする手順が必要以上に複雑だとの声もあがってきている。何故なら、PS3とPSPにはそれぞれ違うバージョンのPlayStation Storeが各リージョンに存在し、違うリージョンでダウンロードしたゲームやコンテンツを使用するには、ダウンロード元のリージョンで新規PSNアカウントを作成しなくてはならない。しかしVitaの場合は1ユーザーにつき1つのアカウントと決められているので、以前までの手法(アカウントの切替等)は使えなくなってしまった。ユーザーはリージョンの異なるストアからの購入を制限されたという事だ。さらに、異なるアカウントを使い分ける事も困難な仕様になっている。別のリージョンからコンテンツを購入したい場合はシステムをリセットし、それぞれのストアアカウントに切り替えなくてはならなくなった。

リージョンロックを実施するのは不可能に近いとされるPCユーザーは上記のユーザー達と比べ気楽なものだろう。OSやゲーム自体を自らの手で処理、編集できるのだから。だがしかし、多くのゲームパブリッシャーは特定の国からのIPアドレスをBanしてアクセスを制限し、それをリージョンロックとして使用している。オンラインゲームでは特にそれが顕著だ。世界最大のPCゲームプラットホームSteamでさえ、いくつかのゲームでリージョン制限がかかっている。リージョンロックの対象はアクセスされたロケーションによって測定されており、特定のエリアからアクセスした場合、ダウンロードなどが正常に機能しない場合がある。Steamアカウントには決められた場所というものはなく、ユーザーがログインしたロケーションによって判断しているのだ。例えば、アメリカ観光中の日本人ユーザーが、アメリカのSteamゲームを購入しようとそのサイトにアクセスしたとする。いつものようにクレジットカードでゲームを購入しようとするがカードが通らない。何故ならそのサイトは国外で発行されたクレジットカードの使用を拒否しているからだ。恐らくその観光客が母国で同じゲームを購入しようとしても、ソフトウェアのリージョン制限により購入する事はできないだろう。だがしかし、日本滞在中の外国人が母国のゲームを購入する事は可能なのである。ユーザーサポートに連絡すればローカルマーケット用ではないリンクが送られ、そこにアクセスすれば購入する事ができる。

しかし日本人のSteamゲームユーザーにとっての一番の問題は価格設定だろう。アメリカで販売されている値段よりもさらに高い値段で価格調整されたゲームを購入しなければならないことさえある。日本版の『Call of Duty: Black Ops』を例に挙げてみてみよう。アメリカでは$59.99で販売されたゲームなのだが、日本では$99.99で販売されていた。この価格の差が生じる原因は発売元のスクウェア・エニックス社にあると感じる。おそらくパッケージ版『Call of Duty: Black Ops』のメーカー希望小売価格である\7,980をそのまま当時の為替レートを用いて設定したのだろう。この判断にはいつくか首を傾げる部分がある。多くのユーザーはバカ高い値段設定を見て、その背景までは深く考えず、見たままの馬鹿げた値段設定から背を向けるだろう。ましてやスクウェア・エニックスe-storeではリテールバージョンが¥3,980で購入できるのだ。もしユーザーがそれに気が付いた時、どういった反応を示すのか想像するのは難しくない。

■リージョン・アクティベーション

リージョン・アクティベーションとは、簡単にいえば特殊なタイプのリージョンロックである。ここで、スクウェア・エニックス社から発売された 『Deus Ex: Human Revolution』 を例に挙げよう。このゲームはプレイする前にオンラインを通してアクティブしなくてはならず、例え正規のルートで手に入れたとしても異なるリージョンエリアではプレイできないようになっている。自由貿易、公正競争を標榜するEUマーケット内のユーザーでさえ、自由にゲームを購入する事が出来ないのである。それどころか不当ともいえる価格高騰(リージョンエリアによっては3割増し)がユーザーを苦しめた。※1

もっとも『Deux Ex』の件は特別なケースである。この問題の原因は発売を担当した小売業者がリージョンロックを事前に説明しなかったことにある。その結果、イギリスからこのゲームを仕入れたフランス人ユーザー達の手元に残ったのはプレイする事が出来ないゲームだったのだ。

※1 スクウェア・エニックスは海外市場に低予算でオフィスを設立したり、安い値段でインターナショナルデベロッパーを買収しているにも関わらずに、だ。

■iTuneのリージョン制限

かのApple社でさえそれをiTunes Storeで使用している。自らのコンテンツを異なるマーケット公開する障壁は低くなってきているにも関わらず、デベロッパーはどの国で自身のゲームを公開するのかを選ばなくてはいけないのだ。したがって全てのゲームが世界中で購入できるのではなく、多くのユーザーは海外タイトルを手に入れるのに苦労している。iOSゲームを購入する唯一の方法はゲームが発表された国で発行されたクレジットカードを使用する事だけで、(例:USストアではアメリカのクレジットカードのみ使用可能)もし該当するクレジットカードを所持していない場合は、面倒なプロセスを経てクレジットカード情報が登録されていないアカウントを作らなくてはならない。しかしこの方法ではフリーアプリしかダウンロード出来ず、アプリを通しての購入も出来ない。

■マルチプレイ制限があるゲーム

マルチプレイヤーゲームについて考えた場合、上記のような問題は更に深刻な物となる。
ユーザーがお気に入りの日本製ゲーム(ローカルストアから正規のルートで購入した物)を友人とプレイしようとする時や、オンラインで海外のプレイヤーと対戦しようとした場合、マルチプレイヤー制限に引っかかる場合が多々ある。

例えば3DS。日本版の『ストリートファイター』ではアメリカ版の『ストリートファイター』にローカルマルチプレイヤーを通して直接繋ぐことはできない。これはeShopからのソフトウェアダウンロードにもあてはまる。しかしそれらのゲームはクロスカントリーマルチプレイヤーモードでは問題なくプレイ出来るはずだ。

こういった機能を比較的、軽く扱っている3DSに対し、『Dungeon Defenders』のようなSteamゲームではマルチプレイヤーモードへのアクセスに制限が掛かっている場合がある。通常はユーザーがこの問題に直面した場合、ダウンロードリージョンを切り替えたりして対応するのだが、『StarCraft II』の場合になると、数多くのオーストラリアユーザー達が文句を言っている。何故なら彼らが対戦できる相手はアジアン―パシフィックエリア内のプレイヤーだけだからだ。この制限は『StarCraft II』内のリージョンアクティベーションシステムによるもので、一度ロックされた後に変更する事はできない。

世界的な視点でこのマルチプレイヤー制限を見ると問題点が浮かび上がってくる。この制限はバランスのとれたマッチングや世界的なマルチプレイヤーコミュニティーの構築を妨げており、デベロッパーに対しての遺恨の種になっているのだ。

2.何故リージョン制限があるのか?
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■著作権侵害

リージョン制限が設けられるようになった最も大きな原因といえば著作権侵害の問題だろう。この問題はゲームのデジタルダウンロードが普及するにつれ深刻になってきた。そんな中、リージョンロックにより1人の「海賊」につき1つのリージョン内でしか「活動」出来ないように制限を掛け、世界中での「活動」の妨げにした。

過去、PCゲームは家庭用コンソールのゲームよりもさらに大きな著作権侵害による被害を被っていた。標的になっていた主たる理由として、様々な面で「作業」し易かったからである。家庭用ゲームカートリッジをコピーしたり、違法なCD/DVDを読み取とれるようにする作業は大変手間がかかり、なによりもコストが掛かった。ゆえに任天堂製のコンソールの多くはリージョンフリーだったのだ。

しかし「海賊」達は特別なカートリッジ(R4 DS 等)を用いてDSをクラックし、違法なダウンロードサイトに無数のゲームをアップした。

リージョンロックをDSiや3DSに施すというのは任天堂にとって必然の対応だったのだ。その上でもなお、アジアのブラックマーケットでは未だに違法コピーされたゲームが取引されている。そのような背景があり、違法な取引を未然に防ぐため、政府主導でリージョンロック、またはアクティベーションが導入されたのだ。※2

※2しかしリージョンロックが本当に「海賊」達を止める事に役だっているのかは疑問だ。何故ならリージョンフリーのPlayStation 3では深刻な著作権侵害行為は報告されていないからだ。

■パブリッシングおよび流通契約

二つ目のポイントとして、発売ライセンスがリージョンロックのよいモチーフとして挙げられる。一つのゲームには最低一人以上のパブリッシャーやディストリビューターが付き、世界中のリージョンで異なる契約と発売日が設定している。そんな中、もしリージョン制限を設けなかった場合、まだタイトルが発表されていないリージョン内は先に他のリージョンで発売されたバージョンのコピーであふれる事になり、その地域で改めて発売する魅力が薄れてしまう。このライセンスの問題を見れば一部のリージョンで特定のゲームが発表されない理由がわかる。そのリージョンでゲームをリリースするためのパブリッシャーが見つからなかったということだ。

■ローカリゼーションインテンシブ及び段階的リリース

国内で一つのゲームに一人以上のパブリッシャーやディストリビューターが付き、リージョンロックシステムが付いていないゲームを他の言語へローカライズする場合、発売までの時間が長くなる場合がある。

ここでは『デモンズソウル』を例に挙げて見てみよう。この有名なタイトルは3つのメインリージョンにそれぞれ異なるパブリッシャーが着いている。このゲームが日本で発売されたのが2009年2月、北アメリカでの発売はその半年後で、ヨーロッパ、オーストラリアで発売されたのは日本での発売日から1年以上遅れた2010年6月だった。何故各リージョンでの発売まで時間がかかったのか?実は『デモンズソウル』にはソフトウェアロックがかかっておらず、さらにPS3はリージョンフリーであったので、多くのリテーラーやゲームユーザーは自由にプレイする事が出来たのだ。そういった理由から時間と費用を掛けてまでヨーロッパ版をリリースするポイントが薄くなっていたのだ。※3

※3リリースされたゲーム毎に違うオンラインサーバーが使用され、オンラインマルチプレイに制限がかかっていた。またトロフィーセットやセーブデータにも同じように扱われている

このようなサンプルを見れば何故リージョンコントロールが施されるのかがわかるだろう。リージョンロックを施す事でデベロッパーやパブリッシャーにとってユーザーの購買意欲を読み易くし、各リージョン内でのリリース日を設定する事が容易になるからだ。

段階的リリースとリージョンロック。この二つは海外市場での最大利益やローカリゼーション及び流通の時間的ギャップを考慮した上で導き出されたものなのだ。
それでも上手くいかない事は色々とあり、長い間発売を心待ちにファンをなだめる為、パブリッシャーは追加特典を付けたりと色々工夫している。例えば、アメリカバージョンのデモンズソウルでは追加のストラテジーガイド、アートブック、そしてサウンドトラックが付随していた。

■価格設定

リージョン制限においてもっとも「魅力的」な部分は価格設定だろう。単純に考えて、一つ価格体系で世界中をカバーする事は難しい。それぞれのリージョンには適正価格があり、ユーザーは一番安く購入できるリージョンでゲームを購入しようとするだろう。

さらに、上で挙げたライセンス関連の問題があるにもかかわらず、多くのプレイヤーが自分のテリトリーにゲームを輸入している中、多くのパブリッシャーは特定のリージョンでもっと売れそうなタイトルの事を忘れてしまうようだ。加えて、このようなリージョンロックによる価格設定は独占禁止法に引っかかってしまう場合もあり、その一例としてEU圏内のようなオープン市場でリリースされたPC版の『Deus Ex Human Revolution』が挙げられる。そんな中、任天堂のパブリッシャーはこのコンセプトを熟知し、成熟させ、自らの物にしたようだ。彼等は人為相場の格差をそれぞれの国で保ち、異なる価格設定の中で最大利益を生み出している。

■文化の違い

リージョン制限は文化的、または法律的な理由で使われる事もある。例えば言語の違い、年齢制限、ペアレントコントロール、各リージョン内の法令遵守等がそうだ。特に任天堂はこれらの理由に重きをおき、「最高のゲームをユーザーに」そして「各リージョン内で購入されたゲームが何の問題もなく起動する事」を約束している。

海外で発売されたゲームが文化的な面をしっかりフォローしていない場合、ユーザーを混乱させたり、時には感情を逆なでする場合もある。ゲームの中には政治的、もしくは宗教的なコンテンツが含まれている物もあり、それらの文化的な面はそのゲームが開発された国でしか理解されないものがある。だからリージョン制限は繊細なリージョン同士を分ける役割も担っているのだ。※4

※4ゲーマーの中にはこの事を興味深いと感じる人もいるようだ。彼等は色々なタイプのゲームが様々な文化を代表していると感じ、そこにゲームプレイの醍醐味を感じている人達もいる。

■リージョンにおけるペアレントコントロール。

最近のゲームコンソールのほとんどはペアレントコントロールシステムを搭載している。
これは保護者が自分の子供に相応しいゲームを具体的なレーティングを基にして選択する助けになっている。問題は世界各国、そしてNPOが独自のレーティングシステムを持ち、(例:北アメリカではESRB.日本ではCERO)全世界共通のレーティンングシステムが制定される事は遠い先の話になると言う事だろう。現段階では単にコンソールやゲーム自体にリージョンロックを掛けたほうが簡単なのだ。※5

3.リージョン制限がもたらすトレンド、もしくは影響とは?
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リージョン制限を掻い潜る具体的な方法はあまり見つかっていない。その結果、多くのゲーマーにお気に入りのゲームで遊べない、目当てのゲームがローカライズされて発売されるまで待たなくてはいけない等の状況を生み出し、発売元の悪いイメージがゲームコミュニティーに広がる要因となっている。このようにリージョン制限は、合法的にゲームを購入しようとしいているユーザーにとって不都合を生み出す場合が多い。そうして不満を持ったユーザーはゲームフォーラム等で文句を書き連ねたり、ゲームの購入自体をあきらめたり、時にはゲームやコンソールをクラックしてみたりするのだ。違法行為の元凶がリージョン制限にあるとまでは言わないが、それが大きな原因の一つになっているのではないかと感じる。

そういったリージョン制限の網を掻い潜ろうとするため、ゲーマー達は色々と工夫し、(法律を破るつもりはなくても)その行動が法律上ギリギリの境界線上にまで達する事がある。マルチプレイヤー制限やオンラインアクティベーションに関する一例をみてみよう。
一部のユーザーはそれらの制限を、VPNを介し別のIPアドレスになりすます事で回避している(なりすまし)。特定のリージョンで購入できないSteamゲームに関してはゲームを他のユーザーに贈与する事で回避しているユーザーもいる(ギフティング)。こういった行動がエスカレートした場合、インターネットプロバイダやSteamのような配信プラットフォームとの間で法律的な問題に発展するかもしれない。

リージョン制限を設ける理由は上で挙げたような良い理由が沢山ある。しかし同時にそれに反対する理由も同じほどあるのだ。インターネットと安いシッピングチャージで世界がより身近になり、ゲームマーケット自体が小さい物となった。特にデジタルダウンロードサービスは世界各国のゲームユーザーからアクセスされている。一昔前までは言語の違いがリージョンロックとしての役割を担っていたが、日本のゲームを好んでプレイする海外ゲーマーがいるように、2ヶ国語以上理解出来る人も増えてきている。すでにリージョンロックはナンセンスなものになりつつあり、ハッカー達を違法行為へと誘うものになっているような気がしてならない。

※5実際には両親の許可を得ずに他のリージョンから有害なゲームを購入しプレイしている子供もいるのではないかと私は睨んでいる。

新しいトレンドともいえるソーシャルゲームのデベロッパー達がもたらす競争の激化を老舗のゲームメーカーも感じているはずだ。顧客を手放す訳にはいかないだろう。ゲーム産業にとってオープンなマーケットを開く時が来たのではないだろうか?もちろん全ての顧客が違いを感じる訳ではないだろう。しかし新しい顧客の開拓に繋がるはずだ。

そしてオープンマーケットを開拓すれば、日本と海外の文化的ギャップを埋める橋渡し役を担う事も可能になる。それがもっとも重要な事ではないのだろうか?
《イバイ・アメストイ》

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