【DEVELOPER'S TALK】音楽とゲーム性の融合!『アルトネリコ3 世界終焉の引鉄は少女の詩が弾く』世界初の楽曲自動生成システムに込める想い | GameBusiness.jp

【DEVELOPER'S TALK】音楽とゲーム性の融合!『アルトネリコ3 世界終焉の引鉄は少女の詩が弾く』世界初の楽曲自動生成システムに込める想い

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バンダイナムコゲームスから2010年1月28日に発売された『アルトネリコ3 世界終焉の引鉄は少女の詩が弾く』は、シリーズ初となるPS3向けタイトルとして開発されました。PS3のハード性能をフルに活かし、世界で初めて実現された「アクティブ楽曲生成システム「R.A.H.(読み:ラー=Realtime Active Hymmnetics)」は音楽とゲーム性の融合を実現しました。その裏には開発元のガストと、ミドルウェアベンダーのCRI・ミドルウェアによる緊密な連携がありました。今回はバンダイナムコゲームスの未来研究所にお邪魔し、本作についてプロデューサーの河内氏、ディレクターの土屋氏に伺いました。

■参加者

河内 厚典 氏 
株式会社バンダイナムコゲームス CS事業本部 第1プロダクション 第1課
『アルトネリコ1』からシリーズ全てのプロデューサーを務める。バンプレスト出身。過去作には「クレヨンしんちゃん」や「ちびまる子ちゃん」など。

土屋 暁 氏
株式会社ガスト バリュービジネス事業部マネージャー ディレクター
『アルトネリコ』シリーズの生みの親にしてディレクター。「アトリエ」シリーズにも2作目から携わる。企画から作曲まで幅広く開発を統括している。

樋口 裕司 氏 
株式会社ガスト 企画開発部マネージャー
『アルトネリコ3』のメインプログラマー。これまでは長く「アトリエ」シリーズに携わる。

■聞き手

押見正雄 CRI・ミドルウェア 代表取締役専務 CTO
土本 学 IRIコマース&テクノロジー インサイド 編集長



―――発売おめでとうございます。現在の心境を聞かせてください

バンダイナムコゲームス 河内氏
河内: 『アルトネリコ2』の発売から約2年間、あっという間でしたね。限られた時間でしたがガストさんの尽力があって、なんとか完成させることができました。色々なチャレンジをした作品だったので、発売に向けて徐々に情報を出していく中で、大きな反響を貰えたのは嬉しかったですね。

土屋: おかげさまで無事発売できました。今回も楽曲の自動生成システムやグラフィック面で相当な無茶を言いながら、それでも何とか完成まで持ってこられたということで、スタッフのみんなには本当に感謝しています。開発中もファンの皆さんから多くのメッセージをいただけて、開発側も盛り上がって制作することができました。本当に感謝です。

樋口: 二人に言いたいことは言われてしまいましたが、本当に短期間で作らなければという状況だったので、無事に完成させられてよかったです(笑)。

―――この記事の読者さんの中には今回初めてシリーズを知ったという方もいらっしゃるかもしれませんので、まずは「アルトネリコ」シリーズの概要を聞かせていただけますでしょうか?

河内: 「アルトネリコ」シリーズはガストと旧バンプレストの共同開発タイトルとしてスタートしました。元々、土屋さんが持たれていた、3つの塔という世界観を具現化したものです。今までにない舞台で、主人公がヒロインとの絆を高めていくというコンセプト、そしてムスメ調合RPGという新機軸・・・ジャンル名は斬新すぎてシリーズをこれで通してていいのか、最後まで悩みましたが(笑)。さらに音楽で他のRPGと一線を画すものとして構想していき、ミドルウェアの協力もいただきながら、今回では「最響」というフレーズを使うまでのシリーズに育てていくことができました。

土屋: 僕の中で最初に世界観が出来たのは1995年くらいで、いわゆるコンシューマーゲーム機用のものとして再構築したのは初代『アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女』の頃(2006年)です。元々ガストにはサウンドとして入社したのですが、いつかはゲームを作りたいと思っていて、その時にはこの世界観でやりたいとずっと温めていたものです。

■シリーズの中での位置づけ

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―――『アルトネリコ3』はシリーズの中ではどのような位置付けなのでしょうか?

河内: 最初から3本の塔という世界観で、それぞれの作品で1つずつ描くつもりでした。もちろん最初の作品がある程度評価されなければ残りは語れないという覚悟の上で、です。ですので『アルトネリコ3』は当初考えていた構想の一つのゴールでした。

―――集大成的なポジションにあると思いますが、気負いのようなものはありましたか?

ガスト土屋氏
土屋: 気負いはありましたね。絶対に前作や前々作に対して見劣りしないものにしなくてはなりません。良い所は伸ばしながら、新しい要素も入れていく。どうすればファンの皆さんが喜んでくれるか、今考え得る全てを使って集大成として仕上げたつもりです。

―――世界観と言えば、ちょっと過激な表現も毎回注目を集めますね

河内: 他のRPGとは違うぞという差別化ポイントとしてそういう表現も挙げられるかと思います。『2』ではヒロインがお風呂に入って、『3』ではもう少しやりましょうと最初から決めていました。色々な過激なアイデアが出てくる中で、なんとかギリギリの線でOKになるようにプラットフォームメーカー様はじめ、各方面と相談しながら、今の形に落ち着きました。なんとかCEROでもC(15歳以上対象)をいただいています。

土屋: ただ、『アルトネリコ』のコンセプトは、「色っぽい表現」ではなく「絆」です。男女の絆というものを表現する以上、そういう表現がないのは、逆に薄っぺらなものになってしまうんじゃないかと。目的としては絆の表現で、そこが一番の原点です。

―――ちなみにママキタボタン(※)は今回もあるんでしょうか

土屋: あります(笑)。

河内: ただ、今回は前作までと違い、精神世界以外もキワドいので、ママキタボタンが足りなかったんです。・・・そこが反省点で(笑)。

※ママキタボタン・・・ゲーム中、画面をワンボタンで全く関係ない画像に切り替えることができる機能

■理想に近づいた アクティブ楽曲生成システム 「R.A.H. (Realtime Active Hymmnetics)」

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―――『アルトネリコ』は毎回システムが変わっていきますよね

ガスト樋口氏
樋口: 社風かもしれません(笑)。企画チームがやりたがるんです。

土屋: 毎回システムが変わっていくのは『アトリエ』シリーズも同じで、僕らは常に発展途上だと思ってるんです。例えば戦闘システムは、毎回チャレンジした分だけ反省点が出てきます。それを直したり、今ならこういうシステムにするべきだという挑戦をしていくと毎回システムが変わったものになってしまいます。冒険心を忘れず常にチャレンジしている表れと言うとカッコ良すぎでしょうか(笑)。

―――今回はPS3に移り、なおチャレンジし甲斐があったのではないでしょうか

土屋: アクティブ楽曲生成システム、「R.A.H.」はまさにその部分ですね。PS2では実現は不可能でしたが、PS3だったらリアルタイムに生成される楽曲を実現できるのではないかということで、CRIさんに相談したんです。

押見: 初めに構想を伺った際には「無茶するなあ」というのが正直な感想でした(笑)。ただ、私自身も10年前からガストさんとお付き合いがあり、ゲームの音楽について常に先進的な取り組みをされている会社さんというのは頭にありましたので、ストリーミング音楽での楽曲自動生成をされたいと伺い、ぜひ実現させたいと協力させていただきました。その成果は昨年のCEDECで発表したアダプティブミュージックシステム「ADAMS(※)」に結実しています。

※「ADAMS」・・・ゲームの状況に合わせて変化する音楽をストリーミング音楽で実現する、CRIの新技術。複数のトラック(ドラム、ベース、ボーカルなど)を独立して制御し、自由に他の素材と入れ替えることが可能。またテンポを変えないキーチェンジ、音程を変えないテンポチェンジなど、従来MIDIの世界でしか実現できなかったことをストリーミングで可能にする。

―――なるほど。「R.A.H.」のシステムはどのような構成になっているのでしょうか?

土屋: システムとしては、PS3のシステム上にアダプティブミュージックシステム「ADAMS」が構築されていて、音声データの管理や複数データのストリーミングなどを行っています。更にその上に「R.A.H.」があり、どんな曲にするか、リアルタイムに命令を出している形です。

図:「R.A.H.」のシステム構成(CEDEC2009セミナー資料より)


―――具体的にはどのようなことを行っているのでしょうか?

土屋: 「R.A.H.」は戦闘中の状況変化に呼応するように、場面に合った楽曲をリアルタイムに組んでいくシステムです。楽曲の元素材は4小節の区切りを1つのデータとして膨大な量が用意されていて、コーラス、ボーカル、インスト、リード、リズム、エクストラなど様々なタイプが存在します。それらの多彩な素材から、戦闘の状況や装備品から判断して適切な素材を抽出し、どのような組み合わせで曲を作るか、という命令を作ります。それをADAMSに投げて、再生してもらいます。ですから、「R.A.H.」が鳴らすべき音を選んで、ADAMSがストリーミング再生するという流れです。

土屋: また、「R.A.H.」システムでは「デッキ」と「ブロック」という独特な概念があります。「デッキ」は戦闘開始時に準備される初期楽曲データのようなもので、コードや音素材の組み合わせ、曲の進行(例:「Aメロ→Bメロ→サビ→間奏」)などを決めています。「デッキ」の作成は戦闘開始時に1回だけ行われます。これに対し「ブロック」は、一定タイミング毎に発生する処理によって構築される、実際に発音するWAVE素材をチョイスし登録していく処理のことです。「ブロック」は戦闘の状況に合わせてリアルタイムに音素材を選定し、割り込みをかけてどんどん曲を変化させていきます。

―――戦闘との繋がりを具体的に教えていただけますか?

土屋: 『アルトネリコ3』では戦闘中にパージ(※)することでヒロインが4段階にパワーアップしていきます。ヒロインにはパージに対するパワーアップアイテム(ヒューマ)を付けることができ、パージをすると、それに応じたヒューマが有効化されます。そのヒューマには楽曲情報が入っていて、パージされると同時に解放されます。例えば、ヒューマにボーカルラインが楽曲情報として入っていれば、そのヒューマをパージすることでボーカルが再生されるようになります。また、戦闘の状況でピンチ/ノーマル/ハイテンションの3 種類でテンポやキーが変わって雰囲気が変わっていきます。

※パージ・・・戦闘中にヒロインが服を脱ぐことにより、詩魔法がより強力になるシステム

―――リアルタイムに楽曲を構成する試みは過去にMIDIでは実現されていたと思いますが、それをストリーミングで、さらにゲーム性に融合した形で実現したというのは本当に凄い事ですね

土屋: CRIさんには無理を言ってテンポチェンジやピッチチェンジを実装していただいて、その効果は絶大でした。自然に聞ける楽曲を自動に生成するという点では「R.A.H.」のアルゴリズムの実装時点で、音楽理論を引っ張り出してかなり研究しました。

土屋: 例えば曲の進行としては、「Aメロ→Bメロ→サビ」というように、自然に聴ける流れがあります。転調すると曲は盛り上がりますが、ここからここへの転調はダメ、という法則もあります。また、音の組み合わせが凄くカッコいい曲なのに、後ろで変な音が鳴っていると台無しという事もあります。それらが起こらないように計算して、かなり複雑な楽曲表や転調表を基にコードの組み合わせを導き出して、鳴らすべき音を抽出して楽曲を構成しています。

樋口: また、曲が一周して最初に戻る際の法則もあります。曲は基本的にはループしているので、サビが終われば先頭のAメロに戻るわけですが、サビのキーからAメロのキーに戻る際に不自然な転調も起こりうるので、そういった面にも気を遣いアルゴリズムを組みました。さらにパージされると今まで用意していた進行に割り込みが入り、楽曲が全く別のものに変わります。ですので、処理はかなり大変ですね(笑)。

―――使用する歌もかなり収録されたと聞いています

土屋: まさに物量とクオリティのせめぎ合いでした。ベストなのはキーチェンジに対応して1キーずつ24パターン(2オクターブ分)、さらにマイナーとメジャーを収録するということです。どう考えても無理ですが(笑)。最初に自社でピッチシフトだけでどこまでいけるか、と検証した際には元素材のプラスマイナス1のピッチシフトが限度という印象でした。ただ、エンターテイメント性が優先で、クオリティは後回しだと思っていたので、最悪多少変になっても構わないとは思っていました。そこをCRIさんに声質が変わらないピッチシフト(フォルマントの操作)に対応していただいたおかげで、元素材のプラスマイナス2のピッチシフトが可能になりました。これにより、同じ素材を5回使い回す(※)というところで落ち着けました。

※「同じ素材を5回使いまわす」・・・たとえば元の歌データのキーがDだった場合、ピッチシフトを使用することで一つの歌データからC,C#,D,D#,Eの5種類の音が生成できる。

■ミドルウェアの利用で開発効率もアップ

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―――今回、「ADAMS」以外にCRIの「CRI ADX」「CRI Sofdec」「CRI Audio」という3種類のミドルウェアを採用していただいたきっかけを教えてください

土屋: 「アルトネリコ」シリーズを通してお世話になっていたのと、5.1chに対応したオーディオの統合環境が用意されているのが大きかったです。ツール面で環境がしっかりしているので、外部のサウンド会社さんとの連携も上手くいきました。また、音素材の管理に初めてエクセルを使わずに済んだんです。

樋口: 今までだとサウンドデザイナーとサウンドプログラマーの間でエクセルにファイル名を記入してやり取りをしていました。それが今回は「CRI Audio」の統合環境の中で完結したので、作業が非常に効率化できました。

―――Sofdecを使っていただいたオープニングのムービーは凄いですね

河内: 発売してからそういう声をいただく事が多くて、改めて実感しています。発売前の段階ではPVで一部のシーンだけを見ることができたわけですけど、フルバージョンはゲームを買ってから初めて、そのすべてを見ていただいたわけです。そこでようやくオープニングに込めたすべの意図が見られる。

―――無数の鳥が飛び立つシーンなど、ムービーで再現するにはかなりノイズが出そうな難しいシーンという印象でした。苦労されたのではないでしょうか?

土屋: オープニングはSofdecに完全にお任せしています。Sofdecのツールに任せるだけで十分なクオリティが出ていると思います。標準提供されているムービー作成ツールと再生ライブラリを使っていた時代は結構苦労していましたが・・・。それだけSofdecの技術がしっかりしているということで感謝しています。



―――ノイズもなく、かなり綺麗なムービーだと思うのですが、どのくらいのビットレートを割り当てているのでしょうか?

土屋: 大体26Mbps くらいでしょうか。容量的には大きめなので、できるならクオリティを維持しながらデータサイズを減らしたいところです。

押見: たとえば、「分割エンコード」という手法も使えると思います。動きが激しい場面とそうでない場面を別々にエンコードして、後でつなげて再生する手法です。先ほどの無数の鳥のシーンなどには高いビットレートを割り当てて、さほど動きのないシーンには少し低めのビットレートを割り当てる、といったことも可能です。

土屋: なるほど、それは使えそうですね。ただ、そこに試行錯誤をしている時間がなかった、というのが正直なところでもあります。

押見: CRIではエンコード代行サービスも行っています。お試しエンコードは無償ですので、次回はぜひお試しください。

土屋: そうですね、次回は検討したいです。

―――今回、ハードディスクへのデータインストールが必須となっていますが、どういう経緯でしょうか?

土屋: 基本的にはアダプティブミュージックを実現するためです。インストールデータのほとんどが「R.A.H.」用の素材データだったりします(笑)

樋口: ハードディスクにインストールしないと読み込みが間に合わないかどうかまでは実験してないのですが、ディスクからの読み込みでは間に合わないだろう、ということでそういう仕様にしています。

―――プロトタイプはPCで作られたそうですね

土屋: ガストはずっと以前から同様の方法でやってきているんです。

樋口: 実は社内用のイベントエディットツールのようなものを使って、動くシーンや戦闘中のアクションを制作しているんです。それがPCで動作するものなので、PCが作業しやすいという理由からです。PCで作ったものをPS3に移植するという形ですが、厳密にここまではPC、ここからはPS3という分け方ではなくて、ある程度制作が進行する毎にPS3での動作を確かめながら、徐々に作っていくというスタイルです。

河内: 実機での仕上がりがなかなか見られないので、プロデューサーとしてはやきもきするんです(笑)。世界初の楽曲自動生成!といってもPS3の実機で動くものはなかなか見ることができませんでした・・・。社内で説明するのにも一苦労でした(笑)

■土屋氏に聞く音楽へのこだわり

―――「アルトネリコ」シリーズを通じてだと思いますが、スペックが高いマシンではどちらかというと映像に目がいきがちな中で、「音」で現世代機ならではの表現をするというのはどういったところがきっかけになっているんでしょうか?

土屋: 今はそこまで強烈に思っているわけではありませんが、ガストにサウンドクリエイターとして入社した当時は、「音楽」があまり重要視されていないことに腹立たしさを感じたこともありました。ゲームの企画の場面でも、画面にはこだわるけど音は仕様書にも入らずに、出来上がってくるゲームを見て音を作るという時代がありました。最初に担当したタイトルでも、町の場所によってシームレスに音楽が変わっていくというシステムを提案しましたが、「その余力はない」と一蹴されたりして(笑)。その頃から、音が無ければゲーム性が成り立たないくらいのゲームをいずれは作りたいと思っていました。

―――なるほど、まさに「アルトネリコ」の原点のようなものですね。

土屋: 「アルトネリコ」シリーズに関しては「歌」と「音楽」で勝負をしているタイトルで、そういう意味では作りたいとずっと願っていたゲームです。特に音楽とゲーム性、シナリオとの融合ではパイオニア的な気負いでやっています。『アルトネリコ』は歌や曲をゲーム性の部分に密接に関わらせていくというチャレンジでした。『アルトネリコ2』では戦闘中に歌を入れました。そして『アルトネリコ3』では「アルトネリコ」の世界観により忠実に、ヒロインがその場で歌を紡ぎだしていくという設定を、アクティブ楽曲生成システム「R.A.H.」
で実現することができたと思います。

押見: ユーザが選んだアイテムによって曲が変わっていく、という点で、「R.A.H.」はある意味では音符を取り払った作曲行為とも言えると思います。

土屋: 確かにそうですね。作曲ソフトが流行したこともありますが、よっぽど意欲のある人でなければ音楽を作るというのはハードルが高いと思うんです。「R.A.H.」の楽曲自動生成システムを考えたとき、ユーザの方が細かく音データの組み合わせを考えて戦闘するようなやり方では受け入れられないだろうと思いました。それで「R.A.H.」はブラックボックスを大きくして、、(ヒューマという)装備するオプションによってノリノリ、ロック調、電波ソングのような大きなくくりで設定出来るようにしていて、深く考えなくてもバラエティに富んだ楽曲を楽しめるような設計にしています。厳密に意図した通りの楽曲を正確に作る、という事は難しくなりますが、簡単に大体狙った方向性になるようなシステムを目指しました。

―――今後、土屋さんが目指したいと思っている新しい音楽の形はどのようなものですか?

土屋: 最近強く感じているのは、3D サウンドが普及してゲームメーカーも当然のように対応するようになってきましたが、逆に日本の家庭での5.1ch サラウンド普及率は依然低いままであるということです。正直なところハードルが高いと思っています。ですので、ごく普通にステレオスピーカーでサラウンドを疑似体験できるようなことをミドルウェアで実現してもらうような事は出来ないかと考えています。ただ、バーチャルはどうしても人によって感覚に差が出てしまうと思いますので、例えばコンフィグ画面で自分に適したポジションやパラメータを指定してアジャストするような・・・。

押見: なるほど、バイノーラルサウンドのことですね。実はCRIでもチャレンジはしています。おっしゃる通り、頭の形をモデリングして音を鳴らすので、個人差が出てきてしまうんです。でもコンフィグ画面で設定するというのはいいアイデアですね。それに、3D映画も97%の人は楽しめるけど、3%の人は実は立体に見えない技術だそうです。厳密なサラウンドでなくて、多少位相はズレたとしてもエンターテイメントとして楽しめるものになればいいと思うので、実現する意味はあると思いますね。

土屋: 完全に理想形でなくても、エンターテイメントとしてある程度のものができれば日本も変わるかなと思います。

押見: ええ、ぜひやりましょう。

■最後に

―――『アルトネリコ3』は今後、追加コンテンツなどを予定されているのでしょうか?

河内: 準備はしていますのでご期待ください。詳細は続報をお待ちいただければと思います。

―――なるほど。今後の「アルトネリコ」シリーズの展望などあれば聞かせてください

河内: それは皆さんの応援次第です(笑)。まだまだ何かをやりたいという希望は持っていますが、それはやはりユーザの皆さんの声や、土屋さんが新大陸を発見できるかにかかっています(笑)。今は『アルトネリコ3』の世界をたっぷりと楽しんでいただければと思います。

―――それでは、毎回恒例なのですが、ゲームユーザさんへの一言と、同業のゲーム開発者さんに今回の教訓なり挑戦状、もしくはエールなどをいただけないでしょうか?

樋口: 今回は「R.A.H.」のシステムを担当させていただいたので、ぜひユーザさんにも色々な組み合わせを試していただいて、紡ぎ出される音楽を楽しんでいただければと思います。開発者の方には、CRIさんに大変お世話になったので、ぜひ皆さんも何か困ったことがあれば、相談するといいんじゃないかと思います(笑)。

土屋: ユーザの皆さんには、「R.A.H.」は色々な意外性を持ったシステムですので、様々なヒューマを使って遊んでみて欲しいと思います。開発者の皆さんには、皆さん凄く技術力を持ってらっしゃいますので、それを活かしてもっと冒険して欲しいですね。新しいアイデアや試みは躊躇しがちですが、失敗しても胸を張れるようなチャレンジをしたゲームがもっと出てくるといいなと思います。ぜひ一緒に頑張っていきましょう。

河内: 「アルトネリコ3」をようやく形にして世に出すことができました。「R.A.H.」については徐々に色々なヒューマが手に入って、面白くなっていきます。ゲーム中にリアルタイムで生成される楽曲であるという特性上、WEBや雑誌ではお伝えし辛いのが心苦しいですが、ぜひ自身の手で触って、楽しんでいただきたいです。開発者の皆さんには、新しい挑戦というのは本当に意味のあるものだと思います。ガストさんと一緒にやらせていただくことになって3作品を作ってきましたが、長くゲーム作りをしている中でも、かなり刺激的な時間を過ごすことができています。新しい冒険をし、それを形にするのは、開発に関わるものとして醍醐味と言えるものじゃないかと思いますので、もっともっと業界全体で盛り上げていければと思います。頑張っていきましょう。

―――本日はありがとうございました!

バンダイナムコゲームス未来研究所にて


(C)GUST CO.,LTD. 2010 (C)2010 NBGI

株式会社CRI・ミドルウェア
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●記事に登場するミドルウェア「CRIWARE」についてのお問い合せ
http://www.cri-mw.co.jp/inquiry/
TEL: 03-6418-7081

●「CRIWARE」の採用タイトル一覧
http://www.cri-mw.co.jp/example/

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