「モーションポートレート」で表情豊かに・・・コンパイルハート『アガレスト戦記ZERO』インタビュー | GameBusiness.jp

「モーションポートレート」で表情豊かに・・・コンパイルハート『アガレスト戦記ZERO』インタビュー

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アイディアファクトリー(コンパイルハート)より6月28日に発売されたプレイステーション3向けソフト『アガレスト戦記ZERO』は、2007年に発売されたシミュレーションRPG『アガレスト戦記』の続編に当たるタイトルで、その開発にはシリコンスタジオ/モーションポートレートが開発する「モーションポートレート」技術が採用されています。そんな本作について、原宿は竹下通りに面したアイディアファクトリー(コンパイルハート)にお邪魔してお話を聞いてきました。

東風輪 敬久
アイディアファクトリー株式会社 開発営業部 ゲーム開発課長
本作のエグゼクティブプロデューサー。グラフィックのディレクションも。

内田 浩輔
アイディアファクトリー株式会社 開発営業部 ゲーム開発課 主任
技術的な部分の統括を担当。モーションポートレートも。

菅野 健太
アイディアファクトリー株式会社 開発営業部 ゲーム開発課 主任
ゲームのディレクターを務める。

柴田 守良
シリコンスタジオ株式会社 R&D統括本部 ソフトウェアエンジニアリング部
「モーションポートレート」のサポートを担当。



―――まずゲームの概要を聞かせてください

菅野: 『アガレスト戦記ZERO』は2007年に発売された『アガレスト戦記』の続編です。今回の目玉としては「モーションポートレート」の採用や新システム、全体的なブラッシュアップを通じた遊び易さの提供があります。前作のイメージを余り壊さず、そのまま遊んで貰えるものを目指しました。ジャンルはRPGですが、シミュレーション要素もあり、どちらのファンの方でも満足いただけるものになっています。王道のファンタジーRPGですが、ちょっとお色気的なサービスもあり、息を抜きながら遊べるゲームではないでしょうか。

―――ストーリーは前作の数千年前の話だということですが

菅野: ゲームの中では余り言及していないのですが、『アガレスト戦記』の世界は一度滅んでいるんです。『アガレスト戦記ZERO』は続編ですが、「ZERO」というサブタイトルからも分かるように、前作の数千年前の世界、世界が滅ぶ前に焦点を当てて掘り下げたストーリーが描かれます。

―――ゲームシステムも追加要素があるそうですね

東風輪: システムとして前作から引き継いだ「ソウルブリード」というものがあります。これは複数のヒロインの中から誰をパートナーに選ぶかによって次世代の主人公が変化していくというもので、世代を超えた壮大なストーリーが紡がれます。新規要素としては「街イベント」があります。回数制限の中でキャラクターとの会話やイベントを見つけていくというもので、「モーションポートレート」も活躍しています。新システム以外にも、全体の細かい調整をしっかりして、前回やりきれなかった部分を追加したり修正して、遊び易いゲームに仕上げています。

―――「モーションポートレート」に出会ったきっかけを教えてください

東風輪: 実は「モーションポートレート」の存在自体は以前から知っていて、気になっていたんです。アイディアファクトリーはキャラクターを中心としたゲームを作っていて、常に他社がやっていないようなことを模索しています。その中で、一度ご相談する機会があり、サンプルを作っていただいたら、それが期待以上で、何か新しい表現ができると感じたんです。まだ次世代機、PS3での採用実績は無かったので、ここまでは実現したいというターゲットを定めて、シリコンスタジオさんと一緒に実績を積み上げていって実現しました。

―――導入で一番苦労したのはどのような部分ですか?

内田: 実は「モーションポートレート」を使用したゲームはこの『アガレスト戦記ZERO』ともう一本並行で動いていたのですが、一番最初ということでシステムの理解不足で苦労した面はありました。ただ、サンプルは充実していますので、その理解が出来ればプログラムの面では実装は早かったかもしれません。

東風輪: グラフィックの面では動かす元のグラフィックデータに工夫が必要で、準備段階で時間がかかりました。実は「モーションポートレート」の導入が決定したのは、開発の後半で、既にグラフィックデータが上がった段階でした。そこからグラフィックチームが頑張って調整をしてくれました。高性能なPS3で絵を出すと、細かい部分まで描画されてしまうので、アニメ風のイラストで違和感がないように調整するのが大変でした。

―――導入することで一番良くなるのはどういうポイントだと思われますか?

菅野: 『アガレスト戦記ZERO』はキャラクターがウリのゲームですので、それを良く見せるという意味では非常に意味があると思います。今までのアドベンチャーゲームですと、キャラクターのイラストは基本的には動きがない一枚絵なわけです。それが今回は常に表情が動いているので、画面の印象が全然違います。シーンが止まらないだけでも印象が違いますね。もちろん喜怒哀楽の表現も簡単になりました。

東風輪: 特に女性キャラクターは目が大きくて表情の変化が大きいので、魅力的な表現になりますね。それに疑似3D的に奥行きも表現できます。



―――モーフィングで動かすわけですが、違和感みたいなものはありませんでしたか?

東風輪: 最初は技術的に上手く動かせなくて、目が離れてみたり、顎が壊れてみたり、白目を剥いたり、違和感が・・・。そういう話じゃないですよね(笑)。

菅野: どちらかというと開発の人間は常に新しいものが見たい、やりたい、という志向があるので、違和感よりは驚きや新鮮さがありました。違和感がないものになったのは頑張って調整してくれたグラフィックチームのお陰です。

―――なるほど。ではもっとこうしたことが実現したかったということはありましたか?

菅野: 開発が始まってから導入までが遅かったので、時間的な制約がなければ挑戦したい部分は沢山あります。企画者というのは常にそういうものですが(笑)。可能性は見えたので、今後のタイトルで活かせるかなと思います。今まで一枚絵でやってたのが、動くようになると感慨深いものがあります。新鮮さもありますし、開発チームとしてモチベーションも上がりました。

東風輪: 開発チームとしては色々とやりたいことがありますし、シリコンスタジオさんにも相談を常々しています。一つ可能性を感じたのは、キャラクターとは全然違うオブジェクトに表情を付けて動かすと色んな形で使えるかもしれないと思いましたね。

内田: ブロックベイを動かしたいってアイディアもありましたね(笑)。

―――もっと「モーションポートレート」がこうあって欲しいというのはありましたか?

内田: なんとか表情以外の部分も動かせないかどうか、MPツールを使って胸の揺れを表現しようとしているプログラマーが・・・(笑)。

菅野: 口の表現が難しくて、例えば笑うときに、大きく口を開けて、そこから口を戻すとなると、かなりの範囲を動かさなくてはなりません。元の原画が口を閉じたものだったりするとモーフィングが大きいので、違和感が出てしまいます。次回はキャラクターのデザインから考慮して制作しないといけないと思っています。今回は口を思いっきり空けたときには絵を差し替えて対応しました。

柴田: 現在開発しているバージョンでは、このあたりの要望に対応できるように、開発者さんがメッシュを編集できるようになっています。これによってかなり自由度が広がると思います。ご期待ください。

―――では最後に『アガレスト戦記ZERO』を買おうか悩んでいるユーザーさんに一言お願いします

東風輪: 今回はキャラクターデザインの段階でかなり模索して、ラフから複数の案を出してもらい、チームで議論し尽くして突き詰めたデザインがゲームの中で動いています。物語もイベントも盛り沢山で、何周も遊べるようなやり込み要素やファンに向けた隠し要素も詰め込んでいます。作り手がこのシリーズを大好きで作っているというのを感じてもらえると思います。PS3でこういうファンタジー的なゲームが少ない中で、長い時間じっくり楽しめるゲームになっていると思います。遊び易さも追求しましたので、この手のゲームが余り得意でない方にもぜひプレイして欲しいゲームです。

内田: 紆余曲折ありながら「モーションポートレート」を採用して、息吹が感じられるようになったキャラクターを見て欲しいですね。アイディアファクトリーならではのこだわりを見て欲しいと思います。

菅野: 前作に続いてディレクションを担当して、新しい要素を盛り込みながら良いゲームに仕上げられたと思っています。キャラクターが好きな方はもちろん、前作をプレイしてくれた方への仕込みもありますので、引き続いてプレイして欲しいですね。普段はこの種類のゲームを遊ばない方向けにチュートリアルも丁寧に作り、難しいと言われる難易度も序盤は抑えています(笑)。前作『アガレスト戦記』を知ることのできるダイジェストも収録しています。ぜひ手に取って楽しんでもらえればと思います。

ありがとうございました
《土本学》

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