食べれば食べるほど痩せられる? 新しい咀嚼体験システム「Phantom Snack(ファントムスナック)」【CEDEC 2023】 | GameBusiness.jp

食べれば食べるほど痩せられる? 新しい咀嚼体験システム「Phantom Snack(ファントムスナック)」【CEDEC 2023】

新しい咀嚼体験システム「Phantom Snack(ファントムスナック)」を体験。食べているのに、食べていない感覚とは。

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食べれば食べるほど痩せられる? 新しい咀嚼体験システム「Phantom Snack(ファントムスナック)」【CEDEC2023】
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「どんなに食べても太らないポテトチップスが欲しい」

そう思ったことはありませんか?

今回は、そんな夢のような食べ物が開発されているという情報をキャッチしたので、2023年8月に開催されたCEDEC2023のインタラクティブセッションに参加しました。

「食べれば食べるほど、カロリーが消費されて痩せていく」

そんな未来がやってくるかもしれません。

<講演者情報>
和泉 興
株式会社電通
第1CRプランニング局 デジタル・クリエーティブ1部
クリエーティブ・ディレクター

<セッションの内容>
Phantom Snackは、食べていないのに食べているような感覚が楽しめる、全く新しいバーチャルな咀嚼体験システムです。口の中に何も入れずに食べ物を咀嚼する動作をすると、顔の画像認識で検出した顎の動きに合わせて、骨伝導イヤフォンからサクサクという咀嚼音と振動がフィードバック。さらに映像やアロマディフューザーを連動させることで、まるで本当にスナックを食べているような咀嚼体験が得られます。画像認識を用いた身体拡張の応用例で、当ブースでは実際にこのシステムをご体験いただけます。

引用元:https://cedec.cesa.or.jp/2023/session/detail/s644b7399d8319

◆新しい咀嚼体験システム「ファントムスナック」を実際に体験してみた

食べていないのに咀嚼を体験できるとはどういうことなのでしょうか。会場で体験してみました。

この機械が咀嚼体験システムです。3つのボタンがついた機械とヘッドホン、モニター、そしてなにやら小さい扇風機が置いてあります。

なんとメニュー表が存在しており、これらの中からどれを食べたいか選択できました。当然ながら、咀嚼を体験するシステムなので、実際に食べることはできません。

ボタンで何を食べたいかを選択します。ポテトチップ、チョコチップ、シーザーサラダ、あとは未知のお菓子というのを体験できます。

まずはポテトチップスを選択してみました。

体験の仕方は簡単です。ヘッドホンを装着して体験を開始します。

これは不思議な体験です。口を動かして、モノを噛む動作をするたびに、耳から顎の付け根辺りが刺激されます。いつもの咀嚼の感覚と全く同じというわけではないものの、これはこれで癖になる気持ちよさがありました。

「なるほど、疑似的な咀嚼とはこういうことなのか」と妙に納得してしまいました。

ちなみに咀嚼する度に、皿のうえからポテトチップが無くなっていきます。大きく咀嚼すると、それに応じて、刺激も強くなり、ポテトチップスの減りも早くなります。とても細かくて感心しました。

さらに驚いたのは香りです。ポテトチップスの香ばしい香りもしてきます。

実はこの機械はディフューザーにもなっており、ボタンの上にある4つの穴から香りが出ているのです。小さな扇風機はこの香りを届けるためだったのですね。

全メニューを試してみましたが、個人的にはポテトチップスの香りが最高でした。この香りだけでビールが飲めそうです。チョコチップクッキーも甘い香りが心地良く、シーザーサラダはパルメザンチーズの香りが食欲を掻き立てました。

未知の食べ物はグミのような見た目と香りに感じ、これが自由にカスタマイズできることを考えると、とても可能性を感じました。

最後に興味深かったのは、食べ終わったあとに画面に表示されるカロリー表記です。マイナスで表示されています。

咀嚼によって、カロリーが消費されたということで、この表示になるそうです。食べているのに、食べていない、不思議な体験でした。

このシステムは様々なことに使えそうですが、具体的にどのような使い方を想定されているのか、講演者に聞いてみました。

◆「どんなことに使えるのか?」講演者に聞いてみた

ーーこのシステムが生まれた背景を教えてください。

そもそもとして広告の表現というのは、どんな人にどんな刺激を新鮮な刺激を与えるかというのが大事です。視覚や聴覚による刺激はずっと存在するものなので歴史がありますが、それ以外の感覚(触覚、味覚)については弱いんです。

なので、まさにブルーオーシャンだと思っており、そういった新しい刺激を与えるためのエンターテインメントというのは、会社としても進めていく動きがあります。その中で電通のクリエイティブ局を中心として、新しい広告体験を開発するところに予算をもらえる仕組みを利用して、「咀嚼体験システム」を作り始めました。

プロトタイプを作ったところ、これはプロジェクト化していいんじゃないかという許可をもらい、スタッフをアサインしてチーム化していったという経緯があります。電通としては、新しい刺激や新しい感覚を広告に取り入れるだけなく、その先にある新しい感動や幸福を提供することを常に目指しているので、ファントムスナックはその取り組みの1つといえます。

ーーこのシステムの将来の展望を教えてください。

個人的には、こういったバーチャルスナックという新しい食体験をエンターテインメントとして広めたいと思っています。煙草や清涼飲料水のように、気晴らしに楽しむものとして広まってほしいです。

あとは、飲食メーカーの試食体験だったり、あとはバーチャルなおつまみだったりとかそういったことで楽しんでもらえるといいかなと思います。

将来的には、ゲームの中に出てくる食べ物を実際に食べられるようになったりするかもしれません。とにかく楽しんでもらうために作っています。

ーー広告の手段としてだけでなく、これ自体をエンターテインメントとして楽しんでもらうというゴールがあるそうですね。どのような企業と相性が良いと思われていますか。

家庭向けの家電メーカーさんとは相性が良いと思います。あとは食品メーカーさんですね。私のイメージですが、食品メーカーさんの目的は、ただ消費者に食べさせるだけではなく、物を食べて健康になることや、その先にある幸せの実現だと考えます。

そう考えたとき(現状のような栄養摂取を伴う食事だけでは)食品メーカーさんは食べ過ぎの消費者に対して、売るべきものが無くなってしまう。この咀嚼体験システムを活用してもらえれば、食品メーカーさんも(栄養摂取を伴わない)新しい食品を消費者に提供できるでしょう。

あとは飲料メーカーさんです。飲む体験がより楽しくなるような、バーチャルおつまみのようなものは是非とも試していただきたいです。あとは試食などにも活用いただけるでしょう。

ーーおつまみとして使えるというのが面白くて、現実的だなと思いました。確かに咀嚼感があって、香りもあるとなると、おつまみとしては十分な要素を備えている気がします。

私自身、物を食べること自体は悪だとは考えておらず、むしろ食べるのが好きなので食べ過ぎてしまうタイプなんです。だからこそ、このシステムを活用して、食の楽しみから罪悪感の部分だけを取り除きたいと思ってます。

私は特にサラミが大好きなのですが、食べ続けていると、脳みそが暴走してしまうのか食べ過ぎてしまう。良く考えれば、それはサラミを食べるという感触や味と風味が必要なのであって、サラミ本体が必要かというとそうではない気もします。

なので例えば、バーチャルなサラミと本物のサラミを交互に食べれば、実際の食べ物を楽しみながら必要以上のカロリーを摂取せずに済むかもしれません。そういったヘルシーな活用をしてもらえるかもしれないという期待があります。

ーーこれが広まっていく上でのボトルネックになるのは何でしょうか。一般的にはVR系だとデバイスの普及率が低い、VRゴーグルが重いなどの課題が挙げられます。

おっしゃるとおり、デバイスが軽量であることは大事だと思っていて、仮にスマホでも楽しめることを想定したときに、この香りをどう届けるかはネックになってくるでしょう。

骨伝導のヘッドホンだけで楽しめるのですが、タブレットとかミントみたいな感じでちょっとだけ楽しめ使い捨ての香りということも使えるかもしれませんし、ディフューザーみたいなものを設置するとなると、ディフューザーというハードウエアというのが必要になっているので、それの煩わしさをどう解決するか。いくつかアイデアがあるのですが、現在検討中ですね。

そこの香りをどう届けるかいわゆる香りのプリンターみたいなものが広まってくると、嗅覚が示されるようなエンターテインメントがスパッと広がるんじゃないかなと期待しています。

今回、香りの部分は曽田香料さんに作ってもらっています。このポテトチップの香りは世界初の今までなかったものなので、本日体験された多くの方が驚いていました。

基本的に香料というのは味付けの調整をするものなので、それ単体でトータルな雰囲気を楽しませる考え方はあまりなかったんです。これによって、従来よりももっとアクティブな香りというか、物を食べるときにおまけでついてくる香りというよりも、映像や音と同じようにアピールしていける香りになっています。

ーーそう考えると市場規模がかなり広いというか、何かと置き換わることで市場規模が広がるのか、何かと何かをつなげることで新たな市場が生まれるのかなど、無限大に広がる感じがしますね。

そうですね。想定している市場は、ガムなどのお菓子の市場やフィットネス市場です。

私はこのシステムがガムの可能性を広げると思っています。ガムというのは、中に少し粒々が入っているとかはありますが、そこまで食感にバリエーションがありません。このシステムが発展して、ガムに活用されれば、プチプチするとかサクサクするとか、そういったガムも実現できるかもしれません。

食感の選択肢が広がることで、ガムもまた変わった進化を遂げられると思います。ガムを噛むたびにリズムよく音楽が流れて、咀嚼と連動した音楽を楽しめるガムというアイデアも生まれるのではないでしょうか。

ーーとても面白いですね。ガムの競合になるかと思いきや、むしろ逆で、このシステムを使って新しい商品開発をする企業が出てきて、市場規模が広がるということなんですね。

(興味を持っていただいた企業さんとは)ぜひご一緒させていただきたいなと思っています。また、咀嚼の動きは内蔵カメラで取得しているので、画像認識の仕組みを使うことで、将来的には咀嚼している人間からデータを取ることもできます。取得したデータは商品開発にフィードバックできるでしょう。

また現状、特に注目いただいているのは、嚥下(えんげ)障害(※1)の方に、食べ物を食べる体験をしてもらえたり、嚥下機能の回復を目的として、食べ物を使わずに咀嚼のトレーニングに活用できるという点です。

※1:嚥下障害とは、 摂食・嚥下障害ともいい、食べること、飲み込むことの障害のことで、上手く食べられない、飲み込めない状態のこと。

ーーありがとうございました!

食べれば食べるほど痩せられる? 新しい咀嚼体験システム「Phantom Snack(ファントムスナック)」【CEDEC2023】

《OGA@インサイド》

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