【Japan VR Summit 2】国内VR事業先駆者が語る、VRアトラクションのメリットと残された課題 | GameBusiness.jp

【Japan VR Summit 2】国内VR事業先駆者が語る、VRアトラクションのメリットと残された課題

東京のロイヤルパークホテル水天宮にて、11月16日、VRイベント「Japan VR Summit 2」が開催。アミューズメントやテーマパークでVRコンテンツを手掛けてきたキーマンによるセッションでは、どのような成果を得て、どのような課題に気づかされたかが語られました

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東京のロイヤルパークホテル水天宮にて、11月16日、VR関係者及び関心を寄せる投資家・ユーザー向けのイベント「Japan VR Summit 2」が開催されました。アミューズメントやテーマパークでVRコンテンツを手掛けてきたキーマンによるセッション「先駆者から学ぶ~VRアトラクション編~」では、実際に開発・運営を行ったことによりどのような成果を得て、どのような課題に気づかされたかが語られました。

今パネルのモデレーターを務めたのは、Tokyo VR Startups取締役/ITジャーナリストの新清士氏。登壇者は、バンダイナムコエンターテインメント アミューズメント事業部エグゼクティブプロデューサーの小山順一朗氏とVR部VRコンテンツ開発室マネージャーの田宮幸春氏、USJコンテンツ開発室室長の中嶋啓之氏、セガ・ライブクリエイション取締役 施設事業推進部部長の速水和彦氏の4名。


バンダイナムコエンターテインメントの小山氏は90年代からVRに携わっており、同社の手掛けた大型筐体『機動戦士ガンダム 戦場の絆』にもVRの技術が応用されているのだと語ります。元々アーケード中心に開発していたという田宮氏は、「VR ZONE Project i Can」に加わったことからゲーム事業内のVR専門部の室長へ。VR空間の高層ビルの上で猫を助けるという内容の『高所恐怖SHOW』を手掛けています。USJの中嶋氏は、今年1月から6月まで期間限定のVRアトラクション『きゃりーぱみゅぱみゅ XRライド』を手掛け、来年は『新世紀エヴァンゲリオン』のVRコースターを予定しています。ジョイポリスなどを展開するセガ・ライブクリエイションの速水氏は、日本でのVRムーブメントの起爆剤の1つとなったVRアトラクション『ZERO LATENCY VR』の仕掛け人です。

そんな日本でVR事業を成功させた代表者たちですが、メリットと課題の双方が見えてきたと語ります。各登壇者が手掛けたVRアトラクションの収益については、どれも予想を大きく上回ったとしています。その中で、USJとジョイポリスのVRアトラクションに関しては、入場料が別料金であったために成り立っていた部分があるかもしれないとのこと。また、予想外の収益を得ることができた半面で、予想外の人件費が必要となってしまったことを登壇者らは指摘しました。ヘッドマウントディスプレイを装着するという仕様上、付き添いのスタッフは必須。また、装着時や取り外し時、クリーニング作業においても予想以上の人と時間を取られたと語ります。

客層に関しては、USJはもともと女性客の比率が高いため、『きゃりーぱみゅぱみゅ XRライド』を体験した男女比は女性が約7割であったと語ります。反対に、ジョイポリスの『ZERO LATENCY VR』の主要客はVRなどの最新の技術に興味がある男性が多く、そこから口コミで広がっていった形であるとしています。オーストラリアのスタジオが開発した『ZERO LATENCY VR』ですが、日本で展開するにあたり、体験時間や空間の広さは日本独自仕様として調整してもらってるのだそうです。


バンダイナムコの「VR ZONE」では、VR技術を前面に押し出したり、得意とするIPを使用したコンテンツでは、VRを求めてきたのか、そもそもそのIPが好きだからきたのかを判断できなくなってしまうため、「驚き」という体験を前面に押し出したのだそうです。さらに、コンテンツ開発時に社内でグループインタビューを行った際、VRに対し40代以上の男性よりも10代の女性のほうがポジティブな反応であったために、ターゲットを若い世代としたのだと説明しました。

VRアトラクションにおける安全性の面では、USJは社内で独自の安全基準も持っているために事故が発生しない環境づくりを徹底して行っていたと中嶋氏は語ります。特にHMDを装着したままジェットコースターの乗るため、外れて後ろの人に当たらない配慮などさまざまな工夫を凝らしていました。同時に、クルーの人数も相当数が必要になってしまい、今後の課題であるとしました。

ここで速水氏は、『きゃりーぱみゅぱみゅ XRライド』の対象年齢が7歳以上であった点を質問。現在、HMDを使用するVR環境では、視差による3D技術を利用しているために発達期にある子供の目には悪影響があるとし、13歳以上が推奨であるとさています。しかし、この研究報告はVRを前提としていない数十年前のデータがもとになっているため、今の環境には当てはまらないのではないかと清水氏や小山氏は語ります。すでにアメリカでは児童もVRを体験することができ、『アンパンマン』などのIPによるVRコンテンツの発展性も見える今、一度、この古い時代の年齢制限を見直すべきではないかという意見が出ました。


アミューズメントとしてのVRについては、PS VRなどが発売された今、家庭で体験できるような内容はやってはいけないと小山氏は語ります。現在、アミューズメント施設でのVRアトラクションの利用料金はおよそ600円~1800円に設定されており、VRという新たな娯楽の価値を下げることのないようにすることが大事ではないかとのこと。映画や実際のスキーなどと比較した際、体験としては同等のものやそれ以上のものが提供できるVRの価値を下げてしまうのは、現在は得策ではないと各登壇者は声を揃えました。また、1人で体験できるものではなく、『ZERO LATENCY VR』のように複数人数でVR体験を共有できるのもアミューズメントにおいては大きな強みになっていくのだとしています。

VR事業のノウハウを蓄積しつつある中、今後のVRの展開については、HMDの無線や一般化、家庭用と差別化する大規模なもの、酔いづらくなる体の動きを入れたものなどを取り入れていきたいと各登壇者は語りました。テレビやスマートフォンがそうであったように、市場の代替がVRによって起こっていくのだと述べる小山氏。近い将来、VRがさらに手軽で生活必需品になったとき、どんなVRを活用したアミューズメントが生まれているのか、期待させるセッションとなりました。
《佐藤大介》

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