【e-Sportsの裏側】「Eスポーツは意識してない」日本屈指のプロチームを構築した男が語る未来とは | GameBusiness.jp

【e-Sportsの裏側】「Eスポーツは意識してない」日本屈指のプロチームを構築した男が語る未来とは

文化 eSports

【e-Sportsの裏側】「Eスポーツは意識してない」日本屈指のプロチームを構築した男が語る未来とは
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e-Sportsに携わる「人」にフォーカスを当てて、これからの日本のe-Sportsシーンを担うキーパーソンをインタビュー形式で紹介していく【e-Sportsの裏側】。「前回の連載」では、Googleのチャ・イネス氏に話を聞き、「YouTube」というプラットフォームの未来の話、これからの「ゲーム動画」のあり方について話を聞きました。

■e-Sportsとは?
e-Sports(Eスポーツ)とはElectronic sportsの略で、コンピュータゲームやビデオゲームで行われる競技のことです。高額な賞金のかけられた世界的な規模で行われるプロフェッショナルな大会から、アマチュアまで競技が行われており、ジャンルやゲーム毎にプロチームやプロリーグが多数あります。現在e-Sportsの対象となっているゲームを遊ぶ人の数は、全世界で5500万人を超えています。
(ゲーム大辞典参照:http://game-lexicon.jp/word/e-Sports

連載第8回目は元美容師という異色のキャリアを持ちながら、プロゲーミングチーム「DeToNator」の代表を務める江尻 勝氏にインタビューを実施。
「プロ選手とはなにか?」「プロゲーミングチームのあり方」、日本の「e-sports」を取り巻く環境の問題点について同氏が考えるビジョンを語ってもらいました。


―――今回はお時間を頂きありがとうございます。まずは江尻さんのキャリアについて教えてください。

江尻氏:ゲーミングチーム「DeToNator」の代表を務める江尻です。2009年に「DeToNator」はスタートしており、このチームをやり始めて8年目になります。僕自身は元々美容師として働いていたり、自身で会社を起こしたりといろいろなことをやりながら、ゲーミングチームを運営できる環境を整えてきて、今に至ります。

―――すごい経歴ですね。

江尻氏:美容院で働いていたこともありますし、自分で美容室を開いたりもしていました。その中で自分の中では「やりきった」という感覚を持てたので、美容師を卒業して、ゲーミングチームの運営をするようになりました。

―――オンラインゲーム業界に携わるようになったきっかけはなんでしょうか。

江尻氏:もともと僕自身が「ゲーム好き」の1点につきますね。美容師として働いていた33歳の時に、PCの作業をする必要性がでてきて、たまたまバナー広告で『サドンアタック』をみかけて、クリックをしてゲームをしようと思ったのがオンラインゲームをプレイした一番最初のきっかけです。当時僕が持っていたPCのスペックがあまりにも低すぎて、ガクガクになりながらプレイしてましたね。その3ヶ月後くらいに『Alliance of Valiant Arms』(以下『AVA』)がリリースされるということで、「じゃあ、みんなでプレイしてみようか」という話になり、オンラインゲームをプレイするようになりました。そこからPCを買い換えたり、オンラインゲーム仲間が増えていったり、ボイスチャットという存在を知って、「あ、すごい世界があるんだな…」と感じて、そこからどっぷりこの世界にのめり込んでいきましたね。

―――33歳からオンラインゲームをはじめて、『AVA』の大会で優勝したのって何歳の時でしょうか?

江尻氏:35歳の時ですね。

―――すごいスピードですね(笑)。

江尻氏:ベースはコンソール(家庭用ゲーム機)でのゲームプレイだったのですが、PCゲームの存在を知ってからはもっぱらPCゲームがメインです。

―――「e-Sports」の話をいろいろな人に聞くと、アーケードゲームをたくさんプレイしていた、という方が多い印象です。


江尻氏:もちろんアーケードゲームもプレイはしてきましたが、そもそも僕は「e-Sports」という言葉を意識したことないんですよ。あくまでも「e-Sports」というのは、周りの方々が僕達の活動をそう捉えてるだけなのかなぁ、と。僕たちは「e-Sportsを盛り上げるぞ!おー!」という旗印を掲げての活動は1ミリもしていないですね。たまたま見ている人たちが「あ、e-Sportsをやっている人達なんだ」と言ってくださることには、何も違和感はありませんし、そういった形でも認識されているのは良いことです。「e-Sportsをやっている人」という見方をする人もいると思いますし、「パソコンでゲームをやっている人」と見る人もいると思います。周りからの見え方は正直気にしていなくて、僕達「DeToNator」が掲げているのは、選手達が自分達で選んだタイトルで「世界一になる」の1点のみです。そういった意味で言葉としての「e-Sports」は意識していないですね。

―――なるほど。とはいえ、10年くらい前にも「e-Sports」の波があって、ここ2~3年で再び日本のシーンにも大きな波が起こっていると思います。なんとなく意識された時期はあるのでしょうか。

江尻氏:「DeToNator」を発足した当時は、ちょうど波が去っていって何も無いまっさらな状態でした。その中でいろいろな大会に出て、優勝をしたりしていて、チームとしての目標も「優勝」というところに置いていたのですが「優勝したその先に何があるんだっけ?もっとできることはあるはず」と考えるようになり、そこからチームのスポンサーを探したりするようになりました。ただ最初は「e-Sports」という言葉自体浸透していなかったですし、僕達自身も感じていませんでした。いろいろな企業さんにまずは「サポート」という形で入ってもらい、次は「スポンサー」になってもらい、ただそこには金銭が発生していないことが多いから、ビジネスにするのはどうすればいいのか…とか段階を踏んで考えるようになりましたね。自分自身の印象としては、2013年くらいから一気に「e-Sports」という言葉を耳にするようになりましたし、日本でのマーケットも構築されてきた印象です。

今までは僕達がやってきたことを「これ、日本でやってて意味あるの?」という感じで言われていたのですが、この頃くらいから「お、なんか周りの見る目が変わってきてる?」と感じるようになりました。で、ポツポツと新しいゲーミングチームが立ち上がっては消え、立ち上がっては消え…という印象ですね。

―――「ゲーム」という部分でのビジネスは見据えていると思うのですが、チームとしてはどういった戦略でしょうか。

江尻氏:最初からチームとしては海外を見据えていて、海外では「e-Sports」という言葉云々以前にビジネスとして成り立っていたのでそこにどう突っ込むのか、という意識しか持っていないですね。今もその考えは変わりません。

僕達の活動拠点は日本ですが、それは当たり前の話であって、「日本のコミュニティに貢献」していくためには日本に在住している必要があります。「日本を疎かにする」とか「海外だけを視野に入れる」とかいうそういうレベルの話ではなく、「日本で母数を広げていく」というのはゲーミングチームを立ち上げた時点で、最優先の使命です。そこは当たり前の話で、チームの選手達が一番輝ける場所が今は「海外」という話です。日本のナンバーワンになったとしてもそれはお山の大将でしかないと感じていて、じっくり成長して、世界できちんと結果を残せるチーム作りを意識しています。

―――「人」を育てる、ということは何事も時間がかかってしまうと思うのですが。

江尻氏:そうですね。ただ、僕はそこの部分は絶対に妥協はしません。「すごい選手がいるから」といって、どこの誰か分からない人をひっ捕まえる、ということは絶対にやりません。僕のポリシーに反しますので。時間はかかるかもしれませんが、そういったことの積み重ねで本当の意味での「結果」が出せると思っているので。

「e-Sports」という言葉が踊っていること自体には違和感は全然無いのですが、海外と比べた時にマーケットの規模もそうですし、企業様に理解をしてもらう、といった点も全然遅れているのは事実ですので、今はそこの部分を自分のチームでどう変えていけるかを模索している最中です。

―――「日本のコミュニティへの貢献」とでましたが、具体的にはどういったことでしょうか。


江尻氏:プロゲーマーやトッププレイヤーって「憧れ」の対象になると思うんですね。そういった選手が暴言を吐くとか、初心者を貶めるようなことばかりやっているコミュニティって、当たり前の話ですがそのタイトル自体の人気が下がっていくんですね。そこは間違いない。トッププレイヤーが好き勝手ゲーム内で楽しんだり、Twitterで暴言を吐くとか「そんなの誰が憧れるの?」という話。だから、うちのチームはそういった部分に関しては、かなり厳しくしています。Twitterの発言でふざけたこととか言っていたら、即刻解雇の場合もありますね。それはもうトッププレイヤーとしての「責任」ですよね。「トッププレイヤー≒注目される、憧れ、目標」の対象になるわけですからそういった立ち振舞ができないプレイヤーはダメですね。それはどのスポーツでも一緒だと思うんです。プロスポーツ選手の方々って、種目自体のパフォーマンスが高いの当たり前で、そこに「人間性」であったり「立ち振舞」みたいなところがきちんとしているからこそ、いろいろな人から憧れの的になっています。「俺達、ゲームめちゃくちゃうまいんだぜ」というだけで、好き勝手やっているのはそれはもうプロじゃないですね。

母数を広げるためには、トッププレイヤー自身が「コミュニティをどうやれば広げていけるか?」という意識を持ち続けることだと思っています。広げていく方法は「自分のスキルをコミュニティに還元する」「イベントや配信を通して、積極的に交流をして自分たちの人間性を知ってもらう」など方法はいろいろあると思います。その意識がないやつはダメですね。「スポンサーがまた増えたんだぜ!なんか俺たちすごいでしょ」みたいなのは論外。スポンサーがいくらつこうが、それはコミュニティには何もメリット・還元は無いと考えています。あくまでチームや選手のメリットだけですので。選手がちゃんとした教育を受けて「自分たちが何をすべきなのか?」という意識をきちんと持つことが今後の日本でのプロゲーマーの発展には必要なことだと感じています。ただ単に「ゲームが上手いから」という理由だけで、若いゲーマーにお金を渡したらどうなるか・・・・・・、って誰でも分かることだと思うんですね。


「お金の意味」「自分の立場」「自分の存在している意味」この辺りを多少時間がかかっても、選手達にはきっちり理解をさせていく動きをしています。その辺りを理解していないと、結局選手達が不幸になってしまいますので。そこの部分は各ゲーミングチーム、企業さんが意識していく必要があると強く感じています。

―――ここ数年でプロゲーマーの立ち振舞などについては、だいぶ改善されてきたと感じます。

江尻氏:そこは私も感じますが、逆に変わってなかったらやばいですよね。2016年、2017年は「質」が問われる年になると読んでいて、「何も話せない」「何も還元できない」ような選手やチームからはスポンサーが離れると思っていて、業界全体を見ると、正直、危機感しか持っていないです。だからこそ、教育を徹底して、何から何まで自分達でできるようにして、さらにはビジネスパートナーとして企業様から認められるようになる、という方針でうちのチームはやっています。

企業さんから見た時に「投資」で終わってしまう形ではなく、自分達が活動することによって、企業様、メディアのみなさん、コミュニティにメリットがきちんと返せるようなチーム作りを心がけています。

※次のページ:江尻氏にとっての「e-Sports」とは
《森元行》

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