数々のオンラインゲームサーバー支える「ProudNet」とは―日本進出の意気込みを社長に訊く | GameBusiness.jp

数々のオンラインゲームサーバー支える「ProudNet」とは―日本進出の意気込みを社長に訊く

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数々のオンラインゲームサーバー支える「ProudNet」とは―日本進出の意気込みを社長に訊く
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ゲーム業界向けにネットワークインフラを提供する韓国企業のNettention。同社のネットワークエンジン「ProudNet」は、韓国の人気オンラインゲームサーバーや、日本でもカプコンの新作対戦格闘ゲーム『ストリートファイターV』を支える基盤技術として活用されています。同社代表のペ・ヒョンジク氏にProudNetの特徴や日本市場開拓への意気込みを伺いました。


■Nettentionは社長が夫婦二人で立ち上げた会社


――今日はよろしくお願いします。はじめに、同社がいつ、どういったメンバーで設立されたのか教えてください。

ペ・ヒョンジク氏(以下ヒョンジク): もともとゲーム業界のサーバエンジニアとして、1995年から2008年までオンラインゲームを開発していました。ただ、ゲームタイトルが増えすぎて、競争過多になると感じていました。そこで自分がどのような価値を提供できるか考えた結果、ゲームを作るよりも、ゲーム開発に技術を提供するビジネスをする方がいいと思い、2008年4月に創業しました。最初は夫婦二人ではじめて、自分が開発し、妻が財務担当でした。

――それは良い話ですね。現在の会社規模はどれくらいですか?

ヒョンジク: 社員数が14名で、うち半数がエンジニアです。中国のパートナー企業と共に登記しています。


■ProudNetの全容に迫る―サーバークライアントとP2Pで通信内容を共有


社内の会議の様子

――ProudNetはどのようなゲームに採用されていますか?

ヒョンジク: PCオンラインゲームへの採用から始まり、近年ではモバイルゲームでの採用も増えてきました。現在は世界13カ国、191タイトルに導入されていて、代表的なタイトルとしては、家庭用ゲームだと『ストリートファイターV』、モバイルだと『セブンナイツ』『MARVEL Future Fight』、PCでは『マビノギ英雄伝』などですね。

――他のネットワークエンジンとの違いは何でしょうか?

ヒョンジク: いろいろありますが、一つはサーバークライアントとP2Pとでデータ通信の内容を共有できる点です。MMORPGなどでは通常、キャラクターの位置情報の同期はサーバークライアント、ボイスチャットの音声通話はP2Pといった具合に、データの転送経路を切り分けることが多いのですが、ProudNetでは両者の通信データを混合させられます。これによって通信環境の安定化と効率化を担保しています。


――なるほど。他にはありますか?

ヒョンジク: 第二に中国と東南アジアむけに、通信環境の安定化とデータ通信量の効率化を追求しました。特に中国のサーバーインフラははNATやルータ構造が複雑で、短時間でP2P通信の連結と解除を繰り返すと問題が発生しがちですが、ProudNetを使えば解決できます。

――現地企業ならではの強みですね。

ヒョンジク: 他にモバイルゲームで端末がWi-Fiエリアからはずれた場合でも、接続を失わずに自然にモバイルデータ通信で連結できるように切り替えられます。大規模サーバの開発が可能なサーバーライブラリも一緒に提供しています。

――ProudNetに最適なゲームのジャンルはあるのでしょうか?

ヒョンジク: 主にレイテンシーの敏感なゲームに採用されています。F2P、MMORPG、スポーツゲーム、アクションRPG、対戦格闘などで、ゲームプレイだけでなくゲーム内の画像転送にも使われています。他にロボットや監視カメラの制御にも使われています。

――どのような特許をとられていますか?

ヒョンジク: 東南アジアと中国むけに、通信の安定性に関する技術や、P2Pをより高速に、安定化させる技術など、全部で4つの特許をとっています。

Nettentionのペ・ヒョンジク代表

――セキュリティ対策はどのようにしていますか?

ヒョンジク: ネットワーク上を流れる情報は、2種類の暗号化で守られています。強力で低速の暗号化と、高速で弱い暗号化です。前者はパスワードなどを交換する際に使用し、後者はゲームプレイの途中でやりとりするデータに使用されます。もっとも、これだけでは不十分で、一般的にはゲームプレイの演算をできる限りサーバー側で行うことが推奨されます。

――そうなるとサーバー上の演算量とデータ転送量が多くなって、レスポンスが悪くなりますが……。

ヒョンジク: そのとおりです。そのためデータ転送量を最適化するための、さまざまな工夫がなされているというわけです。

――対応しているゲームエンジンやサーバーはどうなっていますか?

ヒョンジク: Windows ServerとLinux Serverに対応しており、対応言語はC++、C#、Java。開発ツールはVisual Studio、Xcode、Eclipsなどに対応し、データベースではMySQLをサポートしています。ゲームエンジンではUnreal Engine 3、Unreal Engine 4、Unity、Cocos-2dxに対応していますね。クライアントはPC、モバイル、組み込み型デバイス(DVD、NVR、IPカメラ)、そしてPS4などで、異なる機種間のクライアント同士によるマルチプレイもサポートしています。

――それは幅広いですね。おすすめのクラウドサーバーの組み合わせはありますか?

ヒョンジク: AWSをはじめ、どのようなサーバでも対応していますよ。

――ProudNetを利用する際の価格モデルはどうなっていますか?

ヒョンジク: 永年購入は1プロジェクトごとに500万円、年間ライセンスは165万円です。ソースコードにアクセスされる場合は1千万円となっています。一方で規模が5人未満のインディーゲーム開発者や、個人開発者は無料で使用できます。

――Nettentionはインディーゲーム開発者を支援されているのですね。

ヒョンジク: そうですね、そのようなイメージで受け取ってもらえればうれしいです。


■日本での採用事例も―「全身全霊をかけてサポートにつとめていく」



――ProudNetの日本での採用事例はありますか?

ヒョンジク: カプコン様の『ストリートファイターV』が初めてです。個人的にも大好きなタイトルで、技術サポートにも力が入りました。今回の経験で日本のゲーム開発者が何を求めているのかがわかり、勉強にもなりましたね、今後の日本展開はまだ決まっていませんが、ProudNetを採択してもらったすべての会社にご満足いただけるように、全身全霊をかけてサポートにつとめていきます。

――どういった経緯で採択されましたか?

ヒョンジク: 別件ですでにカプコン様と仕事をしていた知人から連絡があり、紹介をいただきました。その時点で、ありがたいことに先方は弊社について面識があったようです。

――カプコン側がProudNetを導入した決め手は何だったと分析されていますか?

ヒョンジク: カプコンでは他社製のサービス検証も行われていたと思います。その中でもProudNetが採択されたのは、対戦相手のマッチング機能など、P2Pのネットワーク機能が豊富だったからではないかと思います。サービス後のフィードバックについては、まだいただいていないのですが、今後も末永く使っていただけるのではないかと期待しています。


■日本語のメールでサポート対応、エンジニアが現地に出張することも


――ProudNet導入後のサポート体制について教えてください。

ヒョンジク: Nettentionの技術者向けサポートページからメールを送ってもらえれば、弊社のエンジニアが誰でも回答できるようなシステムになっています。「緊急」オプションを使えば、エンジニアの携帯電話にアラームが届くので、すぐに対応できます。それ以外にチャットやリモートによるサポートもあります。問題が込み入っている場合は、お客様の会社に弊社のサポートエンジニアが直接伺うこともあります。

日本語化されたサポートページ

――オンラインゲームではサービス開始時のトラブルがつきものですが、ProudNetの導入でそうしたリスクも減らせるでしょうか。

ヒョンジク: ProudNetの導入でサーバーダウンなどのリスクを減らせると思います。障害が発生した場合は、はじめに詳細な分析を行います。ProudNetと関係のある障害は無償サポートを行いますし、関係のない障害でも有償サポートで対応しています。

――メールサポートは何語で行われるのでしょうか?

ヒョンジク: 韓国語、英語、中国語、日本語のサポートが可能です。日本企業の場合、日本語で質問を送ってもらえれば、回答も日本語でおくられます。マニュアルやドキュメント類の日本語化については、現在簡易的なものに留まっており、現在は500頁にもおよぶ詳細なものを日本語化している最中です。

――日本に現地法人を設置する予定はありますか?

ヒョンジク: 中国ではすでにパートナー企業を通してサポートを行っていますが、日本では検討中です。ただ出張にかかる時間的コストを考えれば、何らかの手段があった方がいいのは明らかです。現地法人を立てるか、パートナー企業を選定するか、さまざまなオプションを検討しています。

――すでにサービス中のゲームにProudNetを導入できますか?

ヒョンジク: 機能追加の形であればProudNetの導入も可能です。実際にPVPやレイドバトルを実装するために、既存のネットワークエンジンにアドオンする形で、ProudNetが使用された例があります。ただし、すでにサービスが始まっているゲームのネットワークエンジンをすべて変更する場合は、事前に長期間の技術検証が必用です。既存システムから移行する理由を一緒になって検討し、理由が不十分な場合は移行しないことをお勧めする場合もあります。移行が決まった場合は、ゲームのソースコードを一緒に検討しながら、両者で進めていくことになります。

――それでは最後に、日本のゲーム企業に対してメッセージをお願いします。

ヒョンジク: 日本は世界で一番すばらしいゲームを作っている国だと思います。日本のゲームに、韓国の大規模マルチプレイオンラインゲームのネットワーク技術が加われば、さらなる発展があるのではないでしょうか。ぜひ一緒に進めさせてください。

――わかりました。本日はありがとうございました。
《小野 憲史》

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