【e-Sportsの裏側】夫婦格闘プロゲーマーの次なる挑戦―「スタジオスカイ」設立や「Echo Fox」移籍まで | GameBusiness.jp

【e-Sportsの裏側】夫婦格闘プロゲーマーの次なる挑戦―「スタジオスカイ」設立や「Echo Fox」移籍まで

Game*Sparkでは、スタジオ設立の背景、2017年の活動について独占インタビューを実施。チョコ氏・ももち氏の熱い企業ビジョンを本稿ではお届けします。

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e-Sportsに携わる「人」にフォーカスを当てて、これからの日本のe-Sportsシーンを担うキーパーソンをインタビュー形式で紹介していく【e-Sportsの裏側】。

前回の連載ではNEXON KOREAのe-Sportsチームを率いるファン・ヨンミン氏に海外e-Sportsの潮流と日本が取り組むべき課題について熱く語ってもらいました。

■e-Sportsとは?
e-Sports(Eスポーツ)とはElectronic sportsの略で、コンピュータゲームやビデオゲームで行われる競技のことです。高額な賞金のかけられた世界的な規模で行われるプロフェッショナルな大会から、アマチュアまで競技が行われており、ジャンルやゲーム毎にプロチームやプロリーグが多数あります。現在e-Sportsの対象となっているゲームを遊ぶ人の数は、全世界で5500万人を超えています。
(ゲーム大辞典参照:http://game-lexicon.jp/word/e-Sports

第10回目となる今回は、プロゲーマーとして情報発信やファンが集まるイベントを定期的に開催している『ウルトラストリートファイターIV』世界王者(EVO2015ウルトラストリートファイターIV世界王者)のももち氏、日本初の女性プロゲーマーチョコ(ChocoBlanka)氏。2015年11月4日に株式会社 忍ism(シノビズム)(以下: 忍ism)を起ち上げ、2016年は「世界で1番になれる後進の育成(プロゲーマーの育成)」プロジェクトや積極的なメディア露出などを行い、夫婦二人三脚で国内外に限らずe-Sport市場ひいてはゲーム業界に貢献をする活動を精力的に行ってきました。

今回そんな二人が「ゲームと人を繋ぐ」という忍ismの事業をさらにドライブさせるために「手軽に、気軽にゲームの配信が出来る場所・ゲームと人の接点となる場所」を目指して「スタジオスカイ」を設立。Game*Sparkでは、スタジオ設立の背景、2017年の活動について独占インタビューを実施。チョコ氏・ももち氏の熱い企業ビジョンを本稿ではお届けします。また電撃発表されたプロゲーム団体「Echo Fox」の移籍についてもお話を伺いました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


――改めて、お二人の自己紹介を改めてお願いします。

ももち: Echo Fox所属のももちです。忍ismの代表を務めています。

チョコ: Echo Fox所属プロゲーマーのチョコブランカです。忍ismの取締役を務めています。

――忍ism自体は2015年の11月設立、約1年ほど経ちますが2016年はどうでしたか?

ももち: 自分自身がプレイヤーとして活動しながら、イベントの運営、後進の育成をメインで活動していたのですが、すごく大変でした。今までは、自分がトーナメントに参加して、自分の結果がどうこう、ということだけだったのですが、教えている弟子達がトーナメントに出て、弟子達のトーナメントの結果もヒヤヒヤしながら見たりということもしました。すごく勉強になった1年ですね。

――たしか2016年の年始に弟子募集をしたんですよね。

ももち: そうですね。1月末ぐらいに募集をかけて、3~4月ぐらいからスタートしました。最終的に面接を通過して、弟子としてジョインしてくれたのは3名ですね。

――応募自体はどれぐらいあったんでしょうか?

ももち: 約100名です。20歳以下限定で募集をかけていたのですが、中には「今22歳なんですがどうしてもやりたいです」という方や、自分より年上の熱意のある方からの応募もありました。

――以前インタビューさせていただいた時は、最初は書類選考、その後にオンライン面接というフローということでしたが、そのフローで最終的に3人を選抜したんですか?

ももち: 書類選考をして、直接会って面接をして、そこから絞って実技試験で3名ですね。実技試験は公開実技試験という形でストリーム配信を行いながらやるという形でした。

――ジョニィ氏、ハク氏、ヤマグチ氏の3名は2017年も忍ismの育成プロジェクトとして動いていく感じでしょうか?

ももち: はい、そうですね。当初は1年間育成の過程を通じて、年末で総括、その後によさそうな選手に対しては会社として支援を考えたり、育成企画としての継続を考えていたんですが。結果的に3名とも良い選手だったのと、やはり「1年じゃまだ”育成”とはいいきれんだろう、折角だから選手たちともっとじっくりと向き合ってみたい。」という”やってみてこそ”わかった自分たちの思いもありまして「これはもう3名とも継続で」という話に社内でもなりました。また、新たに追加の募集も考えていまして、この企画というか、試み自体をもっと大きくして行きたいので、新たに募集をして新しい子達も育てていこうかなと、そう思っています。


――トーナメントに出場して結果を出すというのは当たり前だと思いますが、自分が見ていると、チョコさんはもちろん、弟子のみなさんもTVに出演している印象も強かったです。具体的にはどういうことをしていたのでしょうか。

ももち: 実際の試合(トーナメント)に関しては、基本的に自分が技術的なことを教えています。TVのオファーというのは、人を通じての御紹介や、会社のホームページに直接TV局の方からお問い合わせ頂くなど、様々なケースがあるのですが、ありがたいことに我々の「育成企画」に興味を持ってくださっている事が多いです。

スマホゲーム全盛の時代に「(プロゲーマーに弟子入りして)ゲームに真剣に取り組んでいる若い子達の存在を広めたい」というのをTV側の方々も言ってくださっていて、そういった作り手側の方々の思いと、日本国内でもキーワードとして注目され始めている「e-Sports」というものが重なって、様々なお話を頂く機会が増えてきています。

我々にとっては企業活動をサポートしてくれている提携企業や所属チームの宣伝にもつながるという側面は無くもないのですが、お仕事やそういった機会をお受けする際の判断基準として「世の中に対して、ゲーム業界の外側の世界に対して、そのお仕事がプラスに成り得る機会かどうか」という所に気を付けて、TVやマスメディアへの露出についてはやらせて頂いてきました。やはり、自分たちのやっていること、やっていきたいことを業界の外に広めるためにはTVや新聞は最高の手段の一つだと思いますし、「ゲーム」そのものに対して少しでも世の中的にポジティブなイメージに繋がればと思い、自分もチョコも日頃から活動していますので。

チョコ: 弟子については、月に2~3回、日曜日に集まって、ももちと各自3人で配信後に練習すると言う形を取っています。個別の質問や相談、日々のコミュニケーションは随時SNS等を通じて行っています。日本国内の大会は出れるものは基本的に全て出るという方向で、各自の意思とスケジュールを尊重しています。大きな大会では毎年夏にアメリカで開かれている世界最大級のゲーム大会「Evolution」に弟子を含めた忍ism全員で出場しました。ジョニィについては経験を積んでもらう為、シンガポールの大会に出場をしてもらいました。

ももち: ハクとヤマグチは、まだ15歳で学業との両立があるので、親御さんへのご相談、ご報告などはもちろんのこと、バランスを取りながら進めてきたつもりです。

――事業として2016年はどうでしたか?

チョコ: 投資する年でしたね。弟子企画、イベント、私たちの活動。それぞれに対して、支援をしてくれる方々や企業様もいたのですが、実際のところは、多くの自分たちの時間と資金を投資してきました。それが今のEcho Fox移籍という結果に繋がったということもあるのですが、まずは「やらねば」という気持ちで、その時、その時で決断し、やり続けてきたつもりです。そういった限られた資金を投資する決断をする際でも、弟子たちは勿論、イベントに来てくれるコミュニティの皆さんのことや、ゲームに関わる多くの人たちの未来を想像して、常にポジティブに、自分たち自身も希望を描きながら決断をすることが出来たと思います。

――満足度はどうでしたか?

ももち: それはもちろん満足です。自分としてはもっとやれたというところはありますが、こうして良い形で2017年に繋げられたので、起業1年目にしては上出来かなと言う感じです。

チョコ: 今回Echo Foxから声をかけていただいた時に、ももちの選手としての実績を評価していただいたこともあるんですが、その一方で「ももちとチョコはコミュニティに対してすごく貢献する活動をやっていると思っている」と言われました。更には「忍ims」としての後進の育成や定期的なイベントの開催をすごく評価していただいて、プレイヤーとしての実績+会社としての活動の両方を評価して頂いた上で「契約したい」ということだったので、それがすごく嬉しかったです。

――ではお二人が今までやってきたことは正しかったということは、ある意味実感できた年であったわけですね。

ももち: そうですね。また今年も、今年が終わってみたらどうなるかなというところではありますが。

チョコ: 逆に上手く行き過ぎた感はありました。弟子企画も上手くいくかわからない、正直「人来るの?」という段階から始めてみて、1年経って終わってみると合格した3人以外にもすごく良い可能性に何人も出会えましたし、ゲーム業界、私たちのやっている格闘ゲームという種目に対して希望を持つことが出来ました。TOPANGAさんのはじめリーグ(若手リーグ)にもヤマグチが出場させていただき、結果として優勝できましたし。なんだかんだこう”流れ”が来ている感じで来ています。

ももち: Tokyo Offline Partyも参加人数がどんどん増えていて有難いかぎりです。とはいえ、毎回不安なんですけどね…「人来るかなぁ」と思っていますし、弟子もあらたに追加で募集をするんですけど「上手くできるかなぁ」と流れを感じている一方で常に不安はつきまとっています。


――『ストリートファイターV』(以下:『ストV』)自体はどうですかね?やっていますか?

ももち: シーズンも変わってPC版も最近は売れてると聞いていて、全体の流れは変わってきているかなとは思っています。自分の中では新たな気持ちでプレイできていますね。

――アーケードがなくなった影響は大きそうですか?

ももち: プレイヤー人口という面では元々アーケードが好きだった人達は「アーケードが好き」なので、そこまで『ストV』に熱くなれないという人はいらっしゃるとは思います。ただ、普段あまりゲームセンターに行かず、元々”オンラインが好き”だとか、近所にゲーセンがないけど”格闘ゲームは好き”という人たちはネット対戦のインフラが整っているこの状況で、熱狂してプレイしていると思います。

――e-Sports全体としてはどういう年でしたか?お二人は格闘ゲームメインだとは思いますが、それ以外のジャンルについても。

ももち: 国内でも「e-sports対応のタイトル」とその大会なんかも増えてきましたよね。とはいえその一方で、どうしても海外の「e-sports市場」と比べてしまうと、「これからなのかな」という印象は受けます。やはり視聴者も関連企業も、動くお金の金額含め海外の方が母数が大きいので、現段階ではプロプレイヤーたちは海外の市場での活躍を目指す方が合理的ですし、スター選手みたいな存在もタイトルに依存する部分はありますが、やはり海外での活躍と言うのはまだまだ必須かと感じています。
日本はこれから(日本のルールに則った)独自路線で盛り上がりが出来ていくのかな、という印象を受ける1年でした。

チョコ: 自分や周辺のことで言えば、TVに多く出させていただけたこともあり、個人的には実感をしているのですが「e-sports」というキーワードを通じて、それに関わる人たちや周辺の企業様などがゲーム業界外の方々から注目していただけたなと、感じています。かなりリーチが広がったみたいで、全然ゲームに興味がない友達のお母さんが見ていて連絡が来るとか、そういったところも変わってきたというのはありましたね。やはりTVやマスメディアに「e-sports」というキーワードが注目されたということは大きな出来事だったのではないでしょうか。

――2017年の忍ismとしてはどういうことを考えていますか?

チョコ: 2017年からは所属チームも変わりましたので、チームと協力してプロゲーマーとしてだけでなく、日本での忍ismとしての活動も強化していきたいというところです。まずは「スタジオをやる」ということで。

次ページ: 新たなスタジオ「スカイ」立ち上げの理由、由来は?

《森元行》

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