【GDC 2016】PSVRに秘められた機能の数々、開発者支援からパーティゲーの作り方まで一挙公開 | GameBusiness.jp

【GDC 2016】PSVRに秘められた機能の数々、開発者支援からパーティゲーの作り方まで一挙公開

ソニー・コンピュータエンタテインメントはGDCで3月16日、「PlayStation VR: Development and Innovations」と題して講演を行いました。

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ソニー・コンピュータエンタテインメントはGDCで3月16日、「PlayStation VR: Development and Innovations」と題して講演を行いました。前日にPS VRの価格が発表されたばかりのタイミングでもあり、GDCでも最大級の会議室は立ち見がでるほどの盛況ぶりで、ゲーム開発者の大きな期待を感じさせました。講演ではSCEAのChris Norden氏が登壇し、PS VRの機能概要について紹介したほか、『Social VR demo』の実演を通してPS VRの新たな魅力をアピールしました。

3月15日に開催されたSCEプレスカンファレンスで、最終製品版を用いたデモを公開し、発売に向けていよいよカウントダウンが始まった感のあるPS VR。すでにスペックをはじめ、かなりの内容が明らかになっています。しかし、Norden氏はここにきて、さらに新たな情報を開発者向けに公開しました。内容が多岐にわたるため、本稿では主要トピックを抽出してレポートします。

(1)プレイエリア
既報の通りPS VRではPSカメラを用いてゴーグル部やデュアルショック4、PlayStation Move モーションコントローラ(PS Move)の空間位置を認識します。そのためゲーム中はプレイヤーの姿がPSカメラで把握できる状態にする必要があります。認識可能エリアはPSカメラを起点に幅1.9メートル、高さ1.9メートル、奥行き0.6~3メートルの範囲です。プレイヤーの姿が認識されない場合、警告メッセージが表示されることになります。



(2)IPD(瞳孔間距離)の設定と管理
PS VRは立体視表示に対応しており、立体視の度合いは両目の瞳孔間距離に関係します。一般的に成人男性は64.7ミリ、女性は62.3ミリとされていますが、個体差があります。そのためPS VRではプレイヤーごとにシステムソフトウェア側で瞳孔間距離を測定し、ID情報に紐付けて保存・管理できるようになります。なお測定は将来的に自動化される(=PS VRを被ってボタンを押すなど)見込みとのことです。

(3)リプロジェクション
快適なVRコンテンツ体験には高速・安定したフレームレートの確保が不可欠です。そのためPS VRではレンダリングした映像をリプロジェクションする際に▽60fpsから120fps▽90fpsから90fps▽120fpsから120fpsーーの3種類を選択できます。現在公開されているデモでは『プレイルーム』がネイティブ120fps対応となっています。VRコンテンツの初期段階では、映像品質を落としたネイティブ120fps描画が有効な選択肢かもしれません。

(4)複層レンダリング
これまでの開発事例から、VRコンテンツでは画面に腕やコクピットなどの対象物を表示することが、VR酔いの軽減になることが知られています。そのためPS VRでは新たに複層レンダリングが実装され、コクピットやUIを手前に、ゲーム世界を奥側にと、最初から分けて描画できるようになりました。この機能を立体視表示と組み合わせると、より立体感・没入感のあるゲーム世界を表現可能です。

(5)VRコンサルティングサービス
VRコンテンツを広める上で避けなければならないのがVR酔い。そこでSCEでは豊富なVRコンテンツ開発のノウハウを生かして、新たに「VRコンサルティングサービス」がスタートしました。同社では「できるだけ早い段階で開発版を提出し、レビューを受ける」ことを推奨しています。レビューの結果はレポートで返却され、技術的改善点やより快適なコンテンツを作る上でのアイディアなどが受けられます。

(6)プロセッサーユニット(PU)
製品パッケージの紹介と共に明らかになったのがPUの存在です。これは「CPUやGPUパワーを強化したり、PS4の機能を強化するようなものではなく」(Norden氏)、オブジェクトベースの3Dオーディオ処理を行ったり、後述するソーシャルスクリーン機能を提供するものです。PS VRをメガネ型ディスプレイのように使用する「シネマティックモード」の機能も、本ユニットの役割となります。

(7)3Dオーディオ
PS VRでは独自の3Dオーディオ技術が投入されており、プレイヤーはHDMIケーブルにあるヘッドフォン端子から別途、ケーブルを装着してヘッドフォンで音声を楽しむスタイルをとります。これは頭部の回転と音の聞こえ方を同期させる必要があるからです。そのため5.1や7.1チャンネルといった、これまでのワークフローは改善が求められます。なお、ヘッドフォンは通常のステレオタイプのもので問題ありません。

(8)ソーシャルスクリーン
PS VRでは既報の通り、ゴーグル内部で表示されている映像を外部テレビに出力できるほか、ゴーグルとテレビで別々の映像を表示させることができます。前者をミラーリングモード、後者をセパレートモードと呼び、セパレートモードではゴーグル側とそれ以外で最大5人までの対戦・協力プレーが楽しめます。セパレートモードの映像と音声は720P・48kHzとなり、PS4側でレンダリングされた映像をUSB接続されたPUを介して表示される仕組みです。



(9)各種デバッグモードや開発者向けサポート
ゴーグル側で右目と左目のレンダリングずみ映像を、そのまま外部ディスプレイに表示する機能や、USBマイクを別途装着してゲーム中のサウンドとボイスをミキシングし、PS VRを体験中のプレイヤーに声で指示を出せる機能など、ゲーム開発やサービスに有益なモードが多数実装されます。開発者向けの情報サイト「DevNet」では、デモを通してVRコンテンツの良い例・悪い例がわかりやすく提供されます。

パーティゲームの作りかた



セッションの後半ではSCEジャパンスタジオのNicolas Doucet氏が、PS VRのセパレートモードを用いたパーティゲームの作り方についてTIPSを紹介しました。Doucet氏はPS2向けゲーム『EyeToy』から長くVR・ARゲームの開発にたずさわり、現在はPSVR向けに『THE PLAYROOM VR』などのデモ開発も手がけるベテラン開発者です。Doucet氏は「パーティゲームはVRコンテンツに新たなイノベーションをもたらす」と説明します。

例に出されたのがPS VRを着けたプレイヤーが怪獣役となり、ほかの4人はボットを操作して対戦する『Monster Escape』です。本作ではPS VRに表示される映像と、テレビ画面に表示される映像が別々のものとなり、それぞれ操作方法やゲームルールも異なります。これは実質的に2つの異なるゲームを開発して1本にまとめるようなもので、開発難度が高くなるが、今までにないおもしろさで非常に有効だとされました。

中でもポイントとなるのが処理負荷の増大で、ゲーム内容をできるだけシンプルに保つ必要があります。またゴーグル側とテレビ側プレイヤーで描画のスピード感や物体のスケール感が異なるため、注意が必要であること。特にアートディレクターの負担が高まるといいます。しかし、おもしろさが増すことは間違いなく、4人のプレイヤーが操作する宇宙船に対してゴーグル側プレイヤーが燃料を補給するなどのアイディアが示されました。

セッションの最後は4名の登壇者らによって『Social VR demo』の実演が行われました。これはPS VRを装着して仮想世界内でアバターチャットを楽しむもので、ボイスやハンドゼスチャーやコミュニケーションをしたり、物理エンジンを用いてオブジェクトとインタラクションをとるなどができます。ボールをぶつけあったり、空高く跳ね上がったり、ダンスを楽しんだりする様をみながら、会場もPS VRの新たな可能性に感じ入っているようでした。
《小野憲史》

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