【GDC 2016】ゲームのアカデミー賞「GDCアワード」が発表、『ウィッチャー3』が大賞、インディーは『Her Story』が席巻 | GameBusiness.jp

【GDC 2016】ゲームのアカデミー賞「GDCアワード」が発表、『ウィッチャー3』が大賞、インディーは『Her Story』が席巻

3月16日、ゲームのアカデミー賞といわれる「第16回ゲーム・ディベロッパーズ・チョイス(GDC)アワード」で、ポーランドのCD ProjektのファンタジーRPG『ウィッチャー3 ワイルドハント』が大賞のゲーム・オブ・ザ・イヤーに輝きました。

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3月16日、ゲームのアカデミー賞といわれる「第16回ゲーム・ディベロッパーズ・チョイス(GDC)アワード」で、ポーランドのCD Projekt REDが開発したファンタジーRPG『ウィッチャー3 ワイルドハント』が大賞のゲーム・オブ・ザ・イヤーに輝きました。また、『マインクラフト』の制作者として有名なノッチことMarcus Perrson氏にパイオニア賞が贈呈されました。

一方、全世界的に大きなムーブメントをおこしているインディゲームを対象とし、今やGDCアワードをしのぐほどの勢いにまで成長した「第18回インディペンデント・ゲーム・フェスティバル(IGFアワード)」では、1994年におきた殺人事件を残された映像記録をもとに解明する実写系推理アドベンチャー『Her Story』が大賞(Seumas McNally Grand Prize)とナラティブ部門を獲得。GDCアワードでの顕彰をあわせると、合計5冠に輝きました。



GDCアワードは審査委員会によって選定されたノミネート作品を対象に、全世界のゲーム開発者の投票をベースとして決定されるアワードです。第8回(2007年)のゲーム・オブ・ザ・イヤーに学生が制作したプロジェクトがベースとなった3Dパズルアクション『ポータル』が輝いたあたりから、徐々にインディ旋風が巻き起こり、近年ではGDCアワードとIGFアワードの両方で受賞する例も数多く見られるようになっています。

また昨年度のIGFアワードでは学生部門にノミネートされた『Downwell』が、今年はGDCアワードのデビュースタジオ部門と携帯ゲーム部門でノミネートされる快挙をはたしました。会場にはGDCのインディゲームサミットで登壇した、制作者の”もっぴん”氏も登場。残念ながら受賞は逃しましたが、タイトルが読み上げられるたびに大きな歓声が沸き上がり、終了後は世界中のインディゲーム開発者から囲まれるなど、人気ぶりを感じさせました。

このほか著名ゲーム開発者の故人を回想するメモリアルコーナーでは、任天堂の元社長で2015年に逝去した岩田聡氏を偲ぶ特別映像が上映され、会場はひときわ温かく、大きな拍手で包まれました。なお本イベントはGDC30周年を記念して、Twitchで生放送されました。現在も録画映像が視聴できます。受賞作品は以下の通りです(人名の敬称略)。

■GDCアワード

・ゲーム・オブ・ザ・イヤー『ウィッチャー3 ワイルドハント』
・オーディエンス部門『ライフ イズ ストレンジ』
・デビュースタジオ部門『Moon Studios』(Ori and the Blind Forrest)
・オーディオ部門『Crypt of the NecroFancer』
・イノベーション部門『Her Story』
・テクノロジー部門『ウィッチャー3 ワイルドハント』
・ビジュアルアート部門『Ori and the Blind Forrest』
・ナラティブ部門『Her Story』
・ゲームデザイン部門『Rocket League』
・携帯ゲーム部門『Her Story』
・パイオニア賞:Marcus Perrson
・アンバサダー賞:Tracy Fullerton
・生涯功労者賞:Todd Howard(『スカイリム』『Fallout』シリーズなど)

■IGFアワード

・ナラティブ部門『Her Story』
・オーディオ部門『Mini Metro』
・ゲームデザイン部門『Keep Talking and Nobody Explodes』
・ビジュアルアート部門『Oxenfree』
・ヌエボ賞『Cibele』
・学生部門『Beglitched』(Jennifer Jiao Hisa and Alec Thomson)
・オーディエンス部門『Undertail』
・大賞(Seumas McNally Grand Prize)『Her Story』

ポーランドのCD Projekt REDが開発した『ウィッチャー3』が大賞を受賞


今年のGDCアワードの特徴は、なんといっても「ポーランドのゲームスタジオが開発したタイトルがゲーム・オブ・ザ・イヤーに輝いた」という点でしょう。ゲームは1970年代にアメリカで誕生し、1980年代に日本企業によって産業化され、世界中に拡散しました。そのため1990年代は「おもしろいゲームを作れるのは日本人だけ」という言説が、(当の日本人だけでなく、世界中で)信じられていました。

また日本よりも一足早くPCと家庭用ゲームに移行した海外市場では、海賊版の問題もあり、長く日本・北米・西欧でのゲーム開発が中心でした。そのため2000年代に入って海外ディベロッパーのシェアが急拡大する中でも、EAやユービーアイソフトといった大手パブリッシャー以外からヒット作が産まれるとは考えられていませんでした。しかし、今回の『ウィッチャー3』の受賞は、そうした思い込みを大きく打ち砕くものになったといえそうです。

一方でここ数年、IGFアワードではナラティブの要素を取り入れたゲームが高い評価を得ています。2014年に入国管理官になるアドベンチャーゲーム『Papers, Please』が大旋風を巻き起こしたのも、記憶に新しいところです。今年度の『Her Story』旋風も、IGFアワードとGDCアワードの双方でナラティブ部門を受賞。他にヌエボ賞に輝いた、ネットゲームでの恋愛を女性視点で描いたアドベンチャーゲーム『Cibele』もナラティブ系ゲーム。GDCアワードのオーディエンス部門に輝いた『ライフ イズ ストレンジ』も同様です。

アンバサダー賞を受賞したTracy Fullerton女史


このほかアンバサダー賞を受賞したTracy Fullerton女史についても補足しておきましょう。彼女は南カリフォルニア大学のゲームプログラムコースでディレクターをつとめる人物で、ここから『風ノ旅ビト』を開発したthatgamecompanyなど、数々のゲーム開発者が誕生しました。また彼女が執筆した「中ヒットに導くゲームデザイン」は全世界のゲーム開発者教育を行う大学や専門学校で、必読の教科書となっています。

彼女自身もインディゲーム開発者として知られ、現在はヘンリー・デイヴィッド・ソローの著書「ウォールデン 森の生活」を原作に、西部開拓時代の生活を追体験するアドベンチャーゲーム『Walden』を開発中。いわばアメリカのゲーム開発者教育の象徴ともいえる人物が、業界から顕彰された形です。日本でもゲーム開発者の高齢化や、人材教育の重要性が静かな問題となっており、学ぶところは大きいのではないでしょうか。

Watch live video from GDC on www.twitch.tv
《小野憲史》

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