家業再興への想いからマイコンとの出会い、そして世界的なゲーム会社へ・・・コーエーテクモホールディングス襟川陽一社長インタビュー 3ページ目 | GameBusiness.jp

家業再興への想いからマイコンとの出会い、そして世界的なゲーム会社へ・・・コーエーテクモホールディングス襟川陽一社長インタビュー

コーエーテクモホールディングスの舵取りを行う代表取締役社長・襟川陽一氏。同氏は創業から現在に至るまで、クリエイターとしても活躍している異例の人物です。その生い立ちから会社の現状、そして未来の戦略までじっくりお聞きしました。

企業動向 戦略
家業再興への想いからマイコンとの出会い、そして世界的なゲーム会社へ・・・コーエーテクモホールディングス襟川陽一社長インタビュー
  • 家業再興への想いからマイコンとの出会い、そして世界的なゲーム会社へ・・・コーエーテクモホールディングス襟川陽一社長インタビュー
  • 家業再興への想いからマイコンとの出会い、そして世界的なゲーム会社へ・・・コーエーテクモホールディングス襟川陽一社長インタビュー
  • 家業再興への想いからマイコンとの出会い、そして世界的なゲーム会社へ・・・コーエーテクモホールディングス襟川陽一社長インタビュー
  • 家業再興への想いからマイコンとの出会い、そして世界的なゲーム会社へ・・・コーエーテクモホールディングス襟川陽一社長インタビュー

それぞれのプラットフォームに合わせたビジネス展開を行う



――私は東京ゲームショウ2015で『真・三國無双7』のVRデモを体験したのですが、今後の広がりを感じました。VRについてはいかがでしょうか?

当社からも、今後いろいろ出てくると思います。Team NINJA(テクモブランドの開発チーム)では、『DEAD OR ALIVE』に絡めて新しいのを考えているみたいです。やわらかエンジンもありますし、きっと魅力的な女性が出てくるんではないかと(笑)。

――PlayStation VRへの期待は高いですか?

そうですね。ただ、値段次第なところはどうしてもありますよね。できれば、若い人が気軽に買えるような値段設定にしてもらえると、新しいエンタメとして広がるのかなと思います。

――今年は任天堂のNXもあります

NXについてはまだ詳しい内容が発表されていないので分かりませんが、新しいゲーム機が出てくるのは、ゲームファンの方々は楽しみにされているし、とっても良いことだと思います。当社も積極的に対応したいと思っています。

――スマホアプリに関しても御社は積極的だと思いますが、現在スマホアプリは過渡期に入っていると私は思います。その点について、御社のパブリッシャーとしてのお考えはありますでしょうか?

スマホ向けだけでゲームを作り高い収益をあげる構造は、もう次の段階に来ていると思います。総合的にIPを作るときに、どのプラットフォーム向けに作るか、それをどのようにマルチプラットフォームで展開していくのか、それらを総合的に検討してスタートする時代だと思います。例えば、PlayStation 4でゲームを作るという場合に、PlayStation Vitaとスマホを使おうかとか。ただ、プラットフォームによってビジネスモデルは違いますので、それぞれのプラットフォームに合わせた形でゲームの内容を提供していく必要があると思います。

――なるほど。

『DEAD OR ALIVE 5 Last Round』では、実際に2つのビジネスモデルが動いています。ひとつは、パッケージやダウンロードとして、そのまま純粋にゲームを買っていただくというモデル。もうひとつは、Free To Play版をダウンロードしていただいて、その後追加でキャラクターやコスチュームなどを買っていただくというモデルです。ですから、ひとつのゲームソフトを作るときに、複数のビジネスモデルを用意して、それらを最適なプラットフォームに適用していくという時代になってきているのかなと思います。

――去年10月に株式分割をされましたが、その理由を聞かせてもらえるでしょうか?

1株の値段が高くなってくると、ゲームファンである投資家の方は買いづらくなってくると思いますので。なるべく投資しやすい金額にしたいなというのが、株式分割をした理由です。

――より多くのゲームファンにコーエーテクモを支えてもらいたいというお考えですね。

あとは、株式分割で株が増えますので、あらたに利益と配当の目標設定することによって配当総額を増やすことを目指しているんです。

――長らく開発中であった『仁王』が出る予定といわれていますが、かなり時間がかかったという印象があります。クオリティ面などいかがでしょうか?

やっと“卒業”できるという感じですね(笑)私も現状のバージョンをプレイしていますが、非常にやりごたえがあって、自信を持ってお届けできるゲームになっています。昨日やっと1面のボスを倒して、ほっとしています。その前のバージョンはボスが強すぎて、一撃でやられてしまって(笑)。

――手強そうな印象を受けるゲームですよね。

昨日のバージョンだけで100回以上死んでいるんじゃないかな(笑)。きちんと調整しているので、楽しく遊びごたえのあるゲームとしてお届け出来ると想います。

――では最後に、ゲームファンへのメッセージをお願いします。

今一生懸命作っているのは、『仁王』です。今年絶対発売します。どうぞご期待ください。あと、発売したばかりの『三國志13』は非常に高い評価をいただいており、お客様からもご声援をいただいています。これからも中身を向上させるべく、アップデートを続けていきたいと思っています。今後もコーエーテクモのゲームを楽しみにしていてください。


インタビュー取材後記:黒川文雄



私の仕事に対する取り組みは、仕事は人の顔をしてやってくる。そして、企画書や稟議書のみではなく、仕事は人との繋がりによって成立しているというのが持論です。

1989年から1993年まで、私は株式会社ギャガコミュニケーションズ(現在のギャガ)で映画配給と、宣伝に関わる仕事をしていました。同じエンタテインメント産業とは言えゲーム産業とはほとんど繋がりはなく、映画業界にどっぷりと浸かっていました。

その頃、映画評論家の襟川クロさんに出会いました。今風に言えば、女性映画評論家LiLiCo(リリコ)さんのような存在です。そのクロさんはテレビのレギュラー番組は多数あり、来日したハリウッドスターの会見の司会などをやっていました。あるとき、クロさんの家族の話になり、「ウチのお兄ちゃんはゲームの仕事していて、最近調子がいいんだよネ」と仰っていたのを覚えています。そのときは「ゲームのお仕事しているんですね」という話をした程度でしたが、その「お兄さん」のことはずっと記憶のなかにありました。

その後、セガに転職したのちに、クロさんが仰っていたお兄さんの会社が「光栄」(当時)だったとわかったときは想像以上に驚きました。しかし、襟川社長とお会いする機会はなく、CESAのパーティーなどではお見かけしていましたが気やすくお声掛けできるような存在ではありませんでした。

あれから約23年を経て襟川社長への取材として初めてお会いすることができました。こちらの用意した質問に対して丁重かつ真摯に御回答をいただきました。そして社員ひとりひとりの「野望」を育てつつ、ユーザーやファンの声に耳を傾ける姿勢、そこには人と人の繋がりを大切にしている襟川社長の人柄と組織のサスティビリティ(持続性)を強く感じました。

ちょうど取材のタイミングでは新組織のお話をお聞きすることはできませんでしたが、新しい試みとフレキシビリティに溢れた組織改革が行われました。さらなるコーエーテクモの発展と新しいコンテンツを楽しみにしたいと思います。
《松木和成》

この記事の感想は?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら