『ウィッチャー3』のクエストはどのように作られる?CD Projekt REDのリードクエストデザイナーが解説 | GameBusiness.jp

『ウィッチャー3』のクエストはどのように作られる?CD Projekt REDのリードクエストデザイナーが解説

ポーランドのCD Projekt REDが開発し、日本ではスパイク・チュンソフトが販売する『ウィッチャー3 ワイルドハント(The Witcher 3: Wild Hunt)』。

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『ウィッチャー3』のクエストはどのように作られる?CD Projekt REDのリードクエストデザイナーが解説
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ポーランドのCD Projekt REDが開発し、日本ではスパイク・チュンソフトが販売する『ウィッチャー3 ワイルドハント(The Witcher 3: Wild Hunt)』。彼の地での人気小説「魔法剣士ゲラルト」が原作のファンタジーRPGです。2015年10月13日には拡張パック第1弾『無情なる心』の配信が開始されています。

特徴の一つがプレイヤーの行動によってさまざまに変化するストーリーです。PAXオーストラリアでもリードクエストデザイナーのMateusz Tomaszkieqicz氏が、「The Process of QUEST DESIGN on The WITCHER 3」と題して登壇。ストーリーテリングの基本単位となる、クエストデザイン開発の舞台裏について解説しました。

■クエストデザインとは



クエストデザインとは「プレイヤーに適切なゴールを示すこと」。Tomaszkieqicz氏は開口一番、このように切り出しました。プレイヤーはクエスト単位、そしてクエストの連なりによって、一連のストーリー体験を楽しんでいきます。そのためにはクエストがゲームデザインと統合されていなければなりません。また開発チームにとって、クエスト(関連のドキュメント)はビジュアルやサウンドなどの発注書であり、指南書ともなります。



この一連の開発プロセスについて、Tomaszkieqicz氏は「ペーパーデザイン」「ラフな統合」「クエストβ」「完成にむけてのクエスト」という4段階で説明しました。なお、各段階でプロデューサーやディレクターのチェックが入り、一定以上のクオリティに達しなければ次の段階に進めないことは言うまでもありません。最初からやり直すこともしばしばだといいます。

■ペーパーデザイン



クエスト作成は紙の上で構想を練るところから始まります。はじめに2~3行の簡単な説明書きからスタートし、これでいいか開発チームに対してプレゼンが行われます。もっとも「荒野に塔が出現し、その後消えた。事態の調査と解明を行わなければならない」「偽のウィッチャーが出現した。正体と背後の黒幕をつきとめろ」といった、非常にシンプルなものです。OKが出ると、シナリオの詳細を(ポーランド語で)記述していきます。

ペーパーデザインの目標は「良いアイディアと悪いアイディアを選り分けること」と、「各部署に対してどのような作業が発生するか、計画を立てること」です。コンセプトアート、レベルデザイン、オーディオ、カットシーン・・・ペーパーデザインが承認されると、これらの作業見積もりと発注も行われます。「ペーパーデザインはあらゆる作業の基本であり、修正しやすいように紙の上で行われます」と説明されました。

■ラフな統合



シナリオにもとづき、ゲームエンジン上で仮素材を用いてクエストが組まれていきます。シナリオが適切に機能するか、クエスト内に矛盾はないか、クエストの進行ペースは適切か、などがチェックされていきます。その後、実際の素材が出来上がってゆくにつれて、仮素材と差し替えられていきます。実際の台詞の作成と組み込み、イベント管理のためのスクリプト作成、音楽、エフェクトなども、この段階で実装されていきます。

■クエストβ



クエストβはほとんどの素材が完成版に差し替えられた状態です。クエスト単体としての作り込みに加えて、他のクエストやゲーム全体との関連性もチェックされます。別途録音されたボイスの組み込みとチェックも重要なポイントです。なお本作はポーランド国内での開発のため、シナリオはすべてポーランド語で記述され、社内のローカライズスタッフによって英語版を作成。その後、各国語版に翻訳されていくそうです。

■完成に向けてのクエスト



完成に向けてのクエストは、すなわちデバッグのことだとTomaszkieqicz氏は明かし、会場を沸かせました。実際にクエストを追加しただけで、まったく関係ないバグ(インベントリのアイテム状態が変化するなど)が発生し、頭を悩ますことも多いとのことです。バグ修正が終わると、ようやく一つのクエストが完成。Tomaszkieqicz氏は、もともとQA(品質保証)出身だと明かし、この段階の重要性について強調していました。

《小野憲史》

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