RPG開発を掲げ人材を募集するトイロジック―その社風に迫る | GameBusiness.jp

RPG開発を掲げ人材を募集するトイロジック―その社風に迫る

公式サイトで「大作RPGや次世代マルチプレイアクションを手がける開発スタッフ」を募集中というトイロジック。業界をあげてスマホシフトが進む中で、同社は『Happy Wars』をはじめコンソールに注力する数少ない開発会社です。

企業動向 戦略


公式サイトで「大作RPGや次世代マルチプレイアクションを手がける開発スタッフ」を募集中というトイロジック。業界をあげてスマホシフトが進む中で、同社は『Happy Wars』をはじめコンソールに注力する数少ない開発会社であり、非常に珍しい事例だと言えます。その背景にある思いやユニークな社風などについて代表者に話を伺いました。

――今日はよろしくお願いします。はじめに簡単な経歴と御社の紹介をお願いできますか?

株式会社トイロジック代表取締役社長の岳洋一です。もともとナムコ出身で、そこからキャビアを経て、2006年末に弊社を起業しました。ナムコ時代は家庭用の企画とプログラムをやっていて、最初は『ファミスタ』チームに配属されたんですよ。今は東京工科大学で先生をされている、「きっしぃ」こと岸本好弘さんの隣の席で、いろいろと鍛えられました。

――なんと、そうなんですか。

ええ。そこから『プライムゴール』シリーズ、『タイムクライシス(PS版)』『リッジレーサーV(PS版)』『風のクロノア2』などのタイトルに参加しました。多関節モデルのモーションや描画システムのライブラリーを担当していたので、他にもいろいろなタイトルにライブラリーを使ってもらいました。キャビアに移ってからは、『ガンサバイバー4 バイオハザード HEROES NEVER DIE』『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』『BULLET WITCH』などを手がけました。特に『ガンサバイバー4』では、人手不足だったこともあり、ディレクター・ゲームデザイン・プログラム・シナリオ・モーションキャプチャーの演技指導・ホームページで攻略記事を執筆と、何でもやりましたね。

――まるでインディゲーム開発者ですね。ちなみに名刺にも「ディレクター」と書かれていますが……。

経営者なんだけど、開発チームに混じって実作業もしています。ディレクターだけでなく、アイテムのパラメータなどを打ち込んだり、Excelでマクロを組んだり。イベントを企画するのも大好きで、会社でサバゲー大会をやったり、別荘を借り切ってボードゲーム大会をやったり。山歩きや小旅行などのイベントもやりますね。そんなときは自分で計画を立てて、ホテルを予約して、切符を手配して、運転手をやって……。雑用を一手に引き受けています。



――おもしろいですね。会社としてはXbox 360のF2Pマルチプレイアクション『Happy Wars』が有名ですが……。

開発チームは大きく3つに分かれていて、1つ目は『Happy Wars』を中核としたオリジナルゲームの開発・運営チームです。2つ目は受託開発のチームで、最近では『サイコブレイク』『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』などの有名タイトルに係わらせていただいています。3つ目はスマホゲームの部門ですが、これから力を入れていく予定です。

――最近はスマホゲームがメインの会社が多い中で、御社は数少ないコンシューマ中心の開発会社なんですね。

はい、そこが大きな特徴だと思います。もともと自分がコンシューマ畑の人間ですからね。また自社案件と受託案件をバランス良く進めることもモットーにしています。もともと起業した時から世界に通用するオリジナルタイトルを世に出すことを目標に掲げていました。一方で有名タイトルの開発に参加することで、そこから学べることがたくさんありますし、スタッフのモチベーションにもつながります。その上で、今は多くの人がスマートフォンでゲームを楽しまれているので、しっかりと対応していきたいですね。

――まさに絶滅危惧種といった感じですが……。

よく言われます(笑)

■ゲームを一緒に作り上げていけるセクションリーダーを募集中



――さて、現在御社では「RPGや、次世代マルチプレイアクションを手がける開発スタッフ」を募集されていますね。

大きく3つの分野で人材を募集しています。第一にRPGの開発スタッフで、これが今回の人材募集の中心になります。受託案件なので、まだ詳しく内容についてお話しできないのですが、「コンシューマ向けのRPG」です。最近は大規模なRPGの開発案件が減っていますので、RPGが好きで開発に参加したいという方は、ぜひ注目して欲しいですね。

――それはおもしろいですね。ちなみに、どんな内容になるんでしょうか?

申し訳ありません。守秘義務の関係上、まだ公にできないんです。

――それを聞いて、ますます気になってきました。ちなみに、あと二つの分野はなんですか?

2つ目はオンラインのマルチプレイアクションです。『Happy Wars』が全世界累計ダウンロード数1000万本を突破して、多少なりともヒットしたことで、開発・運営ノウハウが蓄積できました。もっとも、オンライン接続などの点でお客様にご迷惑をおかけしている部分もあり、自分たちとしても改良の余地があると思っています。一方で世界的にみれば、eスポーツに代表されるように、この分野は大きな潮流になっています。日本だけでなく、世界中でプレイしてもらえるような、濃いゲームを作りたいと思っています。

――なるほど、そこは御社の強みが活かせる分野ですからね。そして第三の分野が……。

先ほども説明したように、スマホゲームの事業部を新たに発足させます。弊社はコンシューマ中心でやってきましたので、この分野でノウハウがあまりありません。そこで一緒になって事業を立ち上げてくれるような、開発経験のあるプロデューサークラスの方を探しています。



――すごいですね。まさに全領域といった感じです。それぞれ、どれくらいまで社内で進んでいるのですか?

「RPG」については開発状況もお話できない状況ですが、これから参加いただいても充分楽しめると思います。今回はリーダークラスの人材も募集しています。開発の核となってもらえる人たちですね。「マルチプレイアクション」はまだまだ構想段階で、ゲームデザインから参加してもらえます。

――珍しいケースかもしれませんね。

また、当然ながら今回のプロジェクト限りのお付き合いではなく、そのまま弊社に残って一緒に成長してくれるような方を歓迎します。大前提として、うちはおもしろそうなプロジェクトであれば、ジャンルを問わずに何でも首を突っ込む、雑食系の会社なんですよ。あんまり構えずに応募してもらえればと思います。

■腰を落ち着けて、じっくり作り込める環境がある



――御社の社風についてお伺いできますか? というのも、今回募集されるのは中途採用が中心ですよね。特にリーダークラスとなると、実力もさることながら、会社に「合う、合わない」という点も大きいかと思います。

はい、わかります。なかなか自社のことを自分で説明するのは難しいんですが、あえていえば、ゲーム開発に真剣で、競争が好きな肉食系よりは、協調を大切にする草食系のスタッフが多いと思います。実際、あんまり人間関係とか組織上の立場とか変なことを考えないで、ゲーム作りに集中できる環境があると思うんですよ。特にスマホゲームの世界は変化が早くて、企業も生き残りをかけて必死ですよね。一方で弊社はコンソール中心で、じっくりとゲームを作りこむ文化があります。

――たしかに、懐かしい感じがします。

社内構造もすごくフラットなんですよ。組織上は社長とマネージャーしかいなくて、あとは全部同じです。みんな和やかな雰囲気で仕事をしていて、社長みずから開発しています。逆にゲーム作りに100%力を発揮できない人は、向いていないかもしれません。他に腕のふるいようがないので。

――なるほど。

会社も人間関係や協調性を重視するのがモットーで、離職率も低いんじゃないでしょうか。弊社は今年で9年目を迎えて、いまアルバイトも含めれば90人近くの会社になりました。設立して5年間は開発チームからは退職者が一人もいませんでした。新卒もこれまで29人採用してきていますが、そのうち退職したのが3人です。

――たしかに、新卒の離職率が1割というのは少ないですね。何か秘訣はありますか?

あんまり意識していないのですが、ひとつには会社の進みたい方向と、やりたいことが合致している人を採用するようにしています。「鷹の雛を育てるような感じ」というか……。少数精鋭で採用して、じっくり育て上げる感じです。セクションリーダークラスも、わりとよく現場のスタッフを気にかけていて、みんなで育てているところがあります。

――それはつまり、岳さんがそういった会社にしたいという思いが、自然と伝わっているということですね。

多分そうなんでしょうね。アルバイトの採用広告の説明書きなども、自分が直接書いているんですよ。面接では新卒採用と同じくらい労力をさいて、じっくり見極めます。今も毎週3-4名は常時面接をしています。

――中途採用についてはどうでしょうか。一般的に中途採用は即戦力を期待して、必要な人材をピンポイントで採るのが良いとされていますが……。

弊社は逆で、何か戦略があって、そこに不足している人材を補充するよりも、才能や実力がある人が入ってきたら、その人たちのリソースにあわせて、何か新しい企画を立てていきたいと思っています。今回の募集も「RPG」の開発がキッカケであるのは事実ですが、それだけに留まらないというか……。

――それは結果的に、その方が上手くいく可能性が高い、ということでしょうか?

そうですね。物事のスピードが早いですし、おもしろいチャレンジができるような気がします。

――社長自らがイベントを主催されるとのことですが、他に社内勉強会などは行われていますか?

プログラマーを中心に社外のカンファレンスやイベントなどの報告会が開催されています。企画やデザイナーでは、まだこれからですね。

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■環境はインハウス、開発効率はツールを積極的に活用



――話を採用に戻します。「RPG」について、まだあまり内容は明かせないとのことでしたが、どんな人に応募してもらいたいですか?

大前提としてゲームが好きな人、最近のRPGをよく遊んでいて、そのうえでRPGを作りたい人ですね。ゲームをプレイヤーとして楽しんでいるかは弊社の採用基準の一つでもあります。いわば平日に仕事でゲームを作って、休日に趣味でゲームを作っているような人が良いですね。

――職種的にはどうですか?

全職種の募集となりますが、特に企画とデザイナー(アーティスト)は積極的に募集しています。実は弊社は企画が少ないんですよ。全社員のうち半分がプログラマーで、残りの2/3がデザイナー、残りが企画という感じです。一つには自分が企画職出身ということで、自然と企画の採用に厳しくなっているところがあるかもしれません。助けてください。

――なるほど。

またうちは企画がプロジェクトの進行管理を任されていて、プロジェクト管理ソフトウェアのRedmineを使ってタスク管理をしています。普通、PMはリードプログラマーが担当すると思うんですよ。でも、弊社では企画がプログラマーと話し合ってタスクを決めて、チケットを切ります。

――良く使われているツールはありますか?

デザイナーでいえばMayaですね。他のツールは必要に応じて使ったり、使わなかったりです。逆に商用ゲームエンジンやミドルウェアなどは、あまり使っていません。決して否定的というわけではなくて、みんな試用版を試していくんですが、社内で話し合った上でプログラマー連中がインハウスで作り出すんですよ。実際、弊社では自社製ゲームエンジンやフレームワークを使用することが多くて、これは受託系の仕事でも同じです。



――ゲームエンジン全盛のなか、かなり珍しいやり方ですね。

もちろんインハウスで作ると商用版より汎用的な機能は劣りますが、そのぶん自社タイトルに最適化できる強みがあります。なにより企画がゲームのおもしろさの部分をしっかり握れるのが大きいですね。また、受託系の仕事だとクライアントの仕様にあわせることが多くて、弊社でもそういった案件もありますが、半分くらいはフレームワークの部分を担当させていただくことが多いんですよ。というより、そういった案件になるとお声がかかるというか……。

――なるほど、技術力の高さを買われてということですね。他に特徴はありますか?

できるだけ手戻りが少ないようにしています。Redmineの活用もその一つで、土台の部分は自分たちで作りますが、開発効率を上げるレイヤーでは、さまざまなツールを率先して使っています。ソースコード解析を分散処理するIncrediBuild、静的解析ツールのコベリティ、継続的インテグレーションツールのJenkins、社内向けwikiシステムのConfluence、データ解析のIBM SPSS Modelerなどです。ソフトウェアの年間保守料だけで年間、何百万円もかっているのではないでしょうか。

――開発環境の構築や、開発支援を専任で担当するエンジニアはいますか? 多くの企業ではリードプログラマーが兼任しているのが現状です。

はい、いますね。ゲームプログラマーからサーバインフラ担当を経て、今はワークフロー全体を専任で行っているエンジニアがいます。

――それは先進的ですね。

まとめると、バイナリー(ゲームプログラム)の部分は自分たちで作るかわりに、開発環境の部分ではどんどん、商用ツールやミドルウェアを活用するという感じでしょうか。

――なるほど、いろいろな意味で他社と違う、トイロジックならではの特色が有りそうですね。では最後に、この記事を読んで求人に興味を持った方に、メッセージをお願いします。

今回、新規タイトルの立ち上げをきっかけに人材募集を行ったわけですが、弊社自体もまだまだ9期目で、成長過程にあります。自分自身と会社の成長を重ね合わせていけるような人に来て欲しいですね。また最近、実はゲーム作りが楽しめない、楽しく仕事ができていない、そんな人が業界で多いんじゃないかと思うんです。弊社ならゲーム作りが楽しめます。モノ作り、ゲーム作りがしたい人がいたら、ぜひ応募してください。

――ありがとうございました。

《GameBusiness.jp》

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