記野直子の「北米ゲーム市場分析」2015年1月号―もうハイブリッドはいらない 今こそ新規IP投入を! | GameBusiness.jp

記野直子の「北米ゲーム市場分析」2015年1月号―もうハイブリッドはいらない 今こそ新規IP投入を!

こんにちは。速報が出てからこのレポートを書くのが遅れてしまいました。ごめんなさい。年末商戦が終わり「夢の後」の2015年北米市場1か月目の結果を見てみましょう!驚異的な売上を達成した年末商戦の結果を受けた市場ですが、北米市場における1月と2月はひっそりとし

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こんにちは。速報が出てからこのレポートを書くのが遅れてしまいました。ごめんなさい。年末商戦が終わり「夢の後」の2015年北米市場1か月目の結果を見てみましょう!驚異的な売上を達成した年末商戦の結果を受けた市場ですが、北米市場における1月と2月はひっそりとし
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こんにちは。速報が出てからこのレポートを書くのが遅れてしまいました。ごめんなさい。年末商戦が終わり「夢の後」の2015年北米市場1か月目の結果を見てみましょう!驚異的な売上を達成した年末商戦の結果を受けた市場ですが、北米市場における1月と2月はひっそりとしていますね。

■市場全体動向

1月の北米の市場規模総額は前年比5%ダウンの6億2,570万ドル。昨年末12月の市場規模からは6分の1程度に一気に冷えたことがわかります。

ハードウェア売上を見ると対前年比23%ダウンの1億8,550万ドル。ただし、このダウンの大きな要素は旧世代機(PS3/Xbox 360)の売上の落ち込みのようです。現世代機は昨年よりも売上台数も価格も減少しているものの、販売台数の積上げは相変わらず過去のどのハードよりも順調のようです。

また、ソフトウェアに関してですが、デジタルダウンロードを含めないパッケージのみのデータにも関わらず前年比5%増を記録。やはり旧世代機向けのソフトの落ち込みが大きく、現世代向けだけにフォーカスすれば前年比74%アップとのこと。

現世代ハードがきちんと行きわたり、そのハード向けにソフトラインナップが揃ったところで、北米はこれからソフトが多種発売され、それらがたくさん売れるステージに入ったと言えましょう。

■ハード動向: 現世代ハードのマーケット確立!

PS4が首位に返り咲きました。Xbox One の首位は2カ月続きましたが、1月に一旦値段が戻ったのが響いたのでしょうか?(1月4日〜15日の間399ドルに戻っていました。)ただ、月ごとに順位を言うのもどうでもいいくらい12月の売上台数と比べると桁違いに少ない台数なので、これでどちらのハードが勝ち負けというのは間違っています。

実際に北米ではXbox Oneの年末の怒涛の追い上げのためPS4との差が縮まり、いい感じで2強体制を作っています。両プラットフォームを合わせれば1,300万台を超える市場となっており、ソフトメーカーとしては十分にソフトを供給していける地場が形成されたと言えましょう。

ソフトのところでも述べますが、もはやハイブリッド(旧世代機と現世代機の両方向けにソフトを供給すること)によるリスクヘッジは必要としない市場形成が北米市場において史上最速で行われたようです。

Wii Uは『大乱闘スマッシュブラザーズ』を始めとするハイクオリティの自社タイトルに支えられ、堅実な伸びを示しているようです。記録的なPS4、Xbox Oneに比べると伸びは鈍いものの、サードパーティのタイトルが頼みになっているソニー、マイクロソフトに比べると、任天堂はハードメーカーとしてというよりもソフトメーカーとしてゲームに向き合っている姿が見受けられます。


現行のハードウェアで一番大きなインストールベースを達成しているのは実は任天堂の3DS(2DSも含む)です。北米市場のみで5,000万台を超える総販売数をカウントしたNDSには及ばないものの、1,500万台を目指して着実に販売台数を伸ばしています。

それに比べてPS Vitaはやっと200万台を超えたところです。日本では評価されているハードですが、なぜ北米ではイマイチなのかとパブリッシャーに聞いてみると、キラーソフト不足との回答が返ってきました。北米の大きなパブリッシャーがPS Vitaに向けてタイトルを作ってくれない、いや、ハードが出回っていないので作らない鶏と卵の関係がぐるぐる回っている感じです。

PS Vitaがインディーズを盛り上げる方向性を図っているので、これからが楽しみです。大きなパブリッシャーだけが残り、その他はモバイルに移行するなどということになると、ゲーム専用ハードはニッチな機会になってしまいます。多種多様なソフトの出現はハードの存在意義を高めることになることは間違いないのですから。

■ソフト動向: 『Dying Light』が教えてくれたこと

2015年1月度のソフトウェアランキングです。

1. Dying Light (PS4/X1/PC) - Warner Bros. Interactive
2. Call of Duty: Advanced Warfare (PS3/PS4/X360/X1/PC) - Activision Blizzard
3. Grand Theft Auto V (PS3/PS4/X360/X1) - Take 2/Rockstar
4. Minecraft (PS3/PS4/X360/X1) - Microsoft/SCE
5. NBA 2K15 (PS3/PS4/X360/X1/PC) - Take 2/2K Games
6. Super Smash Bros. (Wii U/3DS) - Nintendo
7. Far Cry 4 (PS3/PS4/X360/X1/PC) - Ubisoft
8. Madden NFL 15 (PS3/PS4/X360/X1) - Electronic Arts
9. Destiny (PS3/PS4/X360/X1) - Activision Blizzard
10. FIFA 15 (PS3/PS4/360/X1/Wii U/3DS/PSV) - Electronic Arts

1月にランキングされているタイトルは1位の『Dying Light』以外12月のとほぼ変わりません。1月の余韻を引っ張った形の市場ですが、『Dying Light』がダントツの1位でした。

NPDアナリストのコメントでは、『Dying Light』はサバイバルホラージャンルの新規IPにおいて、2014年10月に発売された 『The Evil Within(邦題: サイコブレイク)』を抜いて新記録となる初月売上を達成したとのこと。1月27日という1月ギリギリに発売されたにもかかわらず、この結果を考えると人気の高さを物語っています。

1月にこのようなAAA(トリプルエー)タイトルを発売することは珍しいのですが、逆手に取れば1月に発売される競合がなく、シリーズものに埋もれる可能性が少ないため、あえて大きなタイトルをぶつけてくるという戦略もあります。全体のパイが小さい月なので同タイトルのパブリッシャーであるワーナーもかなり大きな賭けに出たものと思われます。


ここで『Dying Light』が証明したことがもう一つ。実はこの『Dying Light』、旧世代機向けも準備していましたが、開発後期に旧世代機向けをキャンセルして現世代機(PS4/Xbox One)に集中すると発表し、2015年1月の発売はPCと現世代機向けのみとなりました。

これは現世代機が出回っていない日本市場においてはメーカー泣かせの動きですが、北米市場においては間違いなく旧世代とのハイブリッド対応から現世代機専用への移行のタイミングが来たということでしょう。

■いよいよ2015年が始まった!

新年度が始まり次の年末商戦に向けての戦略をハードメーカー、ソフトメーカーが開始し始めています。3月2日からサンフランシスコGDCを皮切りに業界としての動きも始まります。

同じく3月にボストンで開かれるPAX East、6月のロサンゼルスでのE3、8月のドイツケルンで行われるgamescomもそうですが、ComiConなどなどゲーム業界に関連したイベントはたくさん行われます。今年こそ日本のプレゼンスを見たいところです。

私の海外出張もサンフランシスコGDCから始まりますが、来月はきっとサンフランシスコまたはLAから原稿を書くことになるでしょう。何かおもしろい情報があればレポートしたいと思います。

『Dying Light』もそうですが、新ハードに向けて思いっきり新規IPをぶつけてくるアメリカのパブリッシャーの力を思い知りました。この「力」は財力の意味でも、マーケティングの意味でも、そしてリスクヘッジできる社内機能という意味でもあります。

既に有名なタイトルの続編ではなく新規IPというだけで、認知度という意味でかなり努力が必要になります。ましてや、新ハード向けという意味ではインストールベースも前ハードよりも行きわたっていない段階でのリスクがあるのです。

しかし、作らなければ次の展開は見られないし、作ればリスクが伴う。しかし、ハード切替時はユーザーが新しいモノを待っている時なので、「新規IP」には的確なタイミングと言われて久しく、まだまだソフトラインナップとして数が少ないので、チャンスなのです。

ハードの円熟期になると、メーカーさんたちも開発にこなれてきてクオリティハードルも上がります。また、ユーザーが選択できるタイトル数が多くなるため、このタイミングで新規IPを出すと莫大なマーケティング費用が必要になる、つまりリスクはさらに大きくなるのです。では、日本のメーカーはいつ作るのでしょうか?

今のところ、日本のメーカーが新ハード専用に思い切って新規IPをぶつけてくる予感がしないところがちょっぴり悲しかったりもします。私が知らないだけだといいのですが。

それでは、また来月!

■著者紹介: 記野直子

カイオス株式会社 代表取締役。青山学院大学文学部卒業。日産自動車株式会社を経て、ゲーム好きが高じゲーム業界へ転身。コナミ株式会社、株式会社バンダイ、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントにてゲームソフトの海外展開、ゲームソフト発キャラクター展開などに従事。2007年よりカイオス株式会社代表。
《記野直子》

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