いまゲーム業界で求められる人材とは?・・・テクノブレーンに聞く「できるエンジニア」の転職条件 | GameBusiness.jp

いまゲーム業界で求められる人材とは?・・・テクノブレーンに聞く「できるエンジニア」の転職条件

コンソールゲーム、ソーシャルゲーム、そしてIT&ウェブ業界。もともとゲーム業界は人材の流動性が高い業界でしたが、「ゲーム」の領域拡大と共に異業種間の人材移動が、より顕著になってきています。そこで近年、ますます存在感を高めているのがキャリアコンサルタント

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コンソールゲーム、ソーシャルゲーム、そしてIT&ウェブ業界。もともとゲーム業界は人材の流動性が高い業界でしたが、「ゲーム」の領域拡大と共に異業種間の人材移動が、より顕著になってきています。そこで近年、ますます存在感を高めているのがキャリアコンサルタント
  • コンソールゲーム、ソーシャルゲーム、そしてIT&ウェブ業界。もともとゲーム業界は人材の流動性が高い業界でしたが、「ゲーム」の領域拡大と共に異業種間の人材移動が、より顕著になってきています。そこで近年、ますます存在感を高めているのがキャリアコンサルタント
コンソールゲーム、ソーシャルゲーム、そしてIT&ウェブ業界。もともとゲーム業界は人材の流動性が高い業界でしたが、「ゲーム」の領域拡大と共に異業種間の人材移動が、より顕著になってきています。そこで近年、ますます存在感を高めているのがキャリアコンサルタント。ゲーム市場で求められるエンジニア像について、テクノブレーンの碣石浩二氏に話を伺いました。

―――今日はよろしくお願いします。はじめに自己紹介をお願いします。

碣石:テクノブレーンの碣石です。弊社はエンジニアやクリエイターを専門に転職支援サービスを展開しており、私はゲーム業界を専門に10年くらいキャリアコンサルタントをしています。人に会って話を聞くのが自分の仕事のようなもので、だいたい年間で400人くらいの方に会いますね。週末もアポイントメントで埋まっています。

―――1日1人以上!

碣石:もっとも、ほとんどの方は積極的に転職を考えられているわけではありません。いわば転職「予備軍」です。そういった方々と世間話をしたり、日常的に情報交換をしています。長い方だと8年くらい、おつきあいをしている方もいますよ。自分がキャリアについて考えるキッカケをご提供できれば嬉しいですね。

―――最近のゲーム業界の転職状況はいかがですか?

碣石:ここ数年ずっと活況が続いていますが、この1年で質が違ってきました。背景にあるのがソーシャルゲームのネイティブアプリへの移行です。ブラウザアプリ全盛の頃はソーシャルゲームとコンソールゲームで溝がありましたが、ネイティブアプリ化でどんどん溝が埋まってきています。ソーシャルゲーム企業は本格的なゲームを作れるエンジニアをコンソールゲーム出身者に求めていますし、コンソールゲーム企業もF2Pタイトルが増えているため、運用面のノウハウをソーシャルゲーム出身者に求めるようになっています。

―――以前と比べてソーシャルゲーム企業の求人が減っているような印象があります。

碣石:求人数自体は変わらないですよ。むしろ、より積極的になっているくらいです。ただし、以前と比べて採用の基準が厳しくなってきました。特に年収や待遇面に加えて、企業戦略を踏まえた上での人材採用や、企業文化との適正について、より重視するようになってきています。数年前は「慢性的に人手不足だから、ぜひ来て欲しい」という求人が多かったのですが、だんだんと自社の中で不足している部分が明確になってきて、それをどのように補填するか、企業側も明確になってきたのです。

―――ネイティブアプリ化で開発規模も大きくなってきています。

碣石:そうです。特にサーバサイドの技術は持っているが、クライアントサイドの技術が不足している企業が多いようです。特にクライアント側のリードエンジニアや、リードアーティストといったように、ゲーム開発の中核を担える人の需要が増加しています。以前は小規模のウェブアプリをスピード感をもって開発するために、現場でバリバリ働ける人が求められる傾向にありました。この違いが年々顕著になっています。

―――ソーシャルゲーム企業の転職希望者は、何を求めているのでしょうか?

碣石:「多くの人に愛されるプロダクトやサービスを作りたい人」「これまで続編ばかり作っていて、オリジナルのゲームが作りたかったり、何か新しい仕掛けのゲームにチャレンジしたい人」「新しい技術を身につけたい人」・・・などが多いでしょうか。根底にあるのは「おもしろいゲームを作りたい」という思いですね。年齢層では20代後半から35歳までがボリュームゾーンです。プロデューサーやアートディレクターなどであれば、30代後半から40代での転職といった例もあります。

―――逆にソーシャルゲームからコンソールゲーム企業に転職する人は、どういった方がいますか?

碣石:自分がお会いする限りでは、エンジニアよりも企画系の人が多いですね。サービス型のゲームが増えているので、そこで経験者の知恵を借りたいという企業が多いです。

―――最近ではソーシャルゲーム企業からIT・ウェブ系企業への転職も耳にします。

碣石:アドテクノロジーやビッグデータ系の企業などですね。こういった企業ではソーシャルゲーム企業よりも、より最先端のサーバエンジニアリング技術が求められるため、技術志向のエンジニアには魅力的なようです。

―――さまざまなエンジニアがいて、さまざまな転職理由があるというわけですね。

碣石:その通りです。作ったモノを広く使われたい人、技術を追い求めたい人、プロダクトを作りたい人、環境整備を極めたい人、本当にいろいろです。大切なことは自分を客観的に知ることです。

―――転職という面から、ソーシャルゲームとコンソールゲームの違いをどのように見ますか?

碣石:ソーシャルゲームは母体がIT・ウェブ系の企業が多いため、オープンソースの技術採用例が多く、エンジニア同士も横の繋がりが強いように思います。異業種の良いところを積極的に取り入れて、良い物を作りたいという文化を感じるのです。そのためエンジニアもキャリアプランを考える上で、より広い視野を持つ人が多い印象があります。一方でコンソールゲームは独自技術が多いため、あまり横のつながりが少なく、自分たちの見聞きした範囲内でキャリアを考えているエンジニアが多いように思います。両者がうまくコラボレーションすれば、もっとユーザーにとって魅力的なコンテンツが生まれるのではないでしょうか。

―――なるほど。

碣石:きれい事に聞こえるかもしれませんが、転職を勧めている訳ではありません。しかし、転職活動は勧めています。世の中の情報を単に収集するだけではなく、自分の考えをもって収集し、それによってホントの自分について考えることを、一人でも多くの人にオススメしたいのです。もっとも、人は何かキッカケがないと、自分のことは考えないですよね。私だって5年後に何をしたいかと言われれば、まったくノープランです。そのためのキッカケを提供したいのです。

―――この5年間の変化を振り返ると、目が回りそうです。

碣石:これからも変化は続いていきます。それなのに、自分だけ立ち止まったままでは、周囲から取り残されてしまいますよね。特に若い人には、自分のことを客観的に知ってもらいたいと思います。ずっと同じ環境にいると、「できる自分」に酔ってしまうこともあるのです。また、人は他人と話をするうちに、新しい可能性について気がつくこともあります。それらを指摘するのも自分たちの仕事だと思いますし、いろいろ視野を広げてもらえれば嬉しいですね。

―――転職がすぐ決まるタイプというのは、どういった方ですか?

碣石:自己分析ができる人。第三者からの意見であっても良いと思えば取り入れて、自分を変えていける柔軟性を持っている人。それから、これは本当に少ないのですが、自分がこうしたいという考えを持っていて、そのために何をしたら良いか分かっている人です。転職ありきではなくて、自分がやりたいことに対して、今はこんなスキルが不足していて、そのための手段として転職も視野に入れて考えられる人だと、決まりやすいですね。

―――逆に転職が上手くいかない人はどうでしょうか?

碣石:これは簡単で、他人任せの人です。自分自身を振り返ること無しに、「どんな求人がありますか」と聞いてしまうような人ですね。また、夢だけを見ている人もダメです。夢と現実の両方が大切です。

―――企業の側も意識変革が求められそうです。

碣石:求人側の企業には、いつも「採用者と被採用者のような上下関係はよくない」と言っています。そういった採用スタイルだと、応募者の側も自分を「作って」面接などに臨んでしまうのです。その結果、入ってからお互いに「こんなはずじゃなかった」と不幸になることがよくあります。そうではくて、お互いが対等な立場に立って、フランクに話をしてもらえるように心がけています。

―――なんだか板挟みに遭いそうな気も・・・

碣石:だからこそ、やりがいがあるとも言えます。大前提として転職活動は「転職する」「転職しない」の二者択一ですから、転職支援サービス側としても、「とりあえず転職させてしまえば良い」という意識になりがちなのです。だから、うまく転職が決まらなければ、ストレスに感じてしまいます。私たちはそうではなくて、日常的なコミュニケーションをとりながら、結果的にその人が自分のキャリアを考えるきっかけになって、採用が決まれば良いくらいに考えていますから、そんなにストレスを感じることはないですね。

―――なるほど。

碣石:企業・転職希望者・私たちで、ゴールを共有化することが大切です。企業はこんな人材を求めていて、こんな社風である。転職希望者はこういったキャリアプランを考えていて、そのために働ける環境を求めている。その両者をきちんと理解していて、私たちが橋渡しをして上げるという感じです。そのためには人事担当者だけでなく、経営者にお会いすることもあります。

―――よく耳にするのが「いい人がいれば、何人でも採用したい」という話です。

碣石:その通りだと思いますが、常にタイミング良く優秀な人材がいるわけではありません。そのため、企業の側にとっても、中長期的な視野で人材登用を考えられるかが重要です。あるタイミングで採用が決まらなくても、1-2年後に良いご縁に結びつくこともあります。そのためには、企業側も「良いこと、悪いこと」包み隠さず話してもらうことが大事です。ハイクラスな人材を求めるのであれば、特に重要です。

―――「出戻り社員」については、どのように捉えますか?

碣石:その人にとってみれば、違う文化を体験した上で、元にいた会社に帰ってくるわけですよね。キャリアプラン的にいえば無駄ではあるのですが、自分はそれでも良いと思っています。また「出戻り歓迎」の企業の方が個人的には好きですね。ノーサンキューという会社もありますが、勿体ない気がしますね。

―――最後に転職を考えている人にメッセージをお願いします。

碣石:まず自分がどんなタイプなのかを知ること。その上で次のステップに行くには何が必要なのか考えることです。そのためには半強制的に外部と接点を持つことが求められます。そのためには相手に質問するだけでなく、自分のことも話す必要があります。ゲーム業界に限らず、求められる技術レベルは年々高度になっていきます。汎用的な技術に立脚しつつも、自分ならではの強みを作って、ブランディングしていってください。

―――ありがとうございました。

ゲーム業界への転職・就職に興味のある方はこちらから。

碣石浩二(タテイシコウジ)
テクノブレーン株式会社  スカウト部門 マネージャー

テクノブレーンにてエンジニア・クリエーター専門のスカウトエージェントとして勤務。その経験から多くのエンジニア・クリエーターとの人脈を持つ。単に求人の紹介ではなく、エンジニア・クリエーターの成長やスキルアップに関心が強く、中長期な視点から今後のキャリア市場を捉える考えを持つ。
《小野憲史》

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