【GDC 2013 Vol.83】バーチャル開発を駆使して全てをシンプルに・・・iPhoneアプリの人気ディベロッパーが明かす開発スタイル | GameBusiness.jp

【GDC 2013 Vol.83】バーチャル開発を駆使して全てをシンプルに・・・iPhoneアプリの人気ディベロッパーが明かす開発スタイル

今日のインディゲームブームの火付け役となった、2008年のApp Store。では、当時華々しくデビューしたスタジオは、どのように成長していったのでしょうか。

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今日のインディゲームブームの火付け役となった、2008年のApp Store。では、当時華々しくデビューしたスタジオは、どのように成長していったのでしょうか。
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GDC最終日に行われたランディ・スミス氏の講演「Case Study of a Microstudio Startup: The Next Three Years」は、2009年に起業した同社の成長が具体的な数字と共に共有された、インディにとって得がたいセッションとなりました。

ランディ・スミス氏は『シーフ』シリーズの開発に携わった後に、EAでスティーブン・スピルバーグ監督とのコラボタイトル『LMNO』に参加しますが、同作は残念ながら中断。その一方でApp Storeの快進撃を目の当たりにし、2009年に起業を決意しました。

一日でも早く、できるだけシンプルな起業をめざしたスミス氏は、地元のバーモント州でLLC(有限責任会社)により、一人で起業することを決意します。その一方で特定の事務所を置かずに、インターネット上で開発を進めるバーチャルオフィス形式を採用。全米の知人に勧誘のメールを書きまくりました。もっとも当初は給料など支払えず、レベニューシェアによる報酬を約束したそうです。同じ頃、後に共同経営者となるデイビッド・カリーナ氏と出会い、二人三脚によるゲーム作り&会社経営がスタートしました。

その後、約8ヶ月で完成したのが、クモになって部屋中に巣をかけ、虫を補食するアクションゲーム『Spider: The Secret of Bryce Manor』です。iOSアプリでリリースされると、その高いアクション性と奥深い内容で大ヒット。3ヶ月で25万ドルをたたき出し、ようやく会社としての体裁を整えることができました。同作は開発に1.3年月が費やされ、メタクリティックで93点のハイスコアを記録。現在までに58万ドルの収益を上げています。iPad版は2人月で開発され、15万ドルの収益を記録しました。

また第二弾アプリで、未来の火星を探索するアクションゲーム『Warking Mars』は3.5年月かけて開発され、こちらも39万ドルを数える大ヒットを記録しました。その後、両アプリはAndroid、Steamなどにも移植され、iOS以外でも14万ドルの収益を達成しました。

このようにApp Storeの初期参入組として、順調な成長を続けてきた同社。もっとも、成功によって会社も新たなステージに入らざるを得なかったとスミス氏は語ります。ポイントとなったのが収益の配分です。

当初から「成功もリスクも全員で分け合う」スタイルを掲げていたスミス氏は、『Spider』の収益を作業時間の比率に応じて、すべて分配してしまいます。最終的な分配比率は開発の中核を担ったプログラマーが43%、ゲームデザイナーが35%、リードアーティストが15%、他のメンバーが5%ずつでした。しかし、これにはメンバー間の技量が考慮されていないなど、問題がありました。またアプリの売り上げの大半がセールス直後に集中するため、安定した報酬が支払えない問題もありました。

そこで『Warking Mars』では、従来の時間ベースでの報酬を40%、能力に応じたボーナス配分を30%、そして会社の取り分を30%とするように変更されました。新しく会社のプール分が設定されたのは、スタッフのセーフティネットや将来への投資に供えるためです。また会社の取り分はスミス氏とカリーナ氏の個人口座に分配してプールされました。

さて、会社が成長軌道に乗ると、また新しい問題が発生してきました。弁護士です。訴訟社会のアメリカでは契約に伴い弁護士を立てるのが一般的です。スミス氏は「自分は弁護士ではないので、法律に関する助言はできない」としつつも、自分たちのような零細企業とって何が真のリスクなのか、きちんと見極めることが重要だと指摘。弁護士は重要だが、自分自身が契約の最前線に立つことで、できるだけ金額を安く設定していると説明されました。

また会社の定款を書き換えてカリーナ氏を正式に共同経営者に迎え、新たに法人口座を立てて資金を整理したのも、この頃でした。法人と個人の資金も明確に区別。App Storeをはじめとした、各種マーケットにおけるロイヤリティの計算と支払いなども、Excelのシートでコツコツと環境が整備されました。作業の合間にこうした細々とした対応を進めた結果、体制を整えるのに数ヶ月にも及んだと言います。

他に満を持して宣伝担当の社員も雇用し、Facebookページを新たに作るなど、マーケティング活動にも乗り出しました。会社の規模が大きくなるにつれて、とても自分たちでは手が回らなくなったのです。それでも細々とした雑用に時間が取られてしまい、ゲーム開発に当てられる時間は約20%しかないのだとか。もっと開発に集中したいという願いも聞かれました。

最後にスミス氏は「スタッフを信頼して業務を進め、公正で高品質な作業を行う」「できるだけシンプルさを保つ」「業務改善&構築は本当に必要になった時に行うようにする」という三項目を挙げて講演をまとめました。ちなみに同社は今でもバーチャル開発のスタイルを継続しており、全米とモントリオールを含む16-7人程度が常時開発に係わっているといいます。こうした開発スタイルは今後も増加していくのではないでしょうか。
《小野憲史》

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