課金のきっかけの違い 時間への対価、仲間と楽しむ対価・・・「世界を面白くするGamification」第24回 | GameBusiness.jp

課金のきっかけの違い 時間への対価、仲間と楽しむ対価・・・「世界を面白くするGamification」第24回

以前、 釣りスタ や 怪ロワ の課金の仕組みについて考察したことがあった。この2つのゲームにおける課金のきっかけは、時間を短縮する効用をお金を払って買う、ということが主軸になっている。釣りスタのサオ、エサ/ルアー、シカケ/リール、怪ロワの武器・防具・乗り物

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以前、釣りスタ怪ロワの課金の仕組みについて考察したことがあった。この2つのゲームにおける課金のきっかけは、時間を短縮する効用をお金を払って買う、ということが主軸になっている。釣りスタのサオ、エサ/ルアー、シカケ/リール、怪ロワの武器・防具・乗り物やワナ・回復キットなどはいずれも基本的には時間短縮効果を求めての有料アイテムである。その効果をどのようなタイミングで求めるかと言えば、

  • イベントなど期限が決まっており時間限定性が高まる時

  • チームプレイをしていて仲間に迷惑かけたくない(仲間と勝ちたい)と思う時

  • 今買っておかないと今までの苦労が水の泡になると思う時


など心理的に高ぶった状態となった場合や、あるいは冷静な場合だと

  • 今まで繰り返してきたゲームプレイにおいて、○時間かかっていたことが有料アイテムを買うことで一瞬で終わる


ことが掴めた場合だと言える。ただ、1つ目と3つ目の状態は、結局は「○時間かかっていたことが一瞬で終わる」事に対して課金していることにはあまり変わりはない。期間が限定されている場合は、その期間内に一定に到達することでのみ特別の称号がもらえたり、強力なアイテムがもらえるので心理的に揺さぶられるのである。普段からゲームを遊んでいるプレイヤーからすれば、イベントは定期的に開催されているので冷静に考えれば何もそのイベントでなくても同様の報酬を獲得できるチャンスはある。無課金で報酬を得られるまで頑張るという選択もあり得るのである。ただ、そこに至るまでに必要な努力・かかる時間あるいは次に運が向くかどうかわからないということから、時間が区切られているのであればここで買ってしまおうという心理に傾く。

怪ロワはイベントでなくても「お宝を他のプレイヤーから奪われる」という要素を入れることでこのような期間限定性、今しかコンプするチャンスがない、という状態を自然に作り上げることが出来ている。

時間短縮効果を有料の対価を払って得ようと思うプレイヤーはどのようなプレイヤーだろうか。まず、前提として「このチャンスはどのくらいレアなものであるのか」が感覚的にわかるくらいにはやり込んでいなければならない。このアイテムを得る、コンプする、ためにはどのくらいのプレイ時間を消費しなければならないのか。1日自分はどのくらいプレイしているから、そのチャンスが来るのか1週間に1回なのか、1カ月に1回なのか。定期的なイベントなら次のチャンスが来るのは来月なのか、2週間後なのか。そういったことがわかって初めて時間に対する対価として「この有料アイテムの価格」が比較できることになる。

私の個人的な体験を思い出すと、「このままだと2週間かかることがこの300円の有料アイテムを買うとすぐに達成できる・・・!」ということを感じたことがあった。実際は、「達成できる可能性が高まる」だけであって、必ず達成できるわけではない。しかし心理的にはそのようなものだったのを覚えている。2週間で300円、と考えるとそれほど高くなく感じられる。せいぜいスタバのコーヒー一杯だ。そう考えるとこの買い物は合理的であると説明がつく。

期間を限定されたり、人数を限定されたりすることで心理的に揺さぶられると、この感覚が少し変わる。つまり2週間で300円だったのが、2週間で1000円でもいいか、となる。あるいは3日で300円でもいいか、となる。時間に対しての価格が上がるのである。こうしたことからイベントをすることで課金者が増えることや1課金当たりの単価が上がることは理解できる。

チームプレイの場合は、チームメンバーの存在が心理的な揺さぶりを大きくする。自分だけで遊んでいるのであれば課金をせずに次のチャンスまで我慢するという選択は自分の自由だが、チームメンバーがいる場合は必ずしもそうはいかない。チームとしてそのチャンスを活かせる機会はそう来ないかもしれないのである。同じ時間短縮効果を買う、といってもどのタイミングでそれを買う気になるのかという観点は一人プレイの時とは異なっている。

この場合は、前述のような時間に対しての価格という観点で有料アイテムを買うわけではない。チームに対しての帰属にどのくらいの価値を見出すのかということになってくる。友達と飲みに行っても一回数千円のお金は使うことになる。飲みに行く代わりに映画でも、運動をしても、やはり数千円程度は使うことになるだろう。こうした価格と比較をしてどうか、という観点で価値判断がされることになる。

これらの課金のきっかけは個人的にも納得がいくのだが、私個人の感覚的に理解しづらい理由で課金がなされる場合がある。本当はそこを書きたかったのだが思ったより長くなったので続きは次回・・・。

■著者紹介

深田浩嗣(ふかだこうじ)
株式会社ゆめみ(代表取締役 社長)。1976年京都生まれ。京都大学大学院情報学研究科在学中2000年1月に株式会社ゆめみを設立。高い技術力を駆使し、モバイルEC、メール配信、大規模CRMの開発やソーシャルゲームプロバイダなど「モバイルを戦略的に使うためのコンシェルジュ」として、モバイルインターネットサービスの企画・開発・運営を手がける。ゲーミフィケーションの詳細はコチラ公式ブログほか、Twitterはコチラ。facebookはコチラです。
《深田浩嗣》

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