良いローカライズとは・・・イバイ・アメストイ「ゲームウォーズ 海外VS日本」第2回 | GameBusiness.jp

良いローカライズとは・・・イバイ・アメストイ「ゲームウォーズ 海外VS日本」第2回

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本原稿は、ローカライズで数多くの実績のあるアクティブ・ゲーミング・メディアのイバイ・アメストイ氏による寄稿です。

日本のゲーム市場が縮小している中「海外のゲーム市場にて展開したい」と願うパブリッシャーが圧倒的に増えつつあります。単にクリエーターとして、できるだけ多くのユーザーに自分の作品を知ってもらいたいとの発想もあるでしょうが、海外展開を行う際の主な目標は売り上げを延ばすことです。

但し、我々外国人にとって日本のゲームは「外国のゲーム」である為、欧州や北米で開発されたゲームを購入せず、遠く離れた日本で開発されたゲームを購入するのには特別な理由があります。『FINAL FANTASY』 や『RESIDENT EVIL』(バイオハザード)のように人気の高いゲームなら誰でも手を伸ばしますが、あまり知られていないパブリッシャーのゲームを手に取ると「あ、日本で開発されたゲームは外国のゲームだからバグだらけだろうな…」と思い、そのまま棚に戻してしまうことが少なくありません。それならば、少なくともバグの無いゲームにお金を賭けた方が賢明だと。

でしたら、ローカライズを行い、海外での激しい競争に生き残る為にはどうすれば良いでしょうか?それは、良いローカライズを行うことです。しかし良いローカライズ、レベルの高いローカライズとはどう言ったものでしょうか?簡潔に説明すると:

プレイされる時、ユーザーに「このゲームは海外製品である。」と思わせないような自然な内容を作ることです。プレイして違和感が全く無ければ、それは良いローカライズです。「これ…ワサビ臭いな」と思われたら悪いローカライズです。

基本的に映画に挿入される字幕や吹き替えと同じです。吹き替えの音声と画面の主人公の唇の動きがあっていると、やはり見ていて違和感が無いですよね。ゲームでも同じです。

では、円滑なローカライズとは、どのように行われるのでしょうか?基本的にローカライズを専門的に行う企業や、直接ローカライズに関わるパブリッシャーは以下の3つの事項に注意します。

1. ゲームのローカライズに関わるスタッフは、ゲームの翻訳を開始する前に、オリジナルバージョンを終了までプレイし、ファミリアライズ(Familiarization)を行わなければならない。

2. ゲームを専門的に翻訳する才能を持った翻訳者にローカライズを依頼しないといけません。ゲーム開発側にとって、翻訳者は単なる「言語を訳す人」として捉えられがちですが、ゲームをローカライズする翻訳者は、脚本家以上に大切な存在であると言っても過言ではありません。映画字幕の世界で戸田奈津子先生が非常に有名であるように、ローカライズ業界でも人気の翻訳者がいます。『デモンズソウル』や『王様物語』のようにオリジナルよりローカライズバージョンの方が面白いと判断されるゲームがあるくらいですから、そのような翻訳者に出会えれば高評価を受けるローカライズバージョンが出来上がる割合が高くなります。

3. 深いリングスティックチェックを行う事。翻訳者は、自分の作った翻訳文をゲーム上で確認させてくれない事が多い為、開発側は翻訳文をゲームに組み込んだ後に、ネイティブチェッカーがゲーム画面上で再度確認する必要があります。この作業は良いゲームを出す為に不可欠な作業です。


80年代のローカライズは、それは酷いものでしたが、90年代後半から21世紀に至るまで、日本のゲームの海外バージョンは飛躍的に良い物となっていきました。ユーザーにとって任天堂がNOE(Nintendo of Europe)でローカライズしたゲームが最もレベルの高いモノであると思いますが(社内にて数百人の外国人が作業を行っているため)、最近、サードパーティーでも、そこそこのレベルになってきました。昔のように日本のゲーム=バグ祭りと言うのは無くなりましたね。これは品質水準を上げたNOEとSCEE(Sony Computer Entertainment of Europe)の努力の賜物であると思いますが、最近、心配になるような流れが見え始めています。リリースの際に第3者のチェックが入らないハード「iPhone、携帯機など」の普及により、又酷いローカライズが見え始めています。

昨日、とある日本のゲームメーカーが開発したiPhoneアプリゲームにて日本語の「自分」という単語が英語のmyselfではなく、「Personal minute」と翻訳されていました。大企業が自動翻訳機などを使用しているとは信じ難いことですが、上記の1と2の項目が完全に無視されています。海外で売り上げを延ばす為には海外市場の水準に合わせた製品を出さないといけませんので、日本のパブリッシャーはローカライズに対し、より真剣に取り組むべきだと考えます。
《イバイ・アメストイ》

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