【GDC2010】鳥山求氏が語った「クリスタル神話」と「ゲームデザイン」・・・『ファイナルファンタジーXIII』 | GameBusiness.jp

【GDC2010】鳥山求氏が語った「クリスタル神話」と「ゲームデザイン」・・・『ファイナルファンタジーXIII』

GDC4日目の午後、スクウェア・エニックスの鳥山求氏は「The Crystal Mythos and FINAL FANTASY XIII」と題した講演を行いました。シナリオ出身の鳥山氏は本講演で『ファイナルファンタジーXIII』シリーズに共通の神話「Crystal Mythos」や本作のゲームデザイン全般につ

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GDC4日目の午後、スクウェア・エニックスの鳥山求氏は「The Crystal Mythos and FINAL FANTASY XIII」と題した講演を行いました。シナリオ出身の鳥山氏は本講演で『ファイナルファンタジーXIII』シリーズに共通の神話「Crystal Mythos」や本作のゲームデザイン全般につ
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GDC4日目の午後、スクウェア・エニックスの鳥山求氏は「The Crystal Mythos and FINAL FANTASY XIII」と題した講演を行いました。シナリオ出身の鳥山氏は本講演で『ファイナルファンタジーXIII』シリーズに共通の神話「Crystal Mythos」や本作のゲームデザイン全般について細部まで触れ、非常に興味深いものとなりました。

鳥山氏


鳥山氏は『ファイナルファンタジーVI』の頃に当時のスクウェアに入社。まだ開発規模がそれほど大きくない頃で、最初に参加したミーティングも、坂口氏、北瀬氏、野村氏といった層々たるメンバーが全員出席し、職種に関係なくスタッフ全員で次回作の構想を練るというようなものだったそうです。初期のスクウェアの文化は、全く経験のない新人もどんどん実践投入して体で仕事を身につけるというスタイルで、鳥山氏も新人ばかりで構成された『バハムートラグーン』のチームに配属されたそうです。

続いて関わったのは『ファイナルファンタジーVII』で、主にカットシーンを中心に担当したそうです。ベースのシナリオは坂口氏、北瀬氏、野村氏が考案し、それをみんなで揉み、最終的にはシナリオのリードとなった野島一成氏が仕上げたそうです。この頃になると古き良き時代は終わり、急速に開発が大規模化、『VII』ではスタッフ200名を数えるほどに。職種がセクションとして分けられ、ワークフローが整備されていきます。

『ファイナルファンタジーX』では、ボイスとモーションキャプチャーがはじめて導入され、シナリオ制作に大きなインパクトを与えました。シナリオを重視し、ボリュームも大きい『FF』シリーズでは最後の段階までシナリオがFIXされない事が多かったそうですが、ボイスやモーションキャプチャー収録を行うために早期に完成させなくてはならなくなりました。そのため、以前のように全員のスタッフで意見を出しながら完成に近づけていくという手法は取れなくなり、野島氏や鳥山氏ら数名のスタッフで作るようになりました。その後、野島氏が退社、シナリオ制作も社内から6名を集めて組織化。鳥山氏は全体の監督という立場でシナリオライターを育成。『FF』シリーズで多数のタイトルを同時進行できる体制を整えていきました。

今までのコンビレーション今回のコンビレーション


そして『ファイナルファンタジーXIII』に繋がっていくのですが、実は『ファイナルファンタジーX-2』が大きな影響を及ぼしたそうです。この作品でコンビレーションを成功させたことから、「FABULA NOVA CRYSTALLIS」という3部作が作られる事になりました。従来のコンビレーション作品は、魅力的な世界観やキャラクター人気などをベースに、その作品のファンに向けて企画される事が多かったのですが、「FABULA NOVA CRYSTALLIS」に共通するのは今回の講演のテーマの一つである神話「Crystal Mythos」のみです。そうすることによって自由なクリエイティブで、かつ共通のバックグラウンドを持った3作品が開発されることになったのです。

■Crystal Mythos(クリスタル神話)とは

クリスタル神話を簡単に説明すると次のようなものです。世界には複数の神々が存在して、彼らがファルシという道具を作ります。そしてファルシは見えざる神に代わって世界を構築します。『XIII』のストーリーの中心にあるのはその神々の一人であるパルスとリムゼの対立です。パルスの作りだした荒々しく厳しい自然の残るグランパレスと、リムゼが生み出した流線形の進んだ未来のテクノロジーによる人に優しい世界を築くコクーンの対立です。

本作のキャラクターは、ファルシが与える運命にあらがう人々を描いたものです。主人公のライトニングたちはコクーンに住む一般市民です。このようなテーマを選択したのは、今の日本の厳しい経済社会、一度落ちると這いあがれない社会へのアンチテーゼとして、それでも将来を信じて立ち向かって欲しいという思いからだそうです。そのために、典型的な勇者型のストーリーではなく、理不尽な運命に立ち向かう階級社会的な物語を描いたそうです。

グランドパルスコクーン1つのゲームに2つの世界が


■物語の展開

『XIII』のプレイ時間は大体70時間程度ですが、鳥山氏は大作RPGであれば40時間以上は欲しいと言います。その場合、カットシーンは8〜10時間程度を想定するそうです。この長さを考えると参考にするのは映画ではなくテレビドラマで、冒頭に世界を変えた13日間の最終日が描かれ、それを振り返っていくような展開で、「LOST」の構造に似ています。次々にキャラクター達が事件に巻き込まれ、先の見えないドラマとしてプレイヤーを引き付けます。

コクーンとグランパレスの対比は単なる世界観だけではありません。コクーンは人間に優しい世界です。そのため、序盤の冒険は「おもてなし」であり、ストーリードリブンで難易度はほどほどで遊べます。後半のグランパレスでは、もはや神の守護は存在せず、オープンワールドで自由度が高く難易度の高いミッションが与えられます。

■ポストモータム

ここからは『XIII』の開発が振り返られます。本作の最も重要なテーマは「ストーリードリブン」です。つまり、物語の魅力によってユーザーを次に進ませていくということです。そこにCG映画に匹敵するようなクオリティのカットシーンを挿入することでゲームを盛り上げます。しかし「このストーリードリブンはゲームプレイを損なう結果にもなった」と鳥山氏は言います。

●長期間の開発

PS2とPS3


まず非常に長期間に渡った開発の理由について鳥山氏はプレイステーション2から3への機種の変更があったと言います。ゲームのシステムやシナリオ自体は基本的にはPS2の頃に完成していたものですが、技術的な面で、フェイシャルの表現とモーションキャプチャーの全面的な採用、ポストエフェクトによるディティールの再現、物理演算などの基礎的テクノロジーの構築、などが時間を浪費し長期化の要因になったそうです。

そして、技術的にどこまで実現できるのか分からない状態で存在感を増してきたのが「カットシーンドリブン」(=ストーリードリブンとほぼ同義)という考え方だったそうです。PS3のブルーレイディスクの大容量があれば、リアルタイムのカットシーンの処理負荷が高くなったとしても、これまでのようにプリレンダムービーで処理すれば問題ありません。こうしてカットシーンを中心にゲームを作っていくという流れになります。

●レベルデザイン

レベルデザインの制約典型的なマップ


『XIII』のレベルデザインには一定のルールがあったそうです。それは非常に単純化すると、ゲーム中のバトルの総数を決める。それに合わせて場所ごとのバトルの総数を割り振る。バトル間には距離を確保する。3〜7回のバトルでイベントを挿入する。といったものです。これらの制約によって、また、序盤は「おもてなし」とする考えもあり、ユーザーから批判を受けた非常にリニア(直線的)なマップ構造が許容されるようになりました。また、カットシーンはモーションキャプチャーや背景などの関係から発生位置を確定しなくてはならないため、探索や敵との戦闘といったゲーム的要素はますます後回しにされていきます。

実はこの講演のあった同日の午前に「実に6時間も及ぶカットシーンの制作ワークフロー・・・『ファイナルファンタジー13』」という講演があったのですが、こちらで触れられている、「後戻りしない」というテーゼが、ゲームプレイに影響を与えます。カットシーンの制作にはシナリオやマップなどあらゆる材料が揃っている事が必須です。この事から、カットシーンの制作スケジュールに合わせて全てが依存して動く形になりました。

●バトルシステム

『XIII』ではチャプター毎に主人公が変わります。主人公はそのままバトルでの操作キャラになります。これによって良い点としてはビジュアルもストーリーも、それぞれのキャラクターの内面まで描く事が出来ます。その一方で好きなキャラクターで遊びたいというコアユーザーにとってはストレスを与える結果になりました。また、召喚獣の入手プロセスにも問題があり、それぞれのキャラクターが取得したとしても、次のチャプターでは使えないので召喚獣を使う機会は僅かなものになります。鳥山氏は開発後半にはこの問題点を認識できたものの、「今更直せなかった」と言います。「召喚獣のような特殊プログラムは開発後半で取りかかる事が多く、問題点に気づいても直せない場合が多い」と鳥山氏は反省を述べていました。

また、ユーザーからの批判には「街の数が少ない」というものもありました。鳥山氏は、人類の敵ルシから逃げるという物語上、街で悠長に過ごしている場合ではないという話をしながらも、カットシーンでスタンディングのモーション+テキストという構成を無くしたいという考えがあり、それで街のNPCを削減する方向になったと述べていました。また、単純に街やNPCのモデルやAIを制作する期間よりはバトルやモンスターのそれを優先した結果という側面もあるそうです。その代りとして、ある街は広大なものにし、臨場感やリアリティを高める努力をし、それは「ある程度成功したのでは」としていました。

■フォーカスグループの結果

調査の結果


鳥山氏によれば、今回はシリーズで初めてフォーカスグループインタビューを実施したそうです。これは、製品への関心層を会場に集め、インタビュー形式で意識を掘り起こしていくという調査手法で、シリーズに求める要素として、フィールドは低い一方で、カットシーンやバトルに期待するという回答が多かったそうです。鳥山氏は「カットシーンを重視した構成は良い点もあるが、ゲームデザインを犠牲にした面もある」と総括しましたが、ユーザーが求めるものを重視した結果という気持ちも伺えました。

Crystal Toolsは完成に


ただし、このような長い開発期間となったことは反省材料のようで、「(期間の短縮は)ユーザーも、僕らも、和田社長もそれを望んでいる」と冗談めかしながら語っていました。開発の基礎ツールとなった「Crystal Tools」は完成していて、今後の作品は開発期間の短縮が期待できそうです。

■シリーズの未来

現在、ファイナルファンタジーシリーズは、「FABULA NOVA CRYSTALLIS」の残り2作『ファイナルファンタジー アギトXIII』、『ファイナルファンタジー ヴェルサスXIII』、そしてオンラインの『ファイナルファンタジーXIV』がそれぞれ独自のプロジェクトとして進行中です。

鳥山氏はシリーズを再定義し「常に変わり続ける要素として、最新のハードで究極の技術の達成を目指し、ビジュアル、バトル、ゲームシステム、あらゆる面で究極を目指します。変わらない要素として、普遍的かつグローバルで壮大な、人間ドラマを中心とした感動的なストーリーがある」と語りました。

そして「未来は誰にも分かりませんが、今後も世界で輝きを放つ作品を送り出していく」と話し、1時間に渡る講演を締めくくりました。

先日、世界での累計出荷が500万本を突破したと報じられた本作ですが、講演の内容は決して薔薇色を描くのではなく、どちらかというと反省し改善策を示唆する、自身の次回作に向けて、そしてまた世界のゲーム開発者にとっても教訓になるものだっのではないでしょうか。
《土本学》

メディア大好き人間です 土本学

1984年5月、山口県生まれ。幼稚園からプログラムを書きはじめ、楽しさに没頭。フリーソフトを何本か制作。その後、インターネットにどっぷりハマり、幾つかのサイトを立ち上げる。高校時代に立ち上げたゲーム情報サイト「インサイド」を株式会社IRIコマース&テクノロジー(現イード)に売却し、入社する。ゲームやアニメ等のメディア運営、クロスワードアプリ開発、サイト立ち上げ、サイト買収等に携わり、現在はメディア事業の統括。

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