同人ゲームのパワーを"怖い体験"で実感・・・新清士「人とインタラクティブの間」 第3回 | GameBusiness.jp

同人ゲームのパワーを"怖い体験"で実感・・・新清士「人とインタラクティブの間」 第3回

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この連載を2回書いたきりで、その後、止まっており、原稿をお待ち頂いていた編集部にはとてもご迷惑を掛けておりました。連載の再開をさせていただこうと思います。
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■唐突ですが、コミケイベントのために同人誌を作っています

唐突な話なのですが、同人誌のために「小説」を書くということを、昨年から始めました。それを、昨年8月、11月、連続して、季節ごとに行われる「コミティア」というイベントに出展しました。2月14日には、3回続けての出展を行います。 そこに、細々と他の普通のサークルさんと同じように、長い机半分のスペースを借りて、半日一人座って、一冊60ページほどのコピー本の小説を売ります。

理由は、少し前にさかのぼります。熱気にあてられて、どうしても、こういう場に出てたくなったのです。

■2009年度に6回開催のIGDA日本SIG-Indie研究会

私自身が運営に関わらせていただいています、国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)では、2009年の4月に、「同人・インディペンデントゲーム研究部会(SIG-Indie)」という新しい研究会をスタートしました。

これは、日本の同人ゲームの分野を精力的に研究されている七邊信重さん(東京工業大学研究員)と小山友介さん(芝浦工業大学システム理工学部准教授)の熱意によるものでした。2009年中に、4回開催された研究会は、インサイドでも紹介されています。今年に入っても、1月と2月と連続して開催します。IGDA日本の研究会で、これほどハイペースで、一つのジャンルの研究会が開かれたケースは過去にありません。

私にとっては、インディペンデントゲームについては、欧米の事情を調べていると一大勢力として勃興してきていることは、毎年春の「ゲーム開発者会議(GDC)」を見ていると明白なことでした。GDCでは、「インディペンデントゲームアワード(IGF)」という賞があり、特にネット流通が一般化してきたここ数年、受賞作品やノミネート作品が、その年の間に、どこかのパブリッシャーに権利が買われて、販売されるということが一般化するようにまでなりました。

名前も聞いたことがない独立系開発者が、この賞を受賞したことで、一躍脚光を浴び、スター開発者の仲間入りをしていく姿も何度も見てきました。

■SIG-Indie研究会の参加者の熱気に圧倒される

ところが、日本の同人ゲームについては、私はほとんど不案内といってもいい状況でした。私自身は、「Fate」や「ひぐらしのなく頃に」など、同人ゲームを出発点して、大きくヒットしてきている、ノベルゲームは名前は知っているという程度でまったく遊んでいません。「コミケ」自体にも、もう何年も行っておらず、たまに、同人誌ショップの棚を覗いてみても、どうにも敷居が高かったのです。

そのため、頭の中に同人ゲームに対して、かなり偏見がありました。そのため、この研究会を立ち上げたいという話が、運営メンバーから出てきたときには、大丈夫だろうかという不安もありました。

ところが、研究会を始めてみて、心の底から驚かされたのは、とにかく、講演してくださる方と参加者の方が生み出すテンションが高い。圧倒的なまでに、会場には熱気が充満しています。日本のゲーム業界は、近年元気がありません。新しい企画を生み出すだけの力も低下しているとも言われます。

しかし、それは完全に私自身が誤った考えだったと、その場で学びました。「自分の作りたいゲームを束縛を受けることなく作ることを楽しんでいる人たち」が、確実に同人ゲームの世界にいることに驚かされました。

■同人ゲームはクオリティも世界に通用するものも少なくない

そして、私は研究会を通じて、抱いていた誤解が解けていきました。

【誤解1】同人ゲームは、アダルトゲームが大半を占める

これは、すぐに誤解であることを知りました。

小説に近い「ノベルゲーム」の分野も多種多様で、ホラーや脱出をテーマにしたものなど、多種多様なものが、存在していることを知りました。シューティングゲームも、人気のある「東方」シリーズ以外にも、たくさんの人気のある、見るべき点の多いゲームが存在していることを知りました。

また、2Dだけではなく、「マリオ」スタイルの3Dアクションゲームで評価の高いゲームや、「エースコンバット」のゲームエンジン部分だけを開発して、ゲームシナリオは自由に開発できるようなもの、コミュニティベースでストーリーを開発するエンジンを作られている方など、バリエーションの豊富さに驚かされました。

【誤解2】アマチュアが開発したゲームはレベルが低いので見る価値がない

完全に間違いであることを悟らされました。すでに海外のインディペンデントゲームとしても十分に通用する水準のゲームが、存在していることを知りました。例えば、神奈川電子技術研究所の「天才科学者ばいおるる」は、物理シミュレーションをシューティングゲームの中にうまく取り込んでおり、うならされました。これは、確実に、海外に持って行っても遜色ない水準でしょう(実際に、海外企業と海外販売の話が進んでいるようです)。

同人ゲームは、大半がコンシューマゲーム機向けに販売されることがありません。そのために、例えば、「CESAゲーム白書」といったもので発表される、日本のゲーム産業の規模をはかるためのデータに登場することは現在ありません。どれぐらいのタイトルが開発され、どれぐらいの販売量があり、どれぐらいの市場規模があるのか、誰も把握していません。推計値さえ存在しません。

逆に、なぜ、こういう人たちが、大手ゲーム会社の中で働いていないか、ということが不思議に思えるようになってきました。いえ、後日、昨年9月にCEDECと併際された「業界研究フェア」で、私自身が司会として3社の人事部の方とパネルディスカッションをして合点がいきました。こういう場所にいる人たちは、今の新卒採用の就職活動の場では、容易に落とされてしまう規格外の人たちなのではないか、ということでした。

日本のゲーム業界は本来、規格外の人たちによって作られてきて、発展してきたものです。しかし、このことは、今の日本のゲーム業界に、規格外の人たちを受け入れられる余地が失われているのかもしれない、という気持ちに変わってきています。

そして、大手ゲーム会社に就職してしまうと、「自分が作りたいゲームを作れなくなってしまう」という危惧を抱いている方も多いことも知りました。

■研究会のパワーにあてられ同人イベントに参加するまでに

ただ、とにかく、私は、それらの方たちのパワーにあてられました。研究会に出て、講演者の方々の話を聞いていると、どうしても何かモノを作ってみたくなってきます。そして、コミケという空間に出てみたくなりました。率直に言うと、空手の状態で、“恐い体験”をしてみたくなったのです。

コミケに出ている人たちは、少なくともユーザーさんに手売りをして、直接お金を支払ってもらわなければなりません。出してみるまで、売れるかどうかもわかりません。それは、経験としては、本当に恐ろしいことではないかと思うのです。講演者の中には、DVDパッケージの在庫の山が出来ている目も当てられない写真を、冗談交じりに紹介された方もいました。

私自身の場合、ツールとしては、ノベルゲームのようなゲームを作ることが的確だったのかもしれませんが、ともかく、立ち上げるのは大変だったので、オールドなメディアですが紙の書籍で、まずやってみることにしました。そして、書いたこともない小説にしてみました。一応、ゲームは絡んではいる内容ですが。

■コミケ出展の“恐い体験”を通じてのインタラクション

ただ、当日、コピー本を30部並べて、たった一人でぽつねんと、お店を開いて……。それはそれは、本当に“恐い体験”でした。

買ってもらわないことには、読んでもらう以前の話です。2回やってみても、“恐さ”は変わりません。3回目も、やはり恐いです。すでに、1回の準備費用は、PS3を買えるぐらいに到達しています。それはそれはそれは、“恐い体験”です。

しかし、自分で出展してみて、なぜ、同人ゲームの人たちが元気、言い換えるならば……しぶとそう……なのかは、わかってきました。この“恐い体験”を何度も乗り越えている方たちだからなのだなと、肌でわかってくるようになったのです。

多くの方が、「夏コミ」、「冬コミ」という年2回のサイクルに合わせて、自分たちのゲームを開発されています。その半年あまりの早いサイクルに合わせてゲームを作り続けているからこそ、急激に高い経験値を獲得する人が生まれているのだろうとも思うようになりました。

ユーザーがゲーム開発者を育て、ゲーム開発者がユーザーに答えていくという関係。これは、高度なインタラクションに他なりません。ユーザーとの早い速度でのインタラクションという“恐さ”を何度も乗り越えて、同人ゲームの開発者は確実に成長しているのです。だからこそ、同人ゲームの人たちは、日本のゲーム産業の将来の可能性を抱いていると今は確信を持って言えるようになっています。
《新清士》

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