【MSM2009】ソフトウェア開発におけるカラーユニバーサルデザインの重要性 | GameBusiness.jp

【MSM2009】ソフトウェア開発におけるカラーユニバーサルデザインの重要性

ソラノイロ代表でカラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)副理事長の伊賀公一氏はMSM2009で23日、「ソフトウェア開発におけるカラーユニバーサルデザインの重要性」と題して講演しました。

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ソラノイロ代表でカラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)副理事長の伊賀公一氏はMSM2009で23日、「ソフトウェア開発におけるカラーユニバーサルデザインの重要性」と題して講演しました。
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ソラノイロ代表でカラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)副理事長の伊賀公一氏はMSM2009で23日、「ソフトウェア開発におけるカラーユニバーサルデザインの重要性」と題して講演しました。

一級カラーコーディネータで視覚情報デザインコンサルタントながら、自身も色弱者(P型強度)である伊賀氏は、多様な色覚を持つ人にとって使いやすいソフトウェア開発の重要性について語りました。

CUDO副理事長の伊賀公一氏CUDOは2008年のグッドデザイン賞も受賞


はじめに伊賀氏は、日本では2003年まで学校教育で色覚検査が行われてきたため、社会に色弱アレルギーがあると指摘しました。実は色弱は下戸などと同じく、遺伝子の多形に伴う現象にすぎません。そのためCUDOでは健常者、色弱者などという呼び方ではなく、C型(Common)、P型(Protanope)、D型(Deuteranope)、T型(Tritanope)、A型(Achromat)という呼称を採用していると説明しました。なおCUDOではカラーユニバーサルデザインに配慮して作られている製品や印刷物に認定マークを発行しています。

L錐体(赤色を感知)/M錐体(緑色を感知)/S錐体(青色を感知)

C型:一般型(3種類の錐体がすべて揃っている)
P型:L錐体がない【強度】、またはM錐体と似通っている【弱度】
D型:M錐体がない【強度】、またはL錐体と似通っている【弱度】
T型:S錐体がない
A型:錐体が1種類のみ、または全くない→色を明暗でしか感じられない

このうち、ほとんどの色弱者はP型かD型となり、日本では成人男性の5%で320万人、世界中で2億人にのぼります。欧米では8〜10%、アフリカでは2〜4%と緯度でばらつきがあり、女性は男性より少ない(日本では1%未満)ことが知られています。つまりC型か、それともP・D型かは、多数派か少数派か、という問題にすぎないというわけです。

さらにP・D型はC型よりも色の識別能力が劣ると思われがちだが、それぞれで区別しやすい色、区別しにくい色があり、見え方の問題にすぎないと指摘します。具体的にはP・D型は色の明度差と青色(シアン値)の変化に敏感な一方で、赤と緑、濃い赤と黒の区別がしづらいという現象が見られます。

そのためP・D型は薄明視に強く、日没後の薄暗い光のもとでも識別がしやすかったり、踏んでも大丈夫な氷か否かが区別しやすいといった強みがあります。その一方で、黒一色の標識に近寄ってみると、実は濃い赤色で「危険」と書いてあった、などという笑うに笑えない現象が実際に起きるというわけです。


P・D型の方が有利な例。米軍は第二次大戦中に色弱者を偵察部隊や狙撃手として採用した例もあるという。


黒地に濃い赤色で注意が喚起されており、P・D型にとって見づらい例。こうした標識は意外と多く使われている。

伊賀氏は高度情報化社会のもとで、特に90年代以降から、さまざまな情報を色で識別させる機会が増えたため、少数派である「色・弱者」が生きにくい社会になったと語ります。典型例が教科書で、モノクロ中心だったものがカラー化が進み、それまで破線などで表示されていたグラフ表示が、色別に表示されるなどの例が激増しました。地下鉄の標識におけるカラーマークなどもそうです。

こうした反省から、最近では色と文字の2種類の情報が加えられる例が増えています。薄型テレビのリモコンにある地上波デジタル放送のカラーボタンなどが好例で、アパレルのユニクロでもタグに服の色名が記されています。

ただしIT業界では、まだまだこうした意識が乏しいのが実情です。たとえばホームページで黒地に濃い赤色でリンクが書かれていたり、文字が表示されていると、識別が非常に難しくなります。その一方で同じ赤系統でも、黒地に朱色の組み合わせだと識別がしやすくなるとのことでした。CUDOの公式サイトでは、こうした問題をチェックしたり、シミュレーションできるフリーソフトも紹介されています。


P・D型にとって見にくい配色の例。事前にフリーソフトなどでシミュレーションすると、こうした間違いを減らすことができる。

最後に伊賀氏は「カラーユニバーサルデザイン3+1原則」を紹介しました。「色だけでなく、形、位置、線種、塗り分けパターンの違いなどを併用し、利用者が色を見分けられない場合でも、確実に情報が伝わるようにする」「照明条件や使用状況を想定し、どのような色覚の人でもなるべく見分けやすい配色を選ぶ」「色名を使ってコミュニケーションすることが予想される場合は、色名を明記する」「その上で目に優しく、見て美しいデザインを追求する」です。また伊賀氏は「最初にモノクロでデザインして、次に副次的に色を使用する」という考え方も示しました。

ゲーム業界でもニンテンドーDSiのバッテリー残量を示すLEDに、緑ではなく青色が採用されるなどの例が見られます。しかしゲームソフト開発においては、まだまだ認知度が低いのではないでしょうか。特に昨今では欧州向けの輸出拡大が求められており、カラーユニバーサルデザインへの正しい理解と対応が求められそうです。
《小野憲史》

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