PSPで最高の表現を追及したProject Soulが送る最新作『ソウルキャリバー Broken Destiny』開発秘話 | GameBusiness.jp

PSPで最高の表現を追及したProject Soulが送る最新作『ソウルキャリバー Broken Destiny』開発秘話

PS3/Xbox 360というハイスペックマシンの性能を極限まで引き出した『ソウルキャリバーIV』から1年。Project Soulが選んだのは、シリーズとして初の携帯ゲーム機であるPSPでした。

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PS3/Xbox 360というハイスペックマシンの性能を極限まで引き出した『ソウルキャリバーIV』から1年。Project Soulが選んだのは、シリーズとして初の携帯ゲーム機であるPSPでした。

「格闘ゲーム人口を増やしたい」という想いと、手のひらサイズでも最高のモノを作りたいという開発者の心意気について、バンダイナムコゲームス未来研究所で聞いてきました。

→前回のインタビューはこちらから
最高の映像に負けない最高のサウンドはこうして作られた『ソウルキャリバーIV』インタビュー

日山 慎之
コンテンツ制作本部 企画ディビジョン 第1企画ユニット 企画1課
制作ディレクター。本作の開発全般を統括。

矢野 義人
コンテンツ制作本部 制作ディビジョン サウンド部 サウンド2課 チーフ
効果音制作、実装および音声周りのディレクションを担当。

中鶴 潤一
コンテンツ制作本部 制作ディビジョン サウンド部 サウンド1課 アシスタントマネージャー
リードサウンドデザイナー/コンポーザー/サウンドディレクター。サウンド全般を統括する。唯一、前回のインタビューにも参加。

北原 明
コンテンツ制作本部 制作ディビジョン プログラム部 プログラム2課 アシスタントマネージャー
「ファイルマジックPRO」の実装やメモリースティックへのインストールなどのプログラムを担当。

星野 正昭
コンテンツ制作本部 制作ディビジョン プログラム部 プログラム2課 アシスタントマネージャー
リードプログラマー。ソウルキャリバーは『1』から関わる。

久保 雅資
コンテンツ制作本部 制作ディビジョン CGモーション部 CG1課 アシスタントマネージャー
本作のアートディレクションを担当。

吉江 秀郎
コンテンツ制作本部 制作ディビジョン CGモーション部 CG1課 アシスタントマネージャー
キャラクター制作チームのリーダーを務める。新キャラクターなどの制作も担当。

熊坂 朋右
コンテンツ制作本部 制作ディビジョン プログラム部 プログラム2課
プログラマー。ファイルシステムや開発環境周り、言語の管理などもを担当。



―――「ソウルキャリバーシリーズ」としては初めて携帯ゲーム機、PSPでの発売になりますが、『ソウルキャリバー Broken Destiny』はシリーズでどのような位置づけのタイトルなのでしょうか?

日山氏
日山: 『ソウルキャリバー Broken Destiny』はProject Soulが送り出すシリーズ最新作です。初めて携帯ゲーム機に挑戦したのには理由があって、今まで格闘ゲームを敬遠されてきた方や、興味はあったけどハードルが高いと感じていた方、腕に覚えはあるけれどもっとスキルアップしたいという方に向けて、携帯ゲーム機でいつでもどこでも遊べるソウルキャリバーを作りたいと思ったんです。格闘ゲームの市場そのものを広げられる、対戦人口を増やす取り組みをしなければいけないという思いが強くありました。

日山: やっぱり格闘ゲームで一番の醍醐味は対戦だと思います。人と対戦する熱く燃える瞬間をもっと多くの人に楽しんで欲しい。となると、もっとプレイヤーの人口を増やさないといけません。その点では、プラットフォームがPSPなので気軽に対戦ができます。手軽に遊べる『ソウルキャリバー Broken Destiny』で格闘ゲームの面白さをもっと広めていきたいと思っています。

―――では対戦の部分は力を入れたポイントなのですね。

日山: そうですね。技術的な話になりますが、どうしても通信対戦では遅延の問題がでてきます。今回はそのあたりを特に考慮して力を入れてきましたので、より快適な作りになっていると思います。開発当初から「もっと良い通信対戦の環境を提供出来ないか」ということでスタッフ一同頑張ってきました。

―――先ほど対戦格闘ゲームはハードルが高いとありましたが、初心者でも楽しめるようにするための工夫などはあるのでしょうか?

日山: 格闘ゲームは操作が難しくてちゃんと思った通りに動かせない、やることが沢山あって覚えられない、などの声を良く聞きます。今回は特にその辺りに気を遣って、キャラクターの動きなど、プレイヤーの入力に対するレスポンスに調整を施してあります。より快適に、思った通りに動かせるようになったと思います。加えて、今回は「ガントレット」というモードを用意しました。これは、遊んでいくうちに自ずとソウルキャリバーの基本的な遊び方から、上手くなるためのテクニックが身につくモードです。全体的に非常にライトなノリで、短時間で気軽にプレイ出来る非常にテンポの良いゲームです。失敗してもソウルキャリバーのキャラクター達が丁寧にアドバイスしてくれます。ここで腕を磨いてもらって、ぜひ対戦の面白さを味わって頂きたいですね。

―――携帯ゲーム機ならではの工夫はありますか?

日山: 携帯ゲーム機だと、どうしても一人で遊ぶ時間が長くなりますし、移動中の時間などコマ切れの時間で遊ぶ事が多くなると思います。そうすると、ロード時間やインターフェースの快適さは据え置き機以上に求められますので、極力ストレスを感じさせないよう重点的に力を入れました。ゲームプレイでも、1回のプレイは短く、でも繰り返して何度も楽しめるような要素を盛り込んでいます。

―――「ソウルキャリバー」の大きなポイントである「キャラクタークリエイション」はどう進化していますか?

日山: 進化のポイントは2つあります。1つは、今まではパーツをモデルにフィットさせるのがなかなか難しかったという反省を活かして、パーツのサイズや位置を自由に設定できるようにしました。もう1つは、キャラクターセレクトや対戦時に出てくるサムネイル画像を自分で撮影できるようにした点です。好みの背景やフレームを設定して、自由な角度で撮影できます。撮影したサムネイルは、対戦前に表示されて、対戦者同士がお互い見ることができます。ビジュアルチームから出てきたアイデアで、やってみたらこれが面白いんです。すごく凝りたくなるんですよ。

―――新キャラクターも登場しますね

吉江: 今回、新たにダンピエールが加わりました。おっさんで、ひげが生えていて、うさんくさい(笑)。企画の段階から具体的なイメージがあったので、すんなりデザインができました。

―――「ソウルキャリバー」は毎回豪華なゲストキャラクターが話題になりますが、海外からビッグなゲストが登場しますよね

日山: ゲストキャラクターとして今回は『God of War』のクレイトスが参戦します。世界的に知名度がある人気キャラクターで、原作で使っている彼の武器やアクションが「ソウルキャリバー」の世界観と非常に親和性が高いと感じていました。彼が実際に「ソウルキャリバー」の世界で、他のキャラクターと戦ったらどうなるんだろう?是非戦ってみてほしい!という好奇心や願いが強くなり、想いをお伝えしたところ、PSPで貴重なコラボレーションが実現しました。

―――どんな戦いをしてくれるのか楽しみですね

日山: ぜひ触ってみて欲しいですね。クレイトスには今までの「ソウルキャリバー」のキャラクターにない動き、アクションがふんだんに盛り込まれています。原作である『God of War』のファンの方にも満足行く出来だと自負しています。

―――開発期間としてはどのくらいだったのですか?

日山: かねてより準備は進めていましたが、本格的にスタートしてからの開発期間は 1 年弱でした。

―――かなり短いですね

日山: そうかもしれません。ただ、内容に関してはかなり詰め込んだつもりです。前作にひけをとらず、かつ、新しい要素を入れて行けるよう、守るべき箇所と変えるべき箇所を見極めて、今出来る最大限の努力をしました。これも「辛い、辛い」と言いながら頑張ってくれたスタッフのおかげです(笑)。

―――スタッフは前作から引き続きの方が多かったのですか?

日山: そうですね。『ソウルキャリバーIV』からというよりは、ソウルキャリバーシリーズ全般を開発してきたチームなので、『ソウルエッジ』や初代『ソウルキャリバー』から関わっているメンバーも多数います。

―――次世代機から携帯ゲーム機のタイトル開発に移るというのは相当な苦労があったのではないでしょうか?

星野氏
星野: PSP自体初めてのハードだったので、これだけ短い期間でやるというのは相当なチャレンジでしたね。使えるメモリも格段に違いますので、まずは考え方を切り替えるのが大変でした。ただ、メモリが少ない時代を経験しているベテランメンバーが多かったので、その点は有利だったかもしれません(笑)。

日山: あとは『ソウルキャリバーIV』と全く同じ事がたとえ実現できないとしても、新しい切り口のアイデアでそれを上回ることは出来るんです。確かに頭を切り替えるのは大変でしたが、それを乗り越えてからは、スムーズに開発を進めることができたと思います。

―――PSPではどのくらいのスペックの素材を用意すればいい、といった性能の見極めはどのようにして進められたのですか?

星野: 最初は手探りしかないですね。あとは、3年前くらいのソフトですが、弊社で作った『鉄拳 ダークリザレクション』というPSPの格闘ゲームがありましたので、それを参考にどこまでハードの性能を引き出せるか試行錯誤していきました。

―――何にどのくらいメモリを割り振るかというのも大変だったんじゃないでしょうか?

星野: そうですね。こっちを足したり、あっちを削ったり、毎日パズルをしているような感じでした。せっかく全部収まったと思ったら、新たに大きなパーツがやってきたり・・・(笑)苦労の連続でしたね。

北原: たとえば、デバッグをしていて、このキャラとこのキャラで対戦すると動かないということがあったりして(汗)。

―――キャラクタークリエイション用のパーツは今回どのくらい準備したのでしょうか?

日山:クリエイションパーツは、武器まで含めると1000を超えてますね。

―――それぞれ組み合わせてちゃんと表示できるかテストするわけですか?

北原: メモリもそうですが、見た目もチェックする必要があります。さすがに全パターンは無理ですが、ほとんどのパターンを自動で生成して、デザイナーで手分けしてチェックしました。

■音へのこだわり

―――「ソウルキャリバー」といえば、細部までこだわった「音」もポイントになると思いますが?

中鶴氏
中鶴: PS3やXbox360と比較すると、PSPはもちろんスペック的にかないません。しかし、再現しなくてはいけないことは基本的には変わりません。キャラクターも、ステージも、ゲームの遊び方も同じです。例えばサウンドで言えば武器の音なども、『ソウルキャリバーIV』を遊んだ人にとって違和感がないように作らなければいけない。それでいて容量やスペックは限られる・・・。

同じやり方では不可能である以上、切り口を変えなければならないんです。実はPSPは本体を目の前に持って遊ぶと、据え置きゲーム機とはまた違う没入感があるんです。試行錯誤している中で、前後左右あらゆる全ての音を再現しなくても、本当に大切な音さえ聞こえていれば意外にのめり込めるということが分かってきました。『ソウルキャリバーIV』の場合は次世代機ならではの有り余るスペックを使って、その場面で鳴っているであろうあらゆる音を再現していたのですが、それを改めて、今回は大事な音から順番に再現するようにしました。

一つ困ったのは『ソウルキャリバーIV』の場合、武器の音などは色々な音を組み合わせて作っていたのが、今回はちょっと厳しいということで、それに代わる武器の音の作り方を考える必要がありました。そこは矢野が担当してくれました。

矢野氏
矢野: 『ソウルキャリバーIV』では色々な音の素材を組み合わせて、キャラクターの強さ、武器の強さによって繊細に音を変えていました。今回は、気持ち良い音、機能的な音、ということに焦点を当てていて、音の特徴を誇張して、剣を振る音でも、縦切り、横切り、突きの違いが分かるようなものにしました。少し抽象的な表現ですが、PSPを手に持ってプレイすることで、100インチのワイドテレビでゲームをプレイするくらいの感覚を得られる音にしようと思って作りました。自社や他社のPSPタイトルや、個人的にもリスペクトしている『God of War』の優れたサウンドデザインを師匠と思い、研究して作りました。まずはいい師匠を見つけるのが大事かなと(笑)。

中鶴: たまたまクレイトスがゲストキャラクターということもあって、『God of War』は色々と研究しました。次世代機とPSPという携帯ゲーム機の両方で出ているという境遇も僕たちと同じで。例えば今回の音作りで言うと、BGMの再生はそれなりに高音質で出せるのですが、効果音やセリフは若干音質を下げざるを得ない。そうするとBGMだけ突出して高音質になってしまい、違和感を与えてしまうんです。そこでそれぞれの素材の音質をなるべく近づけるようにすると、遊ぶ際に違和感が減るということが分かりました。その辺りは『God of War』のサウンド表現がとても参考になりましたね。

矢野: 凄く豪華なゲストキャラなので、サウンドの面でもちゃんとおもてなしができるように頑張りました。

中鶴: そうですね、本家にちゃんと認めて貰いたかったので。

―――ヘッドホンとスピーカーという観点ではどちらに合わせたのでしょうか?

中鶴: 最初に矢野とも相談したのですが、例えば両方に対応するために素材を2種類用意するといったことも考えました。ただ、遊ぶ人の大半はヘッドホンだろうと仮説を立てて音を調整しています。結果的には、スピーカーで聞いても違和感がないものにはなっています。

矢野: PSPは高音が出やすいので、若干削って、かつヘッドホンで聴いて迫力があるように調整しました。

中鶴: 最後に、ヘッドホンをして長時間遊んでも問題ないように、音をちょっと柔らかくしました。

■グラフィックへのこだわり



―――グラフィックの面ではいかがでしたか? PSPで特に大変だったのはどういうところでしょうか?

久保: やはりPSPではPS3やXbox 360と比べグラフィックにも限界があるので、落とし込みには苦労しましたね。ただ今回はPS3やXbox 360で開発した経験があったので、『ソウルキャリバーII』や『ソウルキャリバーIII』くらいのレベルまで到達できたと思っています。ただ、メモリやCPUの描画負荷には苦労しましたね。

―――ハイスペックなプラットフォームでの開発を経てPSPに移られた、というのが良かったのですね。

久保: そうですね。PSPでゼロから作っていったら、今回のようなクオリティに到達することはできなかったんじゃないでしょうか。PS3やXbox 360で実現したものと同じレベルをPSPで実現しようと思ったからこそ、色々な工夫をして、なんとか厳しい仕様を実現できたんだと思います。

久保氏


―――家庭用ゲーム機とPSPでカメラワークや演出で変わる部分はあったのですか?

日山: 全体的に変わった部分はありません。当初はキャラクターのモデルをPSP用に落とし込むにあたって、カメラワークやキャラクターモーションを変更した方がいいという話もあったのですが、実際に載せてみると違和感無く遊べるので、今までのシリーズのものを踏襲する形にしました。

■ファイルマジックPROを導入した経緯

―――今回は「ファイルマジックPRO(※)」が採用されていますが、その経緯を教えてください

ファイルマジックPRO・・・CRI・ミドルウェア社が提供する、圧縮、パッキング、最適配置などでディスクメディアのロード時間を約1/2にまで短縮するミドルウェア(ファイルシステム)。

星野: 過去のソウルキャリバーシリーズでは「CRI ADX(※)」を採用していました。今回PSPという何も知らない新しいハードに飛び込んでいくにあたって、何らかの"魔法"が欲しいというのもありましたし、期間的に限られている中でファイルシステムまで自前で作る余裕はありませんでした。それで探してみたところ、「ファイルマジックPRO」しか選択肢はありませんでした。それで声をかけさせていただいたんです。もし自前でファイルシステムを作っていたら、ゲームはとてもまだ完成していなかったでしょうね。

※CRI ADX・・・CRI・ミドルウェア社が提供する、高音質マルチストリーム音声再生システム。約15年に渡りゲーム開発に活用され、多数のタイトルに採用されている。

―――「ファイルマジックPRO」の中でも有効だった機能というのはありますか?

熊坂: 『ソウルキャリバーIV』でも同様の処理を行っていたこともあったのですが、複数ファイルのグループ化機能(※)は活用しました。元々はキャラクターに必要な幾つかのファイルをまとめて1つのバイナリデータにして使っていたところを、今回は「ファイルマジックPRO」のグループ機能で処理しました。1つのバイナリに固めないため、開発中でも1つ1つのファイルの更新が簡単にできるので、開発のスピードアップにつながったと思います。

熊坂氏(手前)


※グループ化機能・・・「ファイルマジックPRO」で、複数ファイルをグループという定義でまとめる機能。グループ単位での読み込みが可能で、同じグループのファイルは自動的に近くに配置されるため、シークを減らすことができる。

星野: また、UMDからの読み込みはシーク時間が大きく影響するため、なるべくシークを減らしてロード時間を減らそうという観点でもグループ化を活用しました。グループでまとめたファイル群は一括で読み込むため、シークが発生しないので助かります。

―――具体的にはどういったものがグループ化されているのでしょうか?

熊坂: キャラクターの場合は、そのキャラクターの流派によって変わるモーションや専用のエフェクトなどがグループになっています。キャラクタークリエイションの兼ね合いもあって、モデルやテクスチャは別になっていますね。

―――ロード時間を短くする工夫というのはありましたか?

星野: とにかくなるべく短くしたいということで工夫は色々としています。一番大きいのは先程のグループ化です。シークを極力減らすことで、ロード時間を大幅に改善していますね。最終的には許容範囲に収まったかなと思います。それから今回はメモリースティックへのインストールにも対応しています。この記事を読んだ方はぜひインストールしてプレイしてほしいですね。

―――「ファイルマジックPRO」の組み込みにはどのくらいの時間がかかりましたか?

熊坂: 導入を始めたのが開発着手と同時で、実際にファイルを扱えるようになるまでは1ヶ月くらいかかりました。そこからこういう使い方をしたい、というような要望をCRIさんに伝えて対応していただいたので、それを含めると全体で3ヶ月くらいでしょうか。

―――音声のストリーミングは自前でやられたのですか?

中鶴: 『ソウルキャリバーIV』などでは楽曲再生でもクロスフェードをかけるなど結構複雑な処理をしていたのですが、今回はシンプルに再生だけだったので、社内ライブラリで済ませました。「ファイルマジックPRO」との共存も問題ありませんでしたね。

星野: 複数音声のマルチストリームをやるならADXが便利なんですが、今回はなるべくシークを発生させない、という方針でしたので、社内ライブラリでの単純再生を選びました。

■期待を裏切らない作品に

―――今回もほぼ世界同時発売になりましたね

星野: 実は今回、日本版でも他の言語にするとその言語で表示されます。なので、イタリア語を勉強したい方はイタリア語の設定で遊んでください(笑)。

日山: 最初からワールドワイドで展開することを前提に、どの言語にも対応できる画面レイアウトなどを考えて作りましたね。

―――気が早いですが、今後のソウルキャリバーシリーズの展望を聞かせてください

日山: 今後について、まだ詳しい事はお話できませんが、ファンの皆様に支えられてここまできたシリーズなので、期待を裏切らないように、もっともっと良いゲームを目指していきたいとスタッフ一同考えています。今後もより良い「ソウルキャリバー」を期待して欲しいですね。

―――では、最後にDEVELOPER'S TALK恒例となっていますが、ユーザーさんと、同業のゲーム開発者の皆さんに一言ずつコメントをお願いします

熊坂: 先ほどの話題にもありましたが、今回は様々な言語で遊べます。テキスト担当だったのもあるのですが、ぜひ色々な言語で試してみてください。勉強にもなります(笑)。ゲーム開発者の皆さんに対しては、元気が無いと言われる昨今の日本のゲーム業界ですが、お互いに無い所を補い、協力しながら、世界に負けないゲームを作っていければと思います。

吉江: モデリングを担当したので思い入れがあるのですが、ぜひ新キャラクターのダンピエールとゲストキャラクターのクレイトスで遊んでみてください。新しい要素も満載です。今回は久しぶりにハードのスペックが限られている中でのゲーム作りだったのですが、ローポリのゲーム作りも結構面白いです(笑)。皆さんもハイエンドばかりじゃなくてたまにはローポリゲームも作りましょう。

久保: 今回はキャラクタークリエイションが一番苦しくて工夫した部分です。シリーズの中でも特に充実していて、前回の『ソウルキャリバーIV』で要望が多かった、キャラクターのメインコスチュームも使えるようになっています。また、男女間でパーツを入れ替えられるようになっていて、『ソウルキャリバーIV』よりもさらに面白いキャラ作りができるんじゃないでしょうか。開発者の皆さんへの一言としては、限られた環境の中でテクスチャ容量も確保できないところで、解像度を調整したりローポリで頑張ったりして、良い物に見えるように挑戦しました。そんなチャレンジも良いのではないでしょうか。共にがんばっていきましょう。

星野: 携帯ゲーム機なので、なるべく快適に、ちょっとした時間で遊べるように頑張って開発しましたので楽しんでください。同業者の皆さんには、昔のゲーム開発現場のように、メモリをギリギリまで切り詰めたり、CPUをいじり倒したり、といったのが好きな方は、そういった世界がPSPには待っているので、ぜひ一緒に楽しみましょう(笑)。

北原: みんなよっぽどギリギリに詰めるのが楽しかったのね(笑)。

星野: 今考えると(笑)。昔のゲーム開発を思い出して、ちょっと懐かしい感じでしたね(笑)

北原氏
北原: 自分は格闘ゲームが苦手で、「ソウルキャリバー」もクリアできていないのですが、そういうユーザーの方にも、「ガントレット」モードでは今までにないくらい親切にナビゲーションしてくれます。ガードボタンの使い方から丁寧に教えてくれるんです。ちょっとずつ上手くなると、オンラインでも遊びたくなってくると思います。僕も一生懸命練習するので、ぜひ一緒に遊びましょう。開発者の皆さんには、会社も大切ですが、家族も大切にしましょうという言葉を贈りたいです(笑)。

中鶴: ぜひ音に意識を集中して遊んでみてください。『ソウルキャリバーIV』を体験した方でも満足できるような音の仕上がりになっていると思います。また、長時間遊んでも聞こえの良い音作りができていると思います。同業他社の方には、意外にスペックが限られているゲーム機も楽しいと思います。スペックは変われど目指すサウンドは変わりません。環境が変わっても、与えられた物の中で最高のものを実現するのがプロだと思います。なので、同じサウンドクリエイターの皆さん、スペックに惑わされずに、共にいい音を作っていきましょう。

矢野: 今回は「ソウルキャリバー」シリーズの中でも、パンチの手応えや剣の切り応えが上手くサウンドで表現できていると思います。ぜひそういうところもチェックしながら遊んでみてください。開発者の皆さんには、PSPでもハイエンドなサウンドは頑張れば実現できます。PSPという小さな箱庭で、夢のようなサウンドを一緒に作っていきましょう。

日山: 今回は初心者から上級者の方まで、多くの人に遊んでいただける格闘ゲームを目指しました。今までのシリーズ以上に、より熱くなる、遊び甲斐のあるゲームになっています。ビジュアル、サウンド、プログラム、モーション、あらゆる面で努力しているゲームなので、ぜひ手にとってみて欲しいですね。開発者の皆さんには、一緒に格闘ゲーム市場に新しい風を送り込んで行きましょうと伝えたいです。格闘ゲームがこの世に出てから20年くらいが経過して、市場的に元気の無い一面も時折感じますが、まだまだ可能性のあるジャンルだと思いますので!!

―――本日はどうもありがとうございました!

バンダイナムコゲームス 未来研究所にて


株式会社CRI・ミドルウェア
http://www.cri-mw.co.jp/

●記事に登場するミドルウェア「CRIWARE」についてのお問い合せ
http://www.cri-mw.co.jp/inquiry/
TEL: 03-5414-3011

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《土本学》

メディア大好き人間です 土本学

1984年5月、山口県生まれ。幼稚園からプログラムを書きはじめ、楽しさに没頭。フリーソフトを何本か制作。その後、インターネットにどっぷりハマり、幾つかのサイトを立ち上げる。高校時代に立ち上げたゲーム情報サイト「インサイド」を株式会社IRIコマース&テクノロジー(現イード)に売却し、入社する。ゲームやアニメ等のメディア運営、クロスワードアプリ開発、サイト立ち上げ、サイト買収等に携わり、現在はメディア事業の統括。

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