【CEDEC 2009】セガ『ベヨネッタ』におけるアクションゲームの作り方 | GameBusiness.jp

【CEDEC 2009】セガ『ベヨネッタ』におけるアクションゲームの作り方

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女性主人公、ハードでスタイリッシュなアクションなど個性的な要素を配し、発売前から話題となった『ベヨネッタ』。プラチナゲームズ株式会社の橋本祐介氏、西村栄治郎氏、齋藤健治氏はグラフィック面からのアプローチを語りました。
  • 女性主人公、ハードでスタイリッシュなアクションなど個性的な要素を配し、発売前から話題となった『ベヨネッタ』。プラチナゲームズ株式会社の橋本祐介氏、西村栄治郎氏、齋藤健治氏はグラフィック面からのアプローチを語りました。
  • 女性主人公、ハードでスタイリッシュなアクションなど個性的な要素を配し、発売前から話題となった『ベヨネッタ』。プラチナゲームズ株式会社の橋本祐介氏、西村栄治郎氏、齋藤健治氏はグラフィック面からのアプローチを語りました。
  • 女性主人公、ハードでスタイリッシュなアクションなど個性的な要素を配し、発売前から話題となった『ベヨネッタ』。プラチナゲームズ株式会社の橋本祐介氏、西村栄治郎氏、齋藤健治氏はグラフィック面からのアプローチを語りました。
  • 女性主人公、ハードでスタイリッシュなアクションなど個性的な要素を配し、発売前から話題となった『ベヨネッタ』。プラチナゲームズ株式会社の橋本祐介氏、西村栄治郎氏、齋藤健治氏はグラフィック面からのアプローチを語りました。
女性主人公、ハードでスタイリッシュなアクションなど個性的な要素を配し、発売前から話題となった『ベヨネッタ』。プラチナゲームズ株式会社の橋本祐介氏、西村栄治郎氏、齋藤健治氏はグラフィック面からのアプローチを語りました。

『ベヨネッタ』では流れるような操作性をテーマに、主人公の人並み外れた能力を描くために「魔女」というモチーフが採択されることになりましたが、そのデザインは相当に難航したとのことです。

主人公であるベヨネッタは「女性」「黒いボディ」「長髪」という三大要素を持ちますが、これが全てアクションゲームと相性が悪いものでした。女性は小柄であるためゲーム画面上では視認性が悪く、「魔女」モチーフ故の黒を基調としたボディがこれに拍車を掛け、特徴である長髪が身体にまとわりつくことが追い打ちに。橋本氏によればこれを解決するまでが「胃が痛い時期」であったといいます。

相性が悪いというので「魔女」のモチーフを変えるのではなく、デザイン面での工夫により解決が図られました。「手袋を白く」「手足を長く」「金のライン」「背中を露出」「銃は大きめに」「末端に記号的なもの」「髪は肘からなびかせる」といった改良により、「女性主人公」「魔女」という芯がブレることなく、メリハリのあるベヨネッタが誕生しました。

特に「長髪」はベヨネッタと他のキャラクターを差別化するポイント。キャラクターセクションのリーダーである西村氏によれば「髪の毛とはキャラクター性を構築する上で非常に重要なテーマ」とのことですが、その表現には試行錯誤がありました。

「人の髪の毛には切れ目がない」ことを表現すべく、「ポリゴンの短冊」を重ねる従来の方式を使用したものの満足行く結果は出ませんでした。そもそもポリゴンには厚みがないため、見る角度によっては量感が不足。隣り合うポリゴンの間に隙間ができたこともこの傾向を助長したといいます。

解決しやすい量感へのアプローチが行われ、「関節を持たせた髪の毛モデル」が使用されましたが、女性の髪特有のサラサラ感は出ませんでした。「試行錯誤の日々」(西村氏)の後、「関節を持たせた髪の毛モデル」はそのままに、テクスチャを操作することでサラサラ感が表現されました。髪の房どうしの距離により4種類のテクスチャを切り替え、そのアニメーション速度を変えたのです。

髪の房どうしの距離が遠ければ髪がなびいており、髪の毛の密度は低くなりますから、淡いテクスチャと早いアニメーションによりこれを表現。逆に距離が近い場合、濃いテクスチャと遅いアニメーションが髪の毛の密度が高いことを現します。こうして「女性」「黒いボディ」「長髪」という三大要素が解決を見たというわけです。

『ベヨネッタ』は60フレーム(1/60秒)単位で動作しています。スタッフにとって60フレーム動作は死守すべき点でしたが、「絵的な面で制約がある」(西村氏)ことを意味していたといいます。「次世代機では技術体系が変化したものの、根本的な作りは変わっていない」とするのが西村氏の認識。氏は『ベヨネッタ』のアニメーション作成時のワークフローを解説します。

『ベヨネッタ』のアニメーション制作は試行錯誤とフィードバックが特徴です。通常はディレクター、企画、アニメーターといった人々がお互いの職分を守るという方式。ディレクターがコンセプトを立て、企画が作成したリストからアニメーターがアニメーションを作成、プログラマーがゲームに組み込むという「整然とした流れ」が保たれます。

対する『ベヨネッタ』では、各セクションがネタ出しに参加し、それぞれの特性を活かしたアイデアが集められます。これはセクションどうしで強いコミュニケーションを保つことに効果があったといいます。

アニメーターがアニメーションを作成、プログラマーがこれを組み込むという流れは前述のものと同じですが、プログラマー自身が「ゲームの遊び心地」という視点に基づいて調整を行います。アニメーターがこだわりとして入れた余韻も、ゲームのテンポを損なうのであれば削られるなどするといいます。その後、アニメーションはアニメーターにフィードバックされ、プログラマーの意向をくむ形で再度の調整が行われます。これを更にプログラマーが調整し、アニメーターが直す……という試行錯誤が繰り返されます。

通常の方式はアニメーターのみで完結してしまい、シルエットなど絵的な部分を重視することに繋がりやすいと西村氏。「アニメーターにとって各々のアニメーションは大事なものだが、ユーザーにとっては一要素に過ぎない」(西村氏)ものであり、「アニメーションのためにキャラクターがいるのではなく、キャラクターのためにアニメーションがある」と締めくくりました。

齋藤氏は、HDゲーム機の高解像度グラフィックには、従来の直接光のみのライティングでは背景に馴染まない、と指摘します。『ベヨネッタ』では「60フレーム厳守」という制約の下、処理に負担を掛けない、環境マップによるイメージベースドライティング(IBL)が導入されました。

輝度値をマップテクスチャに焼き込むことで疑似的なHDRライトとすれば、光源がどれだけ増えても実行時の負荷は変わらないものとなります。その分、処理にパワーを必要とするリアルタイムライティングは銃口の光などエフェクトに使用することが可能となり、美しい背景と60フレームによる軽快な動作を両立できました。また、エフェクトは実機上で動くツールにより作成され、そこでは常に処理負荷を確認しながら60フレーム動作を厳守する方向性での作業が行われたといいます。齋藤氏はエフェクトではデザイナーで完結するフローの構築が重要であり、実機上で動作するエフェクトツールは少人数で高クオリティのゲームを作るためにとても有用である、と講演を締めくくりました。

特に興味深かったのは「60フレーム厳守」を始めとしてプレイアビリティを重視する旨の発言が繰り返し行われたこと。HD環境となり、絵的な表現力が増している中でこうした姿勢はある意味特徴的なものといえるでしょう。様々な困難を乗り越えて開発された『ベヨネッタ』は果たしてどのような評価を受けるのか。10月29日の発売日が楽しみになった人も多いのではないでしょうか。
《水口真》

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