【CEDEC 2009】文化の差はどう乗り越える!? 「日本から海外へ!−今日から役立つローカライズ技法−」 | GameBusiness.jp

【CEDEC 2009】文化の差はどう乗り越える!? 「日本から海外へ!−今日から役立つローカライズ技法−」

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ローカライズにおいて文化の差は、どのように乗り越えればいいのでしょうか。
  • ローカライズにおいて文化の差は、どのように乗り越えればいいのでしょうか。
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ローカライズにおいて文化の差は、どのように乗り越えればいいのでしょうか。

2003年にリリースされた「格闘超人」では、BGMにコーランをアレンジしたステージがあり、全世界で回収・販売中止となりました。昨年も「リトルビッグプラネット」内のBGMで同種の問題があり、海外で発売が延期された経緯があります。

ラウンドテーブル「日本から海外へ!−今日から役立つローカライズ技法−」では、この「文化の違い」がもたらすリスク要因と対策について議論されました。講演者はナニカの稲葉治彦さん。セガの長谷川亮一さん。バースデーソング音楽出版のエミリオ・ガジェコさん、そして筆者の4名です。



はじめに筆者の方で、ローカライズにまつわる現状を俯瞰しました。日本でローカライズといえば、ファミコン時代は国産タイトルの海外版制作のことでしたが、次第に海外タイトルの日本語版制作も意味するようになりました。そして今、「海外市場前提」や「全世界同時発売」などのニーズが増加しています。しかし、そこには技術的にも文化的にも、さまざまな課題が存在しています。

こうした状況は世界的にも同じで、今年のGDCでは初めて「ローカリゼーション・サミット」が開催されました。しかし筆者は取材後、日本と欧米でローカライズを巡る状況が異なる印象を受けました。欧米企業では英語で開発したゲームを、ヨーロッパの多言語に、いかに効率よく翻訳するかが課題。一方で日本では「洋ゲー」市場がハイパーニッチ化しており、日本から海外、特に欧州への輸出ニーズが高いこと。ただし欧州市場へのリーチは同じでも、日本は欧米企業と比べて、言語面でも文化面でも、よりハードルが高い・・・。これらは、どの企業でも感じられているのではないでしょうか。

その一方でiPhoneやFacebook、ダウンロード配信など、小規模ディベロッパーが直接、海外にパブリッシング可能な時代になっています。これはディベロッパーにとってチャンスが拡大する一方で、これまでパブリッシャーが背負ってきたリスク要因を、自分たちで負担する必要性が出てきたことも意味しています。もちろんパブリッシャーにおいても、ローカライズの知見共有は不可欠でしょう。こうした問題意識から、本ラウンドテーブルは企画されました。

全世界同時発売のニーズが向上しているGDCでローカリゼーション・サミットが開催海外企業は米・欧同時発売が課題
日本は言語・文化ともに障壁が高いダウンロード配信のチャンスが拡大してきた


続いて稲葉さん、長谷川さん、エミリオさんが過去の体験を元に、さまざまな「落とし穴」について語りました。

稲葉さんはまず、コンソールで配信するには市場ごとのレーティングに関する情報収集が不可欠で、特に欧州ではドイツの審査が最も厳格な点を指摘しました。一方でFacebookなどでは性表現を除けば規制は事実上存在しないが、iPhoneでは携帯電話という特性上、将来的に審査強化の可能性もあり得るとのことです。また技術面ではドイツ語で文章が長くなりがちで、日本語版の作成段階からUIデザインの配慮が必要とのことでした。たとえば日本語では「DCプラグ」、英語では「DC plug」が、ドイツ語では「Gleichstrom-Stecker」になる、などです。

海外レーティングの情報は不可欠ドイツ語は文章が長くなりがち


長谷川さんは宗教上のシンボルの取り扱いについて注意を促しました。あるゲームでは入り口の床に六芒星が描かれており、主人公がそれを踏んで中に入るシーンがあるが、これは海外で非常に大きな問題に発展する恐れがあるとのことです。特にPSPやDSではリージョンフリーでゲームが遊べること。また動画共有サイトの普及などで、たとえ国内向けタイトルであっても、こうしたリスクは考慮に入れるべきだとしました。

また「ローカライズの話ではないが・・・」と前置きしつつ、「光過敏問題」への対応についても警告を発しました。いわゆる「ポケモン事件」の原因となった、光過敏性発作をもたらすような明滅演出や、コントラストの激しい絵作りについて、海外で規制が厳格化される傾向があるそうです。セガの海外向け3Dアクション「MAD WORLD」でも、実際は白と黒の色味を適切に調節しているとのことでした。

このほか日本語は英語に比べて修飾過多になりがちだが、ローカライズベンダーは原文の雰囲気を残すために直訳せざるを得ないので、プロデューサーやディレクターが適切に対応する必要があるとしました。長谷川さんはこれを「直訳/意訳から妙訳へ」というキーワードでまとめました。

エミリオさんはローカライズの効率化には、テキストではなくアイコンの多用も有効だが、国旗や地図などの文化的なシンボルを想起させるものは、特に注意が必要だと呼びかけました。また料理ソフトの海外版を作成した経験として、同じ「マスタード」や「茄子」でも各国でさまざまな種類があったり、大きさもまちまちなことから、実際に現物があるもののローカライズについて注意を促しました。

このほかキャラクター名などの固有名詞では、本当に訳語が現地の社会通念や法令に反していないが、細かいリーガルチェックが必要だとしました。特にRPGなどでは大量の固有名詞が登場するうえ、各国語版の種類ごとに翻訳とチェックが必要になります。ただしローカライズの品質向上には、こうした手間を省くべきではないとのことでした。

右はフランコ時代のスペイン国旗日本の国籍アイコンが右側では問題
同じ「マスタード」でも種類はさまざま同じ食材でもサイズがまったく異なる


セッションではこのほか、ディベロッパーとパブリッシャーの関係や、欧州版の作成についての悩みなども聞かれました。中にはローカライズの重要性は認識しているが、機械的に翻訳すれば良いという認識の古さがあり、社内でコスト削減の圧力にさらされている、といった風潮もあるようです。こうした状況を改善するためにも、日本語版が主で海外版が従といった考えではなく、全世界での発売を当初から念頭においた予算編成や、開発体制などが重要になりそうです。

最後に稲葉さんは、「さまざまなリスク要因が議論されたが、ディベロッパーとしては『だから止めようと』いう消極的な意見ではなく、こうした要因を踏まえて、ぜひ海外市場に積極的にチャレンジしていって欲しい」と呼びかけました。またIGDA日本で新しく「SIG-Gloccalization」の発足も発表されました。同SIGではセミナーや勉強会を通して、今後も継続的な議論を行っていく予定です。

IGDA日本でもSIGが誕生
《小野憲史》

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