明日のゲーム業界のために〜『ゲームのお仕事』業界研究フェアを開催する意図とは? キーマン2人に聞く | GameBusiness.jp

明日のゲーム業界のために〜『ゲームのお仕事』業界研究フェアを開催する意図とは? キーマン2人に聞く

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今年のCEDECでは新しく、学生にゲーム業界の仕事を紹介する「『ゲームのお仕事』業界研究フェア」が同時開催されます。
  • 今年のCEDECでは新しく、学生にゲーム業界の仕事を紹介する「『ゲームのお仕事』業界研究フェア」が同時開催されます。
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今年のCEDECでは新しく、学生にゲーム業界の仕事を紹介する「『ゲームのお仕事』業界研究フェア」が同時開催されます。

そこでCEDECアドバイザリーボードのメンバーで、本イベントの企画・運営を統括されているAQインタラクティブの板垣貴幸氏と、基調講演をつとめられるモバイル&ゲームスタジオの遠藤雅伸氏に、概要や意気込みについて伺いました。

―――はじめに「『ゲームのお仕事』業界研究フェア」が開催されることになったきっかけや、ゲーム業界に対する問題意識について教えてください。

板垣:はい。ここ数年、ゲーム業界各位の方々から、学生のゲーム業界に対する志望者数が減少傾向にあるのではないか、という話が上がるようになりました。また世界的に見ても、日本のゲーム業界が海外に追い抜かれているのではないか、という危機感が高まってきました。こうした問題意識から、まずは「ゲームのお仕事」自体について、広く知ってもらうことが重要だということになったんです。はじめにCESA技術委員長で、CEDECの牽引役もされている、コーエーテクモホールディングスの松原社長から構想をいただきまして、実施することになりました。

―――対象層は?

板垣:「主に学生」としていますが、就職活動中の学生に限りません。今回のねらいは、ゲーム産業の裾野を広げていくことにあります。そこで専門学校生から、高専生、短大生、大学生、大学院生、それから一般企業に就職したものの、やっぱりゲーム業界に転職したいという第二新卒の方まで、幅広く対象にしています。もちろん、興味があれば高校生の方々にも来ていただければとも思っています。

―――入場料が無料となっていますね。

CESA小林岳人:経済産業省のご支援をいただき、無料で実施することになりました。2007年から始まった「JAPAN国際コンテンツフェスティバル(コ・フェスタ)」の事業の一環として、ゲームをはじめとした各コンテンツ産業の分野で、人材育成事業に関して一定額の予算が計上されるようになったんです。CEDECも幅広い意味では人材育成に当たりますが、こちらはプロフェッショナル向けで、学生向けではありません。そこで別のイベントを立ち上げて、併催することになりました。ただし国の予算を使うため、こちらは無料で開催し、誰でも参加できることが条件となりました。

―――一般の業界セミナーとの違いは?

板垣:やはり、ゲームのさまざまな仕事の内容について、30コマ以上もの詳細なセッションが開催されることでしょう。こうした取り組みは、過去に例がないと思います。ゲーム開発の流れを一覧でつかめるようなパネル展示も行ないます。さらに、各メーカーの人事担当者に直接会って、質問などがぶつけられる「ジョブカフェ」を行います。逆にエントリーシートへの記入やセミナー面接などの、一般的な採用活動は行いません。これはイベントが開催される9月1〜3日が、いわゆる就職協定の解禁日前に当たるためです。

―――ジョブカフェについて、もう少し詳しく教えてください。

板垣:会場の会議室に、応接セットを8セット程度用意して、ゲーム会社の人事担当者の方が対応にあたります。そこで日ごろ学生の皆さんが抱いている、業界に対する疑問であったり、不安などについて話が聞ける場というイメージです。参加される企業は大手メーカーから中小の開発会社まで、さまざまです。1日を午前、午後で分けて、参加メーカーが入れ替わります。スケジュールは今後、公式サイトで発表しますので、興味のある方はぜひ事前にチェックしてみてください。

http://cedec.cesa.or.jp/oshigoto/cafe/  (8月26日(水)オープン予定)

―――基調講演者を決めた理由は?

板垣:この企画が立てられた当初から、何はなくとも「ゼビウス」「ドルアーガの塔」など数々の名作ゲームを作られ、伝説的なゲームクリエイターの一人である遠藤雅伸さんに、基調講演をお願いしようと思っていました。遠藤さんはまた、東京大学で昨年度まで行われていた「コンテンツ創造科学産学連携教育プログラム」で特任講師を務められており、私も講師の一人として参加していたというご縁もありました。上記の産学連携教育プログラムの折に、遠藤さんが高校の先輩だったとわかって、とても驚いた記憶があります。

―――なるほど。

板垣:二日目のCRI・ミドルウェアの古川憲司さんは、IT業界とゲーム業界の草創記から、長く人事・総務畑でキャリアを積まれてきた方です。ご自身でも人気ブログを運営されるなど、人材育成に対して非常にしっかりした考えをお持ちになられています。そこで、骨太なお話がいただけると期待しています。三日目の堀井雄二さんはCEDEC基調講演からの同時中継となりますが、せっかく日本を代表するゲームクリエイターである堀井さんにお話がいただけるのに、CEDEC本体だけでは勿体ないという思いがありました。そこでCEDEC本体やスクウェア・エニックスさん、そして堀井さんのご協力もあって、実現できました。



―――基調講演でどのような話を?

遠藤:まず事務局から話をいただいた時、ホントに僕でいいのか、という戸惑いはありました。でも良く考えてみると、確かにほかに、なかなかいないんだよね。だって僕は現役の開発者としてゲームを作っていて、講師として学生にゲーム開発も教えている。東大が終わった後も、TDCS(東京ディストリビューション・オブ・コンテンツセミナー)の講師として、毎週秋葉原に通っています。それからゲーム開発会社の経営者として、採用の合否判断も行っている。ベテランのゲーム開発者で、この三役を一人でやっている人は、他にいないんですよ。

―――確かに、珍しいご経歴です。

遠藤:それで当日話す内容だけど、まずゲームの仕事って、こんなにあるんだよ、という話をします。それから「あこがれ」と「仕事」は別だという話ですね。というのもゲーム業界の志望者って、多くがゲームデザイナーか、プランナー志望なんですよ。理由は「絵が描けないから」「プログラムができないから」。それでゲームデザイナーになりたい、というのがすでに間違ってますよね。でも、そういう子がとても多い。

―――そうですね。

遠藤:そもそも就職活動って、自分はどういう人間で、何に向いているんだろう、ということをしっかり掴むことが、一番大切なんですよ。それが最初は全然わからないから、まずは名の知れた大手メーカーにみんな突進して、玉砕する。それで次に、もう少し企業や職種の幅を広げていく。一次面接は通ったけど、二次面接で落ちる。そうした過程を通して、今まで自分が知らなかった仕事であったり、自分は本当はこうした分野に向いているということが、だんだんわかってくる。そうした経験を重ねて、就職できるんです。

板垣:実は私も前の会社では2年ほど、採用担当を行っていました。そこで熱意はあるんだけど、それしかないという応募者が多かったんです。志望動機を聞いたら、うちで作っているゲームのキャラクターが好きだ、という答えが返ってくる。でも、それ以外の理由がうまく答えられない。そうした問題意識は感じていました。

遠藤:そもそも「ゲームの仕事」って、ゲームを作るだけでもさまざまな仕事がある。もともとゲーム作りって、最初はハードウェア技術者しかいなかった。彼らが電気回路を直接触って、ゲームを作っていた。それが次第にプログラムで作れるようになって、ソフトウェア技術者が中心になってきた。それでも最初はプログラマーしかいなくて、彼らが下手な絵を描いたり、変な音をつけていた。そこから次第にデザイナーやサウンドやプランナーに分化していったよね。今では分業化が進んだ結果、中間職がものすごく増えている。たとえばレベルデザイナーや、スクリプトワーカーなどがそう。そうした仕事ってユーザーからは、ものすごく見えにくい。

―――まったく、その通りです。

遠藤:それに今は「作って売って終わり」じゃなくて、その後の「サービス」が重要になってきている。さらにアーケードゲームであればゲームセンターへの営業活動だったり、自社ロケの運営であったり。コンシューマであれば広報・宣伝活動もすごく重要。もしかしたら、自分はゲーム作りではなく、開発以外の仕事の方が向いているかもしれない。でも、そうしたことって、ゲーム業界が「あこがれ」でいるうちは、なかなかわからないんですよ。

―――ええ。

遠藤:就職活動をする上で、当然こうした業界研究は大事。でも、普通なら数ヶ月とか半年とかかかってわかる情報が、当日はぎゅっと濃縮した形で得られる。とにかくゲームの仕事はこんなにたくさんあって、その上で自分は本当は何がしたいのか。どんな分野に向いているのか。そういう自分を客観的に知ることが大事だよ、そんな話をしたいかな。

―――セッションの選出理由は?

板垣:今年のCEDEC本体は公募中心になりましたが、「ゲームのお仕事」業界研究フェアではフェア準備会を設置して、内部でさまざまな議論を行い組み立てました。私もその中でCEDECアドバイザリーボードの一人として、さまざまなセッションの準備をお手伝いしてきた経験をフィードバックさせていただきました。それで、もしこうしたイベントを行うのであれば、できるだけたくさんの仕事を、網羅的に取り上げる必要を感じていました。そのため、最終的に、これだけの数になったのだと思います。

―――注目セッションは?

板垣:遠藤さんの基調講演は勿論として、まず「携帯電話コンテンツに必要な人材」ですね。これは遠藤さんからフォローいただけると思います。それから「徹底分析・データでみる世界ゲーム市場の現状と未来図」では、エンターブレインのリッキー谷本さんと、IGDAの新清士さんによる講演で、世界市場における日本のゲーム業界の位置づけや、今後の潮流がつかめます。「ゲーム業界人事採用者対談」もオススメですね。フロムソフトウェア、AQインタラクティブ、ナウプロダクション、アトラスの人事担当者による、生の声を聞くことができます。またCEROの「家庭用ゲームソフトの『年齢別レーティング制度』について」も、ゲーム業界をめざすなら、ぜひ知っておいて欲しい内容です。

遠藤:CEROに関する話は業界人でも、なかなか聞く機会がないと思うよ。レーティング制度を意識しながらゲームを作るというのは、すごく重要なこと。でも実際はプロのゲーム開発者でも、CEROがどういう団体で、どんな意義があって、どんな審査を行っているのか、あまり知られていなかったりする。

―――遠藤さんはいかがですか?

遠藤:僕は「オンラインゲーム運営ビジネスについて」かな。さっきも言ったけど、今はゲームは作って売って終わりじゃなくて、サービスの側面が重要になってきている。オンラインゲームだけじゃなくて、アーケードゲームもそうなってるよね。そうしたことはぜひ、知ってもらいたい。

―――なるほど。

遠藤:あとは「ゲームシナリオのお仕事」について、単独で聞けるというのも珍しいと思うよ。

―――講師はベックの芝村裕吏さんですね。人気セッションになりそうです。

遠藤:それから「メダルゲームのお仕事『メダルゲームとは? 新たなアイデアがゲームセンターを変える!』」も注目。今のメダルゲームって昔と全然違うからね。なんといっても大人以外に、子供がメダルゲームを遊ぶ時代だから。

板垣:また「サウンドのお仕事」についても、コンシューマとアーケードで2セッション行います。コンシューマでは、これまでCEDEC本体でおなじみだった佐野信義さん、細江慎治さん、相原隆行さんに語ってもらいます。一方でアーケードでは、コナミデジタルエンタテインメントの「ビーマニプロダクション」の方々が、この手のセッションでは初めてご登壇されます。

■変わりゆくゲームビジネス


―――他にもミドルウェアだったり、セキュリティだったり、さまざまなセッションがありますね。ゲームビジネスも大きく変わってきました。

遠藤:ゲームユーザーって年代別に好きなプラットフォームが違うんだよね。これはゲーム開発者の側もそう。たとえば今のアラフォー(40代前後)って、アーケードゲームと据え置き機が「神」で、携帯電話アプリやFlashゲームは「クソ」ってイメージでしょう? でも今の学生だと、何の違和感もなかったりする。この両者って、もはやまったく別の人種ですよ。ゲーム産業ができて約30年が経過して、ゲームもユーザーも分散してきていて、一口にくくるのが、すごく難しくなってきてる。だから今回はないんだけど、本当はウェブゲームや、シリアスゲームなどのセッションもあるといいんだよね。

―――そういえば、ゲームメディアのセッションもありませんね。

遠藤:そう、ゲームメディアについては、ちゃんと基調講演で触れないといけないね。

板垣:あと、今回は実現できませんでしたが、家電量販店やゲームショップのバイヤーの方々に、「ゲームの販売の仕事」について話してもらう、というアイディアもありました。これはぜひ、来年度に実現させたいですね。今年はXbox360やPSP goで、ダウンロード配信の幕が本格的に上がりました。来年の今頃は、その影響についても、ある程度総括できるでしょう。

―――それは楽しみですね。でもそのためには、まず今年を絶対に成功させないと。

板垣:ですね。

遠藤:さっきの話の続きで言うと、作ってる側も違ってきてるよね。昔はパソコンを買ったらBASICでゲームを作るのが当たり前で、『マイコンBASICマガジン』みたいな雑誌を買って、みんな打ち込んでいた。でも今はウェブやFlashで、プログラムが組めなくても、比較的簡単にゲームが作れる環境がある。それが顕著なのがサウンドの分野で、特にDTMが普及してから、実際に楽器が弾けないけど、打ち込みですごい曲を作る人がたくさん出てきた。

―――ええ。

遠藤:そんな風に変わってきたんだけど、学生には、もっと歴史に学んで、昔のゲームの面白さを知って欲しいという思いがある。学生の中にはファミコン時代の、ものすごく難易度の高いゲームをクリアして、その面白さを分析するような連中も出てきてるんだよ。それって開発者とのバーチャルなコミュニケーションでもある。一方でベテランのゲームクリエイターには、もっと新しいモノをどん欲に勉強して欲しいな。

―――僕もだんだん、新しいモノを吸収するのが、辛くなってきました。

遠藤:それだと絶対に、ご飯が食べられなくなるんだよ。感性が古くなって、時代に取り残されていくわけだから。だから常に勉強が必要というのは、学生もプロも同じことなんだよね。

―――学生の立場からすれば、「ゲーム業界はこの先、安泰なんだろうか?」「就職しても、すぐにリストラされないだろうか」「仕事がきつそうだけど、ちゃんと家に帰れるんだろうか」といったベタな疑問もあるとお思います。

遠藤:うーん、そういった話はどこで聞けるんだろう? ハッキリ言うと「ゲーム業界に未来はない!」だね。そうではなくて、「自分で未来を切り開ける人材が求められている」ということかな。それから、ゲームを作り始めると「家に帰れません」。でも一方で、ちゃんとみんな「遊んでるし、眠っています」。こうしたことはちゃんと、基調講演で話さないといけないかもしれないね。

―――それはみんな興味があると思います。

遠藤:結局は「就職か、就社か」という話で、多くの学生はゲーム業界に入りたいというと、たいてい「就社」をめざしちゃう。でも、ここで考えて欲しいのは、ゲーム業界に入るのに、本当に企業に入社することが必要なのかということ。そのレベルから立ち止まって考えて欲しい。まあ、最近は同人でお金が稼げちゃうから、よくないんだけど。

板垣:「アドベンチャーゲーム(ADV)のお仕事」と「インディーズゲームの潮流」というセッションもあります。ここでは、「就社の前に就職する(プログラマーやグラフィッカーなどになる)」という話も出てくるのではないでしょうか。どのような結論が導かれるか、私もわかりませんが、「ゲームのお仕事フェア」の中で「同人ゲーム」が議論されていることも、注目して欲しいですね。

―――遠藤さんはDiGRA JAPANでも精力的に活躍されていて、学生と日常的に接せられています。今の学生を見ていて感じることは?

遠藤:コンテンツを並列で捉えているところがある。アニメとゲームって、インタラクティブに操作できるか否かくらいで、彼らの中では、ほとんど区別がないんですよ。むしろアニメ・ゲームと比べると、映画の方が「別物」という捉え方。だから学生と雑談していると、アニメ業界は大変そうだけど、ラノベの編集者だったらいいか、なんて醒めた声も出てくる。それは「あこがれ」じゃなく、「職業」として捉えてるからですよね。一方で本当に優秀な奴は、ハードウェアを作っている企業に入って、ゲーム機から作りたいとか。または早く偉くなって、ゲームの開発支援や、制作ではなく製作側に回りたい、なんてのもいる。

―――常に学生と接している遠藤さんならではの、興味深いお話が聞けそうですね。では、最後にお二人からメッセージをお願いします。

板垣:ゲーム業界のさまざまな仕事について、これだけまとまった話が聞ける機会は、初めてだと思います。私も遠藤さん他の方々と同じく、自分を育ててくれたゲーム業界に対して、何からの恩返しをしたい、という気持ちがあり今回がんばっています。横浜ということで、地方の方は難しいかもしれませんが、入場無料なので、ぜひ皆さんいらしてください。

遠藤:ホントに、業界についてまとまって話が聞ける機会は、今までなかったと思う。僕もまだ何を話すか全然決めてませんが、だんだん「がんばって話さなきゃ!」と意識が高まってきました。ぜひ参加してください。


本イベントは文中にもある通り入場無料で、当日受付も行われます。しかし受付での混乱をふせぐため、公式サイトから事前の参加登録が奨励されています。8月31日まで参加登録は可能ですので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

*「ジョブカフェ」は当日会場にて時間帯の予約ができますので、当日は「ジョブカフェ」受付にてご予約下さい。
《土本学》

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