開発手法がプロ化している同人・インディーズゲーム 〜 IGDA日本 SIG-Indie 第2回研究会 | GameBusiness.jp

開発手法がプロ化している同人・インディーズゲーム 〜 IGDA日本 SIG-Indie 第2回研究会

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IGDA日本のSIG-Indie(同人・インディーズゲーム部会)の第2回研究会が、文京学院大学本郷キャンパスで開催されました。今回は「ゲームデザインとメイキング」というテーマで、アクションゲームやシューティングゲームを制作している方々の講演とパネルディスカッションがおこなわれました。

セミナーでは、まず芝浦工業大学の小山祐介氏がゲーム産業における重厚長大化の傾向(PS1世代で1作あたり2億円だったのが現世代機で14〜16億円。経済産業省資料より)を示し、制作の大規模化にともなって開発期間が長くなり、版権ものやシリーズものの増加とあいまって閉塞感があるのでは、と指摘。その一方で同人やインディーズの少人数・小規模開発ではペイラインが低く、一発芸的なものや尖ったゲーム、あるいはシューティングや横スクロールアクションなど商業で出なくなったジャンルのゲームも出せるとしてインディーズや同人ゲームが閉塞感の突破口の一つになるのではと期待を示しました。

■同人ゲーム制作の舞台裏

続いて、今回のテーマである「ゲームデザインとメイキング」について4人のゲーム制作者から発表がありました。

サークル「Easy Game Station」のmuracha氏は、「プレイ画面のイメージ絵を先に作る」という手法を紹介。画面の雰囲気やキャラクタの大きさなどをグラフィック担当とプログラム担当で共有したり、開発中に迷ったときの原点として重宝するとのこと。

サークル「神奈川電子技術研究所」のisao氏は、ゲームのアイディア出しについて紹介。バーチャファイターのアキラの鉢巻きの動きから『みこみこ妖怪退治』の巫女さんが振る幣(お祓いの棒)の動きを発想したり、ロボットアーム制御のプログラムを応用して多関節キャラクタを動かしたり、といったアイディアの転用・応用をしているとのことです。「納期にゲームをあわせる、悔いが残ったところは次に作るときに実装する」という原則を徹底することで、3週間から3か月単位で新作を開発するというハイペースなサークル活動を維持しているようです。

サークル「チームグリグリ」の小川幸作氏は、『コープスパーティーブラッドカバー』の開発舞台裏について紹介。共同作業が少なかったサークルメンバーのあいだで作業を効率化するためRPGツクール(エンターブレイン)的な機能を持ったミドルウェアを開発、テストの繰り返しをよりおこないやすくし、ミドルウェアをバージョンアップしながら作品の表現力を高めてきたそうです。コープスパーティーに特化したミドルウェアを作ることで作業効率が上がっただけでなく、ゲームの素材不足なども把握しやすくなり、情報のやりとりも口頭で行うよりスムーズになったとしてます。

フリーゲームサイト「OMEGA」のOMEGA氏は、テストプレイの重要さについて講演。OMEGA氏の作り方では、コンセプトとインターフェイスを決めて、まず最小限遊べるものを制作、テストプレイヤーに目の前でテストしてもらい、コンセプトが伝わっているかどうかを確かめながら修正を繰り返します。このテストと修正のところで半分ぐらいの工数がかかっているそうです。昨年東京ゲームショウでおこなわれたインディーズゲームイベント「SENSE OF WONDER NIGHT」に出品した『おまえらバランスとってふたご塔を作るゲーム』(通称ふたご塔)では、テストで片方の塔にだけ王冠を乗せるプレイを見て驚いたものの、コンセプトに合っている遊び方だということでルールに取り込んだとのこと。ただ、学生時代は部室にいる人をつかまえてテストプレイしてもらうことができたものの、就職してからはテストプレイヤーの確保に苦労しているそうです。

プログラミング言語「HSP」の開発者、おにたま氏(オニオンソフトウェア)は、開発者のプログラム発表の場として実施している「HSPプログラムコンテスト」について紹介。ゲーム開発に広く使用されていることを紹介して、HSP利用者にコンテストへの参加を呼びかけました。

■開発手法・デザイン手法はゲーム会社のものに類似

自作のミドルウェアを用意して共同作業と開発効率を上げる、分業する、テストプレイヤーの操作を間近で見ながら、どこを見ているか、どこでつまずくかをチェックする、テストと調整の短いサイクルでの繰り返すといった作り方は、商業での開発手法と同様のものといえるでしょう。

同人ソフトでは、プロのゲーム開発者がプライベートに同人を手がけているといったケースも多く、そういった作者のところでは作り方や効率アップのノウハウなどは商業ベースのものが取り入れられているようです。また、多くのゲームを作っていく中でプロと同様の手法にたどり着いたということもあるでしょう。とはいえ、商業ベースの開発者にとってはごく普通に行っていることでも、ゲーム会社に勤務せず個人でゲーム作りをはじめた人にとっては知らないことも多そう。こうしたセミナーによって情報共有が進んでいくことで、同人・インディーズゲーム開発がもっと盛り上がっていくことを期待したいですね。
《伊藤雅俊》

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