超大作RPGからの転身「iPhoneゲームは楽しくてしょうがない」ゼペット宮川代表に聞く | GameBusiness.jp

超大作RPGからの転身「iPhoneゲームは楽しくてしょうがない」ゼペット宮川代表に聞く

株式会社ゼペットは、元スクウェアで『聖剣伝説2』『ゼノギアス』『クロノクロス』『ファイナルファンタジーXI』などを手掛けた宮川義之氏が代表を務め、iPhone/iPod touch向けゲームを制作する会社です。先日リリースしたばかりのシューティングゲーム『iYamato』はApp

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株式会社ゼペットは、元スクウェアで『聖剣伝説2』『ゼノギアス』『クロノクロス』『ファイナルファンタジーXI』などを手掛けた宮川義之氏が代表を務め、iPhone/iPod touch向けゲームを制作する会社です。先日リリースしたばかりのシューティングゲーム『iYamato』はApp Storeで日本では登場と同時に2位にランクイン、世界でも上位を狙おうとしています。

宮川氏は多忙な日程を縫いながら、京都精華大学で学生たちにiPhoneのゲーム開発について教えています。そんな宮川氏に京都でお話を聞くことができました。

―――宮川さんはiPhoneのどんな部分にひかれたのですか?

とにかく大好き。答えになってないですね(笑)。

ゲームの仕事を初めて20年になります。みんな最初は自分のゲームを作りたいと思うじゃないですか。僕が最初に関わったのは『聖剣伝説2』だったのですが、その頃のRPGと言えば、でっかい敵キャラクターを出すとか、いかにキャラクターを沢山出すかという戦いです。PSではどれだけ綺麗な3D映像を出すかというような勝負になります。そういう意味で、例えば『iYamato』みたいな単純でシンプルなシューティングは作り辛い時代が続いたんです。それがiPhoneだと誰に気兼ねすることなく好きなゲームを作れるし、それが形になれば売ればいい。それで成功するかは全く別問題ですが、今はとにかく楽しいです。

―――スクウェア、イニスを経て独立されてゼペットを立ち上げられた理由というのは

もうどうしようもなくiPhoneが楽しすぎて(笑)。「絶対やるぞ」という気持ちで独立しました。でも機材をそろえたのは辞めた後で、Macも15年くらいプランクがありました。役立ったのは、アップルストアでやってる無料のセミナーで、「こんなことがダダで教えてもらえるなんて」とMacを買ってからは勉強漬けの日々でしたね。それで暫くしてから第一弾で『iNinja』を作り始めました。

―――今はお一人でやられているんですよね?

ガレージカンパニーです(笑)。

今、理想としてあるのは、1か月で開発して2週間でプロモーションというペースです。実際には掛け持ちで色々やってますが、このスタイルで一番危険なのは1つのゲームに賭けて他の事を出来なくなることだと思います。ムービーの制作方法などもアップルストアの無料セミナーで学んで、『iYamato』も自分でプロモーション映像を作りました。

―――学生、しかもプログラムの心得のない女性たちでもゲームを作れるという間口の広さはiPhoneの魅力ですね(※)

宮川: ええ。家庭用ゲーム機だとプラットフォームホルダーの存在もあり、ここまではできません。色んな人に可能性を与えるプラットフォームだと思います。Macさえあれば開発できて世界中で流通できてしまうわけですから。逆を返せば、僕らのような小さな会社は、大企業からは攻められ、学生さんたちには突き上げられ・・・。大和のように沈まなければいいのですが(笑)

※京都精華大学の講義を受けている学生は女性が中心

―――守る物を持たざる者ほど強いプラットフォームですね

宮川: そうかもしれません。『iYamato』の成り立ちも面白くて、実はグラフィック部分を作ってくれたのは、「『iNinja』って面白いよね」とメールをくれたユーザーさんだったんです。何度もメールをしているうちに、ゲームを作りたいという話になって、実は会ったのも2度くらいで、契約書も交わさずに作ってしまいました。ほぼ一人で、僕らはテイストなどをリクエストしただけです。

―――『iYamato』の好調、おめでとうございます。App Storeで2位というのは本数的には・・・?

宮川: 『iYamato』は初日に約1500本、その後は500〜1000本で推移しています。それで2位ですから、1位は2000本くらいでしょうか。これは日本の話で、世界で見ると、このくらいの本数だと100位くらいです。感覚的な市場規模は数十倍〜百倍はあるでしょう。

―――iPhoneのビジネスは凄い、という方と、イマイチという方に分かれるようです

宮川: WWDCでも感じたのは二極化されるということですね。「やっぱり大変だよね」という人たちと、それでも突っ走るという人たちです。僕は後者ですね(笑)

―――新しいiPhone 3GSの印象を聞かせてください

自分でも購入し触ってみて感じたのは、アプリでもゲームでも起動が早いということです。起動が早いともう一度やりたいという気持ちになります。PSでディスクメディアになって良く言われたのは、立ち上げやロード時間が長くなってゲーム離れをする人が多かったということです。でもiPhoneを持ってゲームをやらない人は皆無です。それはこの起動の早さも要因かなと思います。

―――OS3.0からはアプリ内課金もできるようになりました

実は『iYamato』でもやろうと思っています。ファンには「絶対出ないとおかしい」くらいに思われています。当初は大和以外に追加でUポート、潜水艦、イージス艦といった船を追加するのが面白いかと思っていたのですが、予想以上にファンの熱が高くて、海外の掲示板などでも色々な要望を受けているので、違うステージ構成なんかも追加で提供できればと思っています。

―――今後こんなことに取り組みたいというのはありますか?

実は京都精華大学でもご一緒している、Route24の西健一氏と一緒に進めているゲームがあります。『iYamato』はシンプルな素うどんで、人気が出れば色々な具材を載せていこうと思って作ったゲームですが、今回のゲームは最初から具沢山の3Dレースゲームです。といっても普通のレースじゃなくて新しいものをどーんと載せてます。8月中にはリリースする予定ですので、お楽しみに。

―――ありがとうございました

PROFILE: 宮川義之
スクウェア(現スクウェア・エニックス)、イニスを経て2008年12月に独立して株式会社ゼペットを設立。『iNinja』『iYamato』など今最も注目されるiPhoneゲーム開発者の一人。

※京都精華大学での講義の様子も後日お伝えします
《土本学》

メディア大好き人間です 土本学

1984年5月、山口県生まれ。幼稚園からプログラムを書きはじめ、楽しさに没頭。フリーソフトを何本か制作。その後、インターネットにどっぷりハマり、幾つかのサイトを立ち上げる。高校時代に立ち上げたゲーム情報サイト「インサイド」を株式会社IRIコマース&テクノロジー(現イード)に売却し、入社する。ゲームやアニメ等のメディア運営、クロスワードアプリ開発、サイト立ち上げ、サイト買収等に携わり、現在はメディア事業の統括。

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